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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
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買い物

予選も無事?終わり、本戦までの数日の休み。

今日もダンジョンに潜ろうかと、ループスと一緒に門の方へ歩いてく。


「ハヤトさんじゃないですか。」


後ろからルカに声をかけられる。振り向くと"竜の息吹"がいた。


「みんな揃って出掛けるのか?」

「今日は買い物ですね。そうそう、予選突破おめでとうございます。ハヤトさんこそどこか出掛けられるんですか?」

「ダンジョンにでも行こうかと思って。」


「このタイミングでですか?さすがですね。」


ルカを含め、皆が若干呆れる。

普通に考えたら予選後の休息時間をダンジョンで過ごす人間なんて居ないだろう。


「一攫千金を狙ってるんだが全く希少素材に出逢えなくてな。まぁ、実際はゴーレムの魔石拾って暇つぶしをしてるだけなんだけど。」


大抵ループスがやってしまうため、走って魔石を拾うだけの単純作業だ。希少素材は出てこないし、今のところゴーレムの魔石が一番儲かる。


「Bランクのダンジョンで暇つぶしってスゴいですね。先日のループスさんの実力を見るに、嘘ではなさそうですが。もし予定がなかったらご一緒にと思ったのですが、仕方ありませんね。」


ルカが残念そうな顔をする。

暇つぶししに行くだけだし、予定は無いといえば無いから問題無いのだが、他が許すかどうかだな。主にパトリックが何か言ってきそうだし。


「皆が良ければついていくよ。」

「本当ですか?ぜひご一緒しましょう!勝手に誘ってしまいましたが、皆さんも良いですか?」

「私は構わない。」

「わ、私も大丈夫・・・です。」

「僕も構わないよ。」


意外とすんなり同行することになってしまった。


「じゃあ、よろしく。」


買い物は、ダンジョンに必要な物と、各個人の買いたい物が半々みたいで、商店街の方へ歩いていく。


「敵に塩を送るきはないけど、ルカくんの意向だから仕方ないね。」


パトリックがやれやれといった表情で俺にだけ聞こえるように呟く。


「いい加減そのライバル視を止めてくれないか?」

「まったく、僕らは同志でありライバルじゃないか。」

「・・・はぁ、一回マジで話し合った方が良さそうだな。」

「おや?やっとその気になってくれたかい?」

「・・・ちげーよ」


急にテンション上げるなよ。


「何の話をしてるんですか?」


パトリックのテンションに一番釣れてはいけない人が釣れてしまった。


「ルカにはまだ早い話だ。」

「そうだね。戦略と戦術の話だよ。」

「そうでしたか。」


ルカは残念そうに目を伏せる。

必要な物はみんなで選んで買い、個人的な物は、別行動になった。

ループスも最初は物珍しそうに、一緒に見て回っていたのだが、疲れたのか俺の頭の上でくつろいでいる。最近フィーレに言われて食事を改善したからか、ただの成長期なのか、体格の成長速度がいちじるしく、頭の上はかなり重たい。



商店街は区画整理がしっかりされていて、冒険者用のエリア、日用品のエリア等、非常にわかりやすい。中にはいかにも高級な区画も在った。

この国の商品価格は振り幅が大きすぎて、全く読めない。

ダンジョン産の高級素材や希少素材を使い始めると、平気で3桁4桁変わってきてしまうので、良いモノを見つけては価格設定にビビる。

すでに先日のディナーで身に染みている事ではあるのだが・・・

特に当てもなくフラフラしていると、


「ハヤトさんは、何か買いましたか?」

「特に何も買ってないな。ただ、ちょっと行きたいところがあるんだ。「良いですよ?何を見に行くのですか?」

「茶菓子の下見だな。」


ディア達の為のお茶菓子の下見をしておきたい。


実際高級品がいくらになってくるのか想像もつかないので、あといくら稼がないといけないのか調べないといけない。高すぎたらやめよう。


「貴族用の区画は入場制限がありますけど、パスできる物を持ってますか?」

「・・・そんなものがいるのか?」

「はい。」

「まさかの入る事すらできない・・・だと・・・。」


気分的には、膝から崩れ落ちそうな勢いでテンションが下がって行く。

帰る前にオルコット卿に相談してみよう。お金は貯めれるだけ貯めて、予算内でやりくりするしかないだろう。


「あら、ハヤトさんではないですか。」


本日2度目。似たような声の掛けられ方をする。

振り返ると、システィーナちゃんと、メイドのヘレンさん。初めて見るシスティーナちゃんと同い年くらいの身なりのいい女の子と護衛に騎士が数人。

騎士の格好からして、おそらく女の子の護衛だろう。オルコット卿の私兵ではなさそうだ。

となると、女の子はかなり高貴な子女になるはず。というか、オルコット卿は王宮に入って行ったはずなので、そこに気軽に出入りできる地位にいるはずだ。

面倒事の予感しかしない。

「こんにちは、システィーナちゃん。そちらの子は?」


普段ならもう少し近づくところだが、騎士の睨みがキツ過ぎて、その場で問いかける。


「そうでした。こちらの方は、クラリス王女殿下です。クラリス、こちらは冒険者の隼人さんです。ここまでの護衛をしていただいた方です。」


・・・王族かよ。


「そうか。Bランク冒険者の隼人、頭の上に載ってるのが、従魔のループスです。よろしくお願いします。」


挨拶したが、返答がない。


「クラリス?どうかしましたか?」

「・・・すごくキレイな魔力。」


クラリス王女がポツリとつぶやく。

魔力?純粋な魔力の事を言っているのだろうか?それとも魔力コントロールのレベル上げで、普段から体外に漏れる魔力はバラつきが無いように調整している事を言っているのだろうか。

どちらにしても、他人の魔力がはっきり見えていることに違いは無いだろう。


「す、すみません。ムスぺリオス王国国王エリオット・ムスぺリオスが第二王女クラリス・メルシエ・ムスぺリオスです。お見知りおきを。」

「クラリス、そんな真面目な挨拶しなくても・・・」

「へ?あっ、すみません。」


スカートをつまんで、華麗に挨拶をするクラリス王女にシスティーナちゃんがツッコミを入れる。テンパってツッコミを入れられたクラリス王女は小さくなってしまった。

ルカの事も紹介して、少し雑談をする。システィーナちゃんに、オルコット卿へ高級区画に入りたい旨の伝言を頼む事が出来て満足した。

システィーナちゃん達と別れ、”竜の息吹”全員が合流し、普通の価格帯の店で夕食を取って解散した。



本戦前日、ギルドに顔を出してトーナメント表を貰う。

ジョゼが予選の勝ち方について何か言いたそうだったが無視した。気配遮断は立派な実力である。

貰ったトーナメント表に目を落とし、驚愕する。


「なん・・・だと・・・」

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