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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
53/186

スタート

「こんにちは、ハヤト様・ループスさん。」

「こんにちは、レイラさん。まずは依頼の話をしたいんだけど、窓口はレイラさんでいいのか?」

「いえ、ギルド長を呼んできますので、個室で少々お待ち下さい。」


個室に案内されてガイアスを待つ。

今日は走り回って遊んでいたからか、ループスを撫でていたら、スヤスヤと眠ってしまった。


「待たせてすまんな。」


急いだ容姿でガイアスが入ってくる。


「たいして待ってない。なんだか忙しそうだから早速本題に入ろうか。」

「あぁ、助かる。」

「先日言っていた護衛依頼だが、受けることにするよ。」

「よかった。王宮から許可が下りるか心配だったんだ。」

「残念ながら下りてないぞ。」

「なんだと?黙って行くつもりか?」


俺の衝撃発言に驚きを隠せないガイアス。まぁ仕方ないだろう。許可を取る時間をくれたのに許可が下りていない状況で行くなんて言い出したらそういう反応になるだろう。


「そもそも王宮の中に入れんかったし。門番に伝言だけ頼んどいた。」

「大丈夫なんだろうな?」


伝わってなければ結局王宮に黙って行くことになるので、若干不安そうになるガイアス。


「勇者パーティーには怒られるだろうけど、教会の許可は貰ってるし、問題ないはずだ。」

「そうか。教会に許可を取る理由はよくわからんが、俺に被害が無いなら好きにすればいい。」


自分に被害が無ければいいなんて、俺みたいな事を言いやがる。


「わかった。それで、どこまで護衛するんだ?出来れば出発も3日以降にしてほしいところだ。防具の修理を頼んでるから取りに行きたい。」

「・・・何にも知らずに受けるって言ったのかよ。」


俺の適当さ加減にいい加減あきれるガイアス。


「面白そうだったからな。護衛依頼とか1回は経験しておきたいだろ。」

「理由が適当すぎる。ランク上げるためとか気の利いたこと言えんのか?」

「興味無いな。」


ランクなんて上げると目立つわ頼られるわでいいこと無いだろう。

Bランクには強制的に上がってしまったが、先日の話からすると、ここから先は意図的に行動しないとランクアップはほぼ不可能だ。

人知れず、細々と依頼をクリアしていれば、複数の支部から認められるとかありえないだろう。


「お前に聞いた俺がバカだった。今回の依頼の護衛対象は、オルコット伯爵夫妻とご令嬢の3名で行き先は伯爵領までだ。それと伯爵の執事、メイド、私兵が付く。」

「伯爵って、また大物が出てきたな。しかも、私兵が居るなら護衛要らないじゃん。」


知らない冒険者を雇うよりも、私兵で全て片付けた方が安心安全じゃないだろうか?


「私兵は基本的に対人戦闘しか訓練していないからな。盗賊相手なら対処しきれるだろうが、大型の魔物相手では、勝手が違って力を発揮できない事が多い。長距離移動では私兵数名と護衛に冒険者パーティーを雇うのが普通だな。」

「成る程、それでどれくらいで伯爵領に着くんだ?」

「片道5日だ。オルコット伯爵領への道はかなり整備されてるから、そこまで大変な依頼じゃないぞ。そんなに遠くない領地だし、村を経由出しながら行けるから野宿も2回で済む。」


5分の3で村に泊まれるのかよ。確かに楽だな。まぁ、相手が相手だけに護衛の質を落とせないのだろう。安易に受けて失敗したら大変だしな。


「じゃあ、出発の日時が決まったら連絡をくれ。それまでに準備をしておく。」

「頼んだ。俺は仕事に戻るぞ。」


そう言って、ガイアスは部屋を出ていく。

ガイアスが忙しそうだったこともあり、意外にもすんなり終わってしまう。

ループスも寝てしまったし、やる事もなくループスの寝顔を見つめていたらウトウトとしてきた。



ループスの鳴き声が聞こえて目が覚める。どうやらそのまま一緒に寝ていたようだ。

体を起こし、鳴き声が聞こえた方を見ると、レイラさんがループスとじゃれていた。レイラさんは、すでに私服に着替えていて、来たばっかという様子ではなさそうだった。


「おはようございます。ハヤト様。」


俺が起きた事に気が付いて挨拶してくれる。


「おはよう、レイラさん。ごめん寝てて、起こしてくれればよかったのに。」

「気持ちよさそうに寝てましたので。それに、ループスさんが遊んでくれましたし。」

「そうか、ありがとな、ルー」

「ガゥ」


寝て、疲れのとれたループスが、元気に吠える。


「それでは行きましょうか。」

「あぁ、よろしく。」


2人と1匹はギルドを出て、料理屋へ向かっていく。

レイラさんの案内で、貴族街の方へ行き、お目当ての店に入る。店員さんとひと言ふた言、言葉を交わし、すぐに案内される。どうやら予約までしてくれていたらしい。


「このお店は、貴族街の近くという事もあって、上質な物を提供してくれます。個室もあるので人気なんですよ。」


レイラさんが軽く店の説明をしてくれる。


「確かに、構えも内装も良さそうな雰囲気があるな。人気があるなら予約も取りづらそうなんだが、良く取れたな。」


ギルドや、いつも行く大衆酒場のような雰囲気も良いが、ここは落ち着いていてゆったりと食事が出来そうであった。


「実は、少しズルをしまして、ギルドの名前を使って予約しました。」


レイラさんはこっちを見て、お茶目な様子で笑う。


「俺は使えるものは使うタイプだから、全然いいと思うんだけど、レイラさんがそういう事やるのは意外だな。」

「1度やってみたかったんです。ハヤト様ならそう言っていただけると思いまして。」

「確かに俺ならむしろ推奨していくな。」


個室に案内されて、席に着く。コース料理を予約してくれているようなので、楽しみに待つことにした。

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魔術

古来は魔法の名称だったが、詠唱及び陣の発展により、いつしか魔術に名前を変えた。

スキルには魔法と言う名が残っているが、魔法と呼ぶ者はいない。

魔術詠唱・魔術的意味のある言霊を紡ぐ事によって発動する。魔術詠唱の定型文こそ存在するものの、自分の性格や、スタイルに合わせて語尾や内容をアレンジすることが多い。詠唱で術を律する事を魔術と定義しているので、無詠唱魔術は本来の魔法に近い。

魔術陣・魔術的意味のある紋様を書き、魔力を込める事によって発動する。小規模魔術は魔石で発動可能。給水システムから街灯・車に至るまで魔石本体や附属パーツに刻印することによって電池のようにして運用可能。大規模魔術は地面に陣を書き魔石や複数名の魔術師で発動する。

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