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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
55/186

護衛開始

レイラさんとの食事も終わり、護衛依頼の日まで暇になった。

出発はミレディからミスリルの服を受け取る次の日に決まった。

ここ数日で、ルカやリリィさん・シアちゃん。さらにはパトリックまで、依頼でどこかへ行ってしまったので、クランには若干居づらくなってしまった。

クランの若手育成を午前中にこなし、午後は旅の準備や買い物をする。

旅の準備で驚いたのはマジックバッグだ。

フィーレは時間が止まると言っていたが、本当に温かい物は温かいまま、冷たい物は冷たいまま出てくる。出来立てから、冷凍品までごちゃごちゃ入れても問題ないチート性能を発揮してしまった。さすが国宝クラスである。

マジで黙っていよう。


出発の朝、ギルドに寄って挨拶をする。


「お、おはようございます、ハヤト様ループスさん。今日から護衛ですね。」

「あぁ、それで挨拶に来たんだ。」

「ガゥ」

「ハヤト様らしいですね。普通、そんなに気を使われる方は居ませんよ。」

「そういうもんか?まぁ、良いだろ。じゃあ行ってくる。」

「ガゥ」

「は、はい。お気をつけて。」


レイラさんに背を向けてギルドを出ていく。

あの日以来、どうもレイラさんとの会話がぎこちない。

レイラさんは、酔った勢いでやってしまった事を気にしているのだろう。

顔を赤らめたり、それをなんとか理性で押し込めて真顔に戻ったりと表情が二転三転する。

そして、微妙に視線をずらして目を合わせてくれない。

護衛で居ないうちに解決してほしいものである。



そうこうしているうちに、集合場所の門に着く。

時間前だが、伯爵様団体は既に到着していた。

敬語は面倒臭いが、伯爵様相手だと使わないとダメだな。

心を決めて伯爵の元へ向かっていく。


「おはようございます。護衛の依頼を受けた隼人です。この子は従魔のループス。宜しくお願いします。」

「今日から宜しく頼むよ、ハヤトくんループスくん。私はエドワード・ド・オルコットだ。こっちが妻のエリーゼと娘のシスティーナ。それと、執事のオリバーとメイドのヘレンだ。」


各々、軽く挨拶を済ませる。

オルコット伯爵は想像以上に若いな。30前後だろうか?夫人はもっと若く見える。そして娘は中学生くらいの年齢だろう。遠目にしか見ていなかったが、誘拐時の暗い表情は無くなり、立ち直れているように見える。


「それでは、さっそく出発しようか。ハヤトくんも乗りたまえ。」


伯爵の号令で皆馬車に乗り込む。


「オルコット伯爵。護衛の私も乗車してしまって宜しいのですか?」

「構わないよ。基本的に魔物が出た時の戦闘を頼みたい。それ以外の対処は私兵たちがやってくれる。気にせず乗り込んでくれたまえ。」

「わかりました。」


正解がわからないが、伯爵本人がそう言っているのだから従うべきだろう。お言葉に甘えて馬車に乗り込み、出発する。


先を伯爵の私兵を乗せた馬車が進み、後から伯爵の馬車が続く。


オリバーさんと、ヘレンさんが御者の席に着き、伯爵親子と俺の4人が馬車の中に入る。


「今回、キミが依頼を受けてくれて助かったよ。」

「もっと適任がいたと思いますが?」


ケイトさんのパーティーとか、まだ知らないパーティーが多くいるはずだ。


「他の貴族が目をかけているパーティーには依頼できなくてね。代役を探すのは一苦労なんだ。」

「そうですか。」


・・・貴族になると依頼も選ばないといけなくなるのか。面倒臭いもんだな。


「あぁ、それと話しにくそうだから、無理に敬語を使わなくてもいいよ。」

「宜しいのですか?」

「公の場でなければ問題ないよ。冒険者は皆そういう物だからね。キミは話しにくそうだが出来ている方だよ。」

「じゃあ、お言葉に甘えて。普通に話させてもらうよ。」


オルコット卿がお堅い感じの貴族じゃなくてよかった。話がひと段落したところで、ずっとループスを見ていたエリーゼさんが口を開く。


「ハヤトさん、その子を抱いてみても良いかしら?」

「嫌がる事をしなければ大丈夫だ。」


ループスを抱きかかえてエリーゼさんの方に渡す。


「ありがとうございます。あら、毛並みもフワフワで可愛らしいですわね。」

「ガゥ」


自慢じゃないが、ループスのブラッシングは毎日しっかりやっている。良いブラシを買って丁寧にやっているので、そこらのペットとは毛並みの上品さの格が違うだろう。


「どれ、私もいいかな?」

「えぇ、どうぞ。」


エリーゼさんから、オルコット卿にわたる。


「おぉ!これは素晴らしい毛並みだ。良いモノを使って丁寧にブラッシングしている証拠だな。」

「そこまで解るか。」

「私も昔、従魔を飼っていたんだ。丁寧にブラシ掛けしてやらないとこうはならない。」


伯爵様に褒められるとなんか照れるな。


「お父様、私も抱いてみたいです。」

「あぁ、優しくな。」


次はシスティーナちゃんが抱きかかえる。


「凄く可愛いです。ハヤトさん、この子下さい。」

「ダメ。」


なんでみんな欲しがるんだよ。確かに可愛いけど。


「ダメですか。お父様、私も従魔が欲しいです。」

「使用人に押し付けずに、ちゃんと世話できるなら構わないよ。」


娘に甘いなこの父親。


「ありがとうございます。ハヤトさん、この子の種族は何ですか?」

「・・・驚かないで欲しいんだが、その子はフェンリルだ。」

「「「・・・え?」」」


皆フリーズしてしまった。無理もないだろう。フェンリルなんて、遭えば殺されるような魔物なんだから。


「・・・本当なのかい?」


オルコット卿が何とか声を絞り出して聞いてくる。


「あぁ、しっかり鑑定してもらって、ギルドにもフェンリルで登録してあるよ。いい子だし、言う事もちゃんと聞くから問題ない。ルー戻っておいで。」

「ガゥ」


システィーナちゃんの膝から、ピョンと跳んで、俺の膝の上にきれいに着地する。


「そ、それは心強いな。」

「こんなに可愛い護衛がいたら毎日楽しそうね。」

「可愛くて強いなんて凄いです。お父様、どうやったら飼えるんでしょうか?」


オルコット卿の顔は若干引きつっていたが、母娘は少し違った。

設定


魔力

体内魔力と自然魔力が存在する。

2つの魔力を練り上げることで魔術を発動する。


攻撃魔術

魔術を発動した時点で攻撃性を持つため、触れるとダメージが入る。

ランス系やソード系の持てそうな魔術も貫通力や切断力を上げるイメージのためにその形をしているだけなので、基本的に術者本人も触る事は出来ない。



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