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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
72/186

二回戦 2

VIP席


「やっぱり隼人は何かやったね~」


予想的中の結依が自慢げに話しかける。


「むしろ目立ってた気がしますわ。」

「バカだからそのへんが解らないのよ。それと光輝は笑いすぎよ。」

「はっはっは。いい蹴りだったね。でも、これでこの大会も面白くなりそうだね。」

「どうかしら、私はアイツが面倒事に巻き込まれてないか心配よ。」


出たくないものに出場している時点で厄介事に巻き込まれている可能性が高いため、もうすでに頭を抱えたくなる雫。


「それは、僕達も同じだろう。いざという時に頼れる仲間が増えた事を喜ぼうか。」

「本当にいざという時に頼れる状態なのかしら?」


残念ながら雫の言葉に、自信をもって返事を出来る人はいなかった。



『さぁ!どんどん行きましょう。次は冒険者Sランク、ロレイ選手です。護衛依頼達成率100%の護衛の達人。付いた二つ名は"聖域"彼の守護の元では誰も傷つきません!果たして護衛以外の戦闘はどうなのでしょうか?』

『ロレイ殿は護衛でも極端に戦闘回数が少ないらしいからな。貴重な戦闘シーンを見れるいい機会だ。』

『確かにSランクにケンカを売る盗賊もいないですよね。』

『なぜか魔物も殆んど出ないらしい。』

『本当ですか?何か知らないスキルが働いているのでしょうか?』

『その辺りの秘密も見れると面白いな。』

『気になりますね。対戦相手には是非とも秘密に近づける戦いをしてほしいです。それでは試合開始です。』


審判の合図で両者動き出す。


『呆気なく終わってしまいましたね。』

『相手が相手だけに仕方無いが、腰が引けてなければもっといい戦いが出来ただろう。』



特にこれといって面白い試合もなく、二回戦の最終試合となる。


『ついに来ました大本命!前回大会優勝者、レックス選手です。』


歓声が上がり、レックスと対戦相手が入場する。

・・・ん?レックス?最近どこかで聞いた名前だな。

そして、先ほどの筋肉が入場してくる。


「・・・ルカ、アイツがSランクなのか?」

「はい。現状では無手最強の冒険者です。」

「・・・マジか。」


変態に絡まれたとしか思っていなかったが、どうやら最悪の変態に絡まれたいたらしい。


『レックス殿は、前回よりも筋肉が肥大しているな。かなり調整してきたのだろう。』

『そうなんですか?私には、解りませんが、レックス選手はパワーアップして来たということです。最有力の二つ名は"破城鎚"世界最強の右ストレート"レックスパンチ"を見逃すな。対する女性魔術師は火属性でエクスプロージョンが得意技のようですね。先ほどの1回戦でも華麗に決めておりました。』

『レックス殿の一撃で終わる可能性が高い。近づかれる前に倒せるかの戦いだな。』

『それでは、試合開始です。』


合図と共に魔術師が詠唱を開始し、レックスはゆっくりと余裕の動きで近づき始める。


「ファイヤーランス!」


詠唱が完了し、魔術師がファイヤーランスを4本待機させてから、タイミングを見計らい順次射出する。


『レックス選手の到達前にファイヤーランスを4本も同時に出しました。レックス選手の動きに合わせて攻撃を繰り出します。』

『いいタイミングだが、いささか威力が足りていないな。』


レックスは全てのファイヤーランスを手で弾き、一気に加速して肉薄する。

魔術師は次の詠唱を始めていて、レックスの一撃をなんとかギリギリで回避して置き土産のように魔術を放つ。


「エクスプロージョン!」


『決まったー!ファイヤーランスからのエクスプロージョンのコンボ。ファイヤーランスは弾かれましたが、エクスプロージョンの大爆発がレックス選手の顔面に炸裂!これは素晴らしい攻撃です。レックス選手も厳しいのではないでしょうか?』


レックスは、爆発の煙で見えなくなっていたが、だんだんと晴れ始め、その姿が見える。


「・・・えぇ!?」


魔術師は、レックスの姿に驚愕の声を上げる。


『無傷です!レックス選手、エクスプロージョンを直撃してなお、無傷で笑っています。』

『髪の毛が少し焦げているな。』

『・・・髪の毛を焦がす程度のダメージしか入っておりません!』


レックスが、今度は本気の速度で動き始める。一気に畳み掛ける予定だった魔術師は、ダメージを与えられなかった事の動揺のせいか、一瞬後ずさりする。


「フンッ!」


その隙を突き。レックスのパンチが魔術師の顔面に突き刺さる。


『クリーンヒットォ!これはひどい!女性の顔面を狙うなんて非道な筋肉です!』


魔術師はレックスに殴り飛ばされて、場外で観客席の前の壁に激突して伸びてしまう。


『これは痛いな。レックス殿は、対戦相手を性別や魔術師ではなく同じ戦士だと認識しているのだろうか?』

『その感性は是非とも捨てて頂きたい!救護!救護!急いでください!傷が残ったら大変です!』

『対戦相手の場外で、レックス殿の勝利だな。』

『・・・残念ながら最低筋肉の勝利です。あれが”レックスパンチ”だったのでしょうか?』

『いや、ただのパンチだ。”レックスパンチ”だったら相手は死んでいるだろうな。』

『なるほど、違いがわかりません。これにて、二回戦終了です。』


「・・・ひでぇな。」


レックスのむちゃな戦いにそんな感想しか出てこなかった。

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