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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
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オルコット領

非常に楽な道のりだった。因みにオルコット卿は私財まで投じて王都へのインフラを整備したらしい。

理由は移動が億劫だったからだそうだ。意外にもやりたい放題な人である。

市民の反対もあったそうだが、それ以上に完成した時の反応が大きかった。

アクセスが格段に上がり、税収が上がるほどの反応をみせたらしい。

最終的には皆が喜んでくれたので、騒動も収束していったのだとか。


「ありがとう、ハヤトくん。ここまでで依頼達成とさせてもらうよ。これは依頼達成の証だ。ギルドに提出したまえ。」


門を越えたところでオルコット卿から護衛完了を言い渡される。


「わかった。」

「それと、別件になるんだが、数日後こちらでの仕事を片付けた後でまた移動がある。護衛を頼めないだろうか?」

「正式な依頼ならば構わないが、どこに行くんだ?」


伯爵ってそんなに忙しいのか?移動は仕事に入らないって感じだな。


「隣国ムスペリオスの首都だよ。近々、拳闘大会が開催されてね。毎年、国賓として観戦に行くんだよ。そこまでの護衛を頼みたい。また5日程の旅だ。」

「・・・ここならオルコット卿お抱えの冒険者が居るんじゃないのか?」

「確かに居るけど、キミとも良い関係を築けたら良いと思ってね。」

「・・・人選ミスだ」

「そうでも無いと思うけどね。今回の依頼でキミは余計な事は全くしなかった。与えられた役割を必要以上にも必要以下にもしない。兵士からは非難されるかもしれないけど、例えば立場が指導者なら話が変わってくる。実力を見極める洞察力と、どこまで手を出さなければならないのかを決める判断力はすばらしいね。」

「過大評価だな。面倒臭いから最小限の仕事をしてるだけだ。」

「今はそう言うことにしておこう。近いうちに指名依頼をしておくよ。是非受けてくれたまえ。」

「あぁ、俺はギルドに報告してくるよ。え~と、エリーゼさんそろそろルーを返してもらっても良いですか?」


今回の旅でループスを一番かわいがっていたのはエリーゼさんだった。ずっと膝の上にのせて優しくなでていたので、俺もループスも諦めて、エリーゼさんの好きにさせていた。


「返さないとダメですか?」

「うちの子なんで。それにその子めちゃくちゃでかくなるんで飼うの大変かも。」

「残念です。」


惜しまれながらもループスを返してもらい、その足でギルドに向かう。

オルコット卿に教えられた通りに道を進み、オルコット伯爵領のギルドにたどり着く。


「ようこそいらっしゃいました。ご用件をうかがいます。」

「護衛依頼達成だ。処理を頼む。」


オルコット卿から受け取った。証明書とギルドカードを受付嬢に渡し、護衛依頼達成の報告をする。


「かしこまりました、少々お待ちください。」


受付嬢は、滞りなく書類を書き上げていく。


「お待たせしました。これで依頼達成です。」

「ありがとう。少しの間、この町に滞在するんだが、飯が美味いおすすめの宿屋はあるか?あとこの子も連れて入れる所が良い。」


ギルドカードを受け取りつつ、今日から数日間の寝床を探す。


「それでしたら。ダインさんの宿が良いかと思います、少し高めの宿ですが、料理は絶品ですよ。」

「そこにしよう。場所を教えてくれ。」


受付嬢に地図を描いてもらい、ギルドを出る。

王都もそうだが、オルコット領も区画整理がきちっとしていて、非常にわかりやすい町づくりがされている。


「ここだな。」


店の看板を確認して中に入る。


「いらっしゃいませ。お食事ですか?宿泊ですか?」


店に入るとすぐに声がかかる。ここの娘だろうか?同い年くらいの女の子が出て来る。


「宿泊だ。とりあえず3日ほど泊まる。部屋はあいてるか?」

「大丈夫ですよ。食事はどうされますか?」

「朝晩で頼む。」

「わかりました。ではお部屋に案内しますね。」


3日分のお金を払い、女の子に連れられて部屋の場所を教えてもらい、カギを受け取る。


「もうすぐ夕食の時間になりますので、降りてきてくださいね。」


そう言って女の子は仕事に戻って行き、俺はベッドに腰を下ろす。

ループスと少しじゃれた後、夕食を食べる。さすがにギルドがおすすめする事もあって、料理はおいしかった。

部屋に戻りベッドに横になる。護衛依頼はずっと気を張っていたので、想像以上に疲れた。もっと楽は出来たのだが、何分初めてだったので、力の抜き所がわからなかったのが大きいだろう。

その辺りが伯爵にばれていたのかもしれない。次回からはもっと効率よくできるだろう。そんなことを考えながら早々に眠りに落ちていった。


オルコット卿から指名依頼が来る日まで、、ギルドに顔を出しては掲示板だけ眺めて帰る。余った時間で情報収集を繰り返した。求める情報はもちろん美味しいお茶菓子である。

オルコット領は、小麦が有名らしく、上質な小麦が出回っているらしい。

ほとんどがパンになるようで、美味しいパン屋が多く、激戦区になっているらしい。宿屋のパンも美味かった。しかしパンでは紅茶は飲めないな。


パン屋の焼き菓子を買い漁り、フィーレに会いに行く。レイラさんの件で世話になったし、お礼の約束を果たさなければいけない。

フィーレに焼き菓子を渡してお礼の言葉を伝える。その後、お茶を飲みながら雑談を楽しむ。

途中でループスの話になり、強く成長させるコツを教えてもらった。どうやら、強い魔力の宿った食べ物を食べさせると、魔力量が上がり、強化されていくらしい。

今の成長期の時に、強い魔物の肉や魔力の宿った野菜や果物を与えると伸び率が良いそうなので、食事に気を使ってみる事にする。

お礼をしに行ったはずなのに、それ以上の物を貰っている気がする。またお礼をしに行こう。

フィーレに言われた通り、魔力の高い食材を買い漁り、ループスの食事を変えた。ループスが俺より良いモノを食ってるのは内緒だ。


ギルド経由でオルコット卿からの指名依頼を受け取り、約束通り、即座に受理する。

依頼を受けて2日後、来た時と同じメンバーでオルコット領を出発する。


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