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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
56/186

マシンガン

結局ループスはエリーゼさんとシスティーナちゃんに取られてしまった。膝の上で頭やのどを撫でるだけで、派手に撫でまわしたりしないのでとりあえずは良しとしておこう。

そして、やはり旬のネタである勇者の話になっていく。


「助けて頂いた時に、ハヤトさんも居ましたが、ハヤトさんは勇者様と仲が宜しいのですか?」


システィーナちゃんが興奮した様子で聞いてくる。


「どうだろうか?この間の、大進行で一緒に戦って、ギルドで少し言葉を交わしただだけだからな。」

「そうでしたか。仲が宜しいのかと思いました。勇者様のお話でもあればお聞きしたかったのですが、残念です。」

「システィーナちゃんは勇者様にあこがれてるのか?」

「はい!お披露目式で、お会いした時に凄くかっこよくて、お話ししたかったのですが、皆さん同じだったようで、なかなかお近づきになれませんでした。今思えば、もっと積極的にいかなければ行けませんでした。」


勇者の話をするシスティーナちゃんは興奮して熱っぽく語ってくる。そういう年ごろなのか、こっちの世界でも助けられるお姫様に憧れるのかは知らないが、テンションに付いていけそうにない。


「・・・そうか。」

「そうなのです。初めお会いしたときは、かっこいい方だとしか思わなくて、あまり積極的にお話しなかったのが悔やまれます。まさかあんなにも強くてお優しいとは気が付きませんでした。」

「・・・それは助けられた時に?」


確かに光輝は女性に優しいが、


「はい。怖くて震えている私の元へ颯爽と駆けつけて、[もう大丈夫だよ、よく頑張ったね。]と優しく頭を撫でてくれたのです。私は安堵して泣いてしまったのですが、落ち着くまで抱きしめてくれて涙を拭ってくれたのです。まさに勇者という称号がふさわしい御方です。」

「・・・すごいな」


・・・何やってんだよ。

アフターケアが手厚過ぎるだろ。しかも[但しイケメンに限る]タイプのケアの仕方だ。超イケメンだと効果絶大である。

きっと俺がやったら逮捕案件だろう。


「さらに勇者様は私に微笑んでくれてーーーー」


・・・あぁ、面倒臭くなってきた。システィーナちゃんは、鼻息を荒くしてすごく暴走している。

もうやめてあげてくれないかな?伯爵様が非常に微妙な顔をしているんだけど・・・。

年頃の娘が、ミーハーだったら確かにこんな顔するかも知れないけどもーーーー


「・・・しっ!」


俺の索敵に何かが引っ掛かる。システィーナちゃんの暴走を手で遮って、集中する。

集団でこちらに向かってくる気配がある。盗賊か魔物かまではわからないが、馬車を止めるべきだろう。


「まだ、途中なのですが。」


システィーナちゃんから反抗されるが、一旦無視して伯爵に話しかける。


「オルコット卿、敵です。まだ何かわかりませんが、集団でこちらに向かってきています。数は推定10。」

「本当か!?オリバー、馬車を止めろ。兵士達は隊列を組め。ハヤトくんも警戒を頼む。」

「かしこまりました。」

「わかった。」


オリバーさんが、前を走る馬車に合図を送り停止させる。兵士たちが下りてきて、オリバーさんと言葉を交わし、戦闘態勢に入る。

兵士が敵の居る方向に隊列を組み、武器を構える。兵士は5人で、盾が2人・槍が2人・弓が1人の編成。その後ろで俺は、周囲全方向を警戒する。

現れたのは10体のゴブリンだった。数は間違ってなかったようだ。先行して半分が突撃してくる。

ゴブリンと接触するまでに弓兵が2射する。1本はゴブリンの脳天に刺さるが、もう1本は狙いを外して脇腹に刺さる。

矢の刺さったゴブリンは体勢を崩して到着が遅れる。

無傷の残り3体が盾役と接触し、盾役2人でゴブリン3体を受け止める。辛そうな声を上げるも、なんとか踏みとどまる。その瞬間に槍兵が盾の隙間から槍を突き刺す。良いチームワークである。

槍兵がゴブリンを始体末して体詰め残り2体になったところで、控えていた5体が焦って動き出す。

さすがに兵士さん達にはキツそうなので手を出す。


「ファイヤーバレット」


5つの火の弾が浮かび、後続のゴブリンに向けて順次発射する。超高速で飛ぶ火弾は狙いを外さずにゴブリンの脳天を撃ち抜く。

兵士達はその光景に驚きつつも気をそらさず見事な連携で残り2体のゴブリンを始末した。

ゴブリンの魔石だけ回収して死体は焼いて灰にする。

そしてまた馬車を発車させる。



「驚いたよ。強いとは聞いていたが、ここまでとは。」

「あれくらいできる人は多いだろ。」

「あそこまで精密に魔術を飛ばすのは至難の技だよ。」

「あまり言われるとむず痒いな。俺はまだまだ修行のみだよ。」

「そういう事にしておこうか。蒼い炎はどういう仕組みなんだい?」

「旦那様、そこまでの詮索はいけません。」


オリバーさんからストップが入る。


「そうだね、済まない。熱くなりすぎてしまったようだ。」

「構わん。これは手甲のせいだ。手甲を杖と同じようにデバイスとして使うと勝手に蒼くなるんだ。」

「なるほど、特殊な素材を使ったオリジナルの武具という事だね。」

「あぁ、物自体はだいぶ気に入ってたんだけど、使う魔術をあんな蒼色にされたらたまったもんじゃないね。」


出来ればまともな炎の色の武器に替えたい所である。


「そうかな?大進行でも、ハヤトくんの技は目立っていて良いと思うのだけど。」

「目立つと良い事無いだろ。いろんなところから期待されると考えると最悪だ。細々とやっていたいね。」

「冒険者は名を売ってなんぼだと思っていたんだけど、ずいぶんと特殊だね。」

「まぁ、色々あるんだ。」


その後も、ワイワイとしゃべりながら順調に進んでいった。



設定


身体強化


活性化した体内魔力を全身に巡らせることによって身体が強化される。

応用として、部分的な強化が可能となる。身体強化のスキルレベルと、魔力量や魔力コントロールによって強化出来る大きさが変わってくる。



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