表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
60/186

ルール説明

翌朝、ギルドに顔を出す。

武闘大会の話を聞かないことには予定すら組めない。

出場者が開催日すら知らないのはさすがに不味いだろう。

受け付けに行き、空いてるカウンターで受付嬢に問いかける。


「すまない、武闘大会について聞きたいんだが。」

「失礼ですが、お名前を伺っても宜しいですか?」

「・・・?隼人だ。」

「ハヤト様ですね。少々お待ちください、ギルドマスターを呼んでまいります。」

「何で?あなたで良いんだけど。」

「申し訳ございません、来たら呼べと言われておりますので。」

「はぁ、わかった。呼んできてくれ。」


受付嬢に呼ばれたジョゼが来て、別室に移る。


「さて、武闘大会の説明だな。」

「あぁ、頼む」

「まず、この大会はムスペリオスの勇者を決めるものだ。優勝すれば一年間勇者を名乗れる。これは良いか?」

「全然。勇者って勝手に名乗って良いのか?」


聖女とか勇者は勝手に名乗ると逮捕されるんじゃなかったっけ?


「勝手ではない。一応ステータスに[ムスぺリオスの勇者]と記載されるから大丈夫だ。ただこの国でしか使えんがな。」

「なるほど、要らん称号だな。」

「・・・お前は、目指してる奴らに謝れ。この大会の優勝賞品みたいなもんだぞ。一年間かなり優遇される。」

「まぁ、続けてくれ。」

「来週予選がある。予選はいつもバトルロイヤル方式の勝ち残り戦だ。ブロックに分かれて各ブロック2人以下になるまで戦う。実力も必要だが、運が勝敗を左右する場合が多い。実力で勝ち取るならヤられる前にヤるしかないな。」


ルールにもよるが、予選はどさくさに紛れて負ける事が出来るかもしれない。しかし、ある程度実力を出さないと、ジョゼを含めてギルドで倒した一部のメンバーはてを抜いたと見抜くだろう。上手いことやらねばならないな。


「本戦はどうなるんだ?」

「本戦はトーナメントだな。予選突破した人とシードを加えて一対一の戦いで優勝を決める。」

「シードが居るのか?」

「前回大会の優勝者とか、騎士学院の特待生辺りが出てくることがあるな。そういう特別枠だ。」


一対一のトーナメントだと手を抜くのは難しいな。前回の優勝者に一撃で仕留められるのもアリか?実力次第ではイケるな。上手いこと当たれればいいんだが。


「貴族のドラ息子みたいなのが出てくると思うんだが、そういうのはどうなるんだ?」

「手加減はしなくていい、昔圧力をかけてきた貴族がいたんだが、国王陛下が上に立つものとして恥ずかしいと宣言してその場で失格にしたんだ。今では完全に実力のみだな。」


・・・すげーな王様。


しかし貴族と当たっても負けられないか。変なことするとそっちからも非難を浴びそうだ。穏便に終わらせるにはやっぱり予選がベストだな。


「ルールはどうなるんだ?」

「勝利条件は場外・戦意喪失・戦闘不能の3つだ。」

「場外って事はリングみたいな物があるのか?」

「あぁ、かなり広いがな。それと反則は、試合以外での戦闘。さっき言った権力の行使とか、場外乱闘だな。試合開始前の魔術使用。魔術を発動した状態やバフの掛かった状態で試合に臨むことは無し。闘技場への細工、事前に闘技場にトラップを仕掛けるのは無し。後はあきらかにおかしい行為は審判が判断してその場で決める。予選も本戦も基本ルールは同じだ。」


なんだその当たり前みたいなルールは?過去にやったやつがいるんだろうな・・・勝つ事に必死になり過ぎだろ。


「わかった。」


つまり、予選で上手いこと場外になるのがベストだという事だ。


「何か質問は無いか?」

「無い」

「おいおい、何かあるだろ。どんな奴が出てくるのか?とか、どうすれば勝ち進めるのか?とか。」

「無いな。わかりやすい説明で助かった。忙しいだろうしもういいぞ。」

「待てや!もっとこう、何かあるだろ。ひねり出せ。」

「ねぇよ。何だ、暇なのか?」

「そうだよ。だから付き合え。」


だからこいつが直々に説明しに来たのか・・・


「何でギルドマスターが暇なんだよ。ガイアスはかなり忙しそうにしてたぞ。」


半分は俺のせいでもあるけど・・・


「お前、ガイアスと知り合いなのか?」

「あぁ、俺はアルカディア王国の王都に居たからな。」

「そうか、元気にしてたか?最近はアルカディア王国で大進行があったが、それ以外は大きな事件もなかったし、大進行も被害が最小限に抑えられたから、ギルドの大規模な会議が無いんだよ。良い事ではあるんだが、事件や出張が無いと暇でな。かといって立場上好き勝手に遠出もできんし、面白くないな。」


・・・こいつそうとう暇なんだな。


「どうせ今後は勇者関連で何かあるだろ。忙しくなるぞ。」


大進行の針の件もあるし、裏では何かあるだろう。

俺としては非常に面倒だから、光輝達に何とかして欲しいものだ。出来れば何もしないにこした事は無いが、どうせ無理だから、大進行みたいに後ろでサポートってのがベストだろうな。


「確かに、忙しくなりそうではあるな。魔物も活発化してきているし、会議を開いた方が良いかもしれん。」


何でそんなに会議をしたいんだよ。普通嫌がる仕事だろ。


「失礼します。」


ギルド職員が入ってくる。


「何かあったか?」

「ギルマス、お話は終わりましたか?」

「まだ重要な話をしている所だ。」


おいおい、ジョゼさん仕事したいんじゃなかったのかよ。若干、職員さんが怒ってるようにも見えるんだが。


「そうですか。本日中の書類がたまっております。早急に目を通していただきますように。」

「わかった。」


・・・これは、暇じゃないな。俺をだしに書類仕事から逃げてるだけじゃないか。だから出張したがってたのかよ。


「職員さん。話は終わったから連れてってもらっていいぞ。」

「本当ですか?」

「あぁ。重要な仕事っぽいから、すぐにとりかかった方が良いだろう。ここは片づけておくからジョゼは連れてってくれて構わない。」

「お前!ハヤト!裏切る気か!」


ジョゼが声を荒げる。裏切るも何も大して仲間意識なんてねーよ。

職員に首根っこを掴まれて連行されていくジョゼ。手を振ってお見送りしておく。職員は俺に一礼してから、ジョゼを引きずって去って行った。良い仕事したぜ。


設定


崩拳

古流武術の奥義の1つ

基本は鎧通しと同じで、拳をたたきつけ、ヒットする瞬間に拳を意図的にずらす事によって振動を生む技。

大きな違いは、鎧通しが硬い物内部に衝撃波を出すモノに対して、崩拳は硬い物そのものに振動波で攻撃する。

拳の当たった地点から放射状に破壊される。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ