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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
62/186

ダンジョン

「行こうかルー。」

「ガゥ!」


翌日、ループスと共に宿を出て、ダンジョンに向かう。

ループスもかなりの速度で走れるので、走っていく行くことにする。歩いていって片道二時間程らしい。

かなり近いので、身体強化を使って10分を目標に走ることにする。

門を出て、ループスと並走しながらダンジョンに向かう。

他の冒険者を抜き去り、変な目で見られながらもダンジョンまで一気に駆け抜ける。


「・・・ふぅ。意外と疲れず行けるもんだな。ルーもめちゃくちゃ速いし。」

「ガゥ!」


走ってると速度をあげても付いてくるループスにテンションが上がり、速く走りすぎたのだが、意外と息が切れなかった。

装備を整えて中に入っていく。


「尺がおかしいだろ。歪むってこういうこと?」


洞窟内部は、天井高が4メートルはありそうな場所だった。

絶対おかしい。外から見ると普通の洞窟なのだが、明らかに中が広すぎる。こんなもんが自然生成されるのかよ。

ライトで照らしながら警戒しつつ奥へと進み始める。

ダンジョン最初の敵は王道のゴブリンだった。襲ってきたゴブリンの眉間にすぐさまファイヤーバレットを叩き込んだので、地上との強さの違いはわからなかった。

またゴブリンの集団に会ってしまったので、一匹だけ残してループスと戦わせてみる。

ループスは、ゴブリンの攻撃を持ち前のスピードで回避し、四肢を食いちぎって一瞬で勝利してしまった。控え目に言っても強すぎる。


「ルーこんなに強かったの?」

「ガゥ!」


ループスは尻尾を振って自信満々に返事をしてくる。非常に可愛らしい仕草だが、さすがSランクな魔物。子供でも強すぎる。


「後で美味しいものをあげよう。」

「ガゥ!」


ループスにご褒美をあげることにした。

ゴブリン以外は、鉱物で出来た外殻をもつ魔物が多く、予想通り相性が良かった。

前にも会ったアーマジロや変な石を吐いてくるヤツさらにはゴーレムとここで取れる鉱物を纏った魔物が多種多様に出てきたが、すぐに返り討ちに出来てしまう。

突進はギリギリで避けて、崩拳で外殻を砕き、後はループスにおまかせ。

石を飛ばしてくるヤツは、キャッチアンドリリースで投げ返して倒した。ループスも石を全部回避して噛みついて倒す。

ゴーレムはさすがにキツいと思ったのだが、ループスは普通に火を吹いて倒してしまった。

確かに親は火の魔術使ってきたけど早くも使えちゃうのか。しかもエクスプロージョン気味に爆発してるし器用だな。

序盤こそループスのフォローにまわっていたが、ループスは戦うにつれて学習していき、ついにやる事がなくなってしまった。

さっきから、ループスの邪魔にならないように辺りを照らし、魔石を取り出しては死体を燃やす単純作業ばかりになってしまった。完全に後片付け要員で面白くない。そう思っていると、向かっている先から複数の気配がする。


「ルー、少しとまって。」

「ガゥ!」


おそらく他の冒険者パーティーだろう。人にせよ魔物にせよ、警戒するに越したことはない。

ループスを後ろに隠し、気配が近づいてくるのを待つ。

そして、ダンジョンに入って初めての冒険者パーティーとの鉢合わせをする。


「ん?ハヤト殿ではないか。」

「・・・リリィさん。こんなところでなにやってんだ?」

「それはこちらの台詞だ。」


リリィさんとルカ、シア、パトリックがパーティーを組んでダンジョンに潜っていた。


「俺は護衛依頼でここまで来てな。そういえば、アレンとリンカさんは居ないのか?」

「お久しぶりです。お二人は別のパーティーで任務を受けてると思いますよ。うちは大きいクランなので、色々なパーティーが組めますからね。」


ルカが教えてくれる。


「それもそうか。」

「僕たちは帰るところなんですけど、ハヤトさんはどうされますか?」


時間は昼前。走って帰らないのであれば切り上げる時間帯だろう。


「そうだな。本気で潜る気では来てないし、一緒に帰ろうか。」

「そうですか。ではいきましょう。」


俺の言葉にテンションをあげるルカ。今にもスキップをし始めそうな勢いだ。


「良い嗅覚だね。本当はルカくんを追いかけて来たんじゃないのかい?」


後ろからそっとパトリックが近付いてきて、耳打ちしてくる。


「なわけ無いだろ。」

「今のところは信じておくよ。」

「・・・。」


いまだに俺をそっちの趣味だと思ってるパトリックが若干怖いんですけど。この人実は結構病んでないか?

すすすっとパトリックから離れてシアの方に近づく。


「シアちゃん久しぶり。」

「お、お久しぶり・・・でしゅ・・・です。」

「こんなところで会うなんて偶然だな。」

「そ・・・そうです・・・ね・・・ハヤトさんも・・・大会・・・観戦されるのです・・・か?」


最悪の事実が発覚した。"も"ってことは、クランのみんな観てくってことだろ。非常にやりにくくなってしまう。


「・・・いや、観に行けないんだ。なぜか出場させられるから。」

「そうなんですか!?」

「が、頑張ってくだ・・・さい」


俺の出場発言にルカが食いついてきて、シアも応援してくれる。すごく純粋なまなざしを向けてくる2人に非常に申し訳ないんだけど、狙いが狙いだし本当の事を言っておこう。


「出場の意思が無かったのに決まったから、できれば出たくないんだ・・・逃げはしないけど予選敗退を狙ってる。」

「残念だ。私としては是非ハヤト殿に勝ち残ってほしいのだが。」

「勝つと面倒臭そうなんだよな・・・。嫌な予感がするし。」

「実はリリィさんも出場するんですよ。」


マジで!?勝ち残れって戦いたいって事か?


「あんまり目立ちたくないから、敗退狙いでそこそこにやらせてもらうよ。」

「では、早々にぶつかれる事を望むしかないな。」

「そうしてくれ。」


それからお互いの経緯を話し合ったりして楽しく帰る。帰り道の大概の敵はループスが倒してしまった。

ギルドまで戻ってきて、行く前に怒られた受付嬢の所に並び、謝りつつも、魔石を換金をする。

再会祝いで、晩飯を一緒に食べる事になり、高級店で盛り上がった。


今回のダンジョンの報酬は消し飛んだ。

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ダンジョン

自然魔力の吹き溜まりに魔物が住み着いた場所で、高濃度の魔力で自然の法則は歪み、希少アイテムの生成や住み着く魔物の進化が頻繁に起こるのが特徴。

多種多様な魔物が存在し、基本的には上手く棲み分けされるが、極稀に種族を超えて統率する魔物が出てくる。

その魔物がさらに進化すると魔王と呼ばれる物になる。



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