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裏方の勇者  作者: ゆき
召喚編
47/186

集合

建物の外に出て走り出すが、意外と人がいて走りにくい。

視線も感じるし・・・


「レイラさん、ルーしっかり掴まってってね。」


身体強化を使い、建物の上に跳び上がる。


「きゃっ!」


またもかわいらしい悲鳴が聞こえるが、気にせず走る。

建物から建物へ、屋根をつたいながら最短ルートで教会を目指す。


「そう言えばっさっき、レイラさんがハーフエルフって話が聞こえたんだけど、そうなのか?」

「はい、すみません。隠していた訳ではないのですが。」


髪をかき上げて、耳を見せてくれる。

確かに、人間よりもとがっている気がする。ただイメージしていたほど長くない。

ハーフだとそうなるのだろうか?


「あ、あまり見られると恥ずかしいです。」


おっと。ガン見し過ぎていたようだ。


「あぁ、ごめん。俺の世界には、エルフとかは居なかったから珍しくてつい。」

「そうですか。」

「そうすると、レイラさんも長寿なのか?」

「ハヤト様、女性に年齢を聞くのは失礼ですよ。」

「ごめん、そんなつもりではなかったんだが。レイラさんの事は少し年上のお姉さん位だと思ってたんだが、役職が役職だし、疑問に思ってたんだ。仕事が出来過ぎてここまで登ってしまったお姉さんだと納得しておくよ。」

「フフッ。素直でよろしい」


首に巻いた手の力を少し強め、急にお姉さんぶるレイラさんに少しドキッとした。

誤魔化すように速度を上げ風を切り、止まることなく走り続ける。


「ほめられた移動手段ではないですが、景色も良いですし、風も気持ちいいですね。」

「景色なら飛んで見る夜景がそこそこ良かったな。」

「夜景、ですか?」

「夜の景色って見ない?」

「はい。」


・・・そうか、高いビル何て無いし、山は危険だから夜景を見る文化的なのは無いのか。


「元の世界では好きな人多かったんだけど、基本は高い所から街明かりを見るんだ。街灯も整備されてるし、皆が寝静まる前なら住宅の明かりもあって、綺麗だったよ。」

「見てみたいですね。」

「機会があればな。」

「是非お願いします。」


教会に着き、レイラさんとルーを下ろして、治癒魔術をお願いする。

ついでに治癒魔術の寄付金を渡しておく。

レイラさんの治療が終わり、教会を後にする。


「装備を取りに行ってくるけど、レイラさんはどうする?」

「私は、ギルドに戻ろうと思います。」

「大丈夫か?休んでも誰も文句言わないと思うんだが。」

「お気遣いありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。」


・・・本人が言ってる事だし大丈夫としておこう。

この世界の人は、ハードワーカー多くないか?


「じゃあまた後で。装備を整えたら、すぐにギルドに行く。」

「わかりました。お待ちしております。」


レイラさんと別れて、竜の息吹の拠点に向かう。


「ルー、昨日泊まった屋敷まで走るか?」

「ガゥ!」


ずっと歩いてばかりだったし、ルーにそんな提案をしてみたら、すごく明るい声で返答が返ってきた。

やっぱり全力で身体を動かしたいのか?


「決まりだな。じゃあ、ヨーイドンでーーーー」


ルーが、一気に駆け出す。


「・・・おいこら」


俺は、ルーを追いかけるように走り始めた。

ルーは子供で小型犬サイズにも関わらず、普通に大型犬の全速力を優に越える速度で駆けている気がする。

ルーと並走して走り抜け、クランの拠点に着く。


「ルー、フライングしただろ。」

「クゥゥン」


ショボンとするルー。フライングについては反省しているようだ。


「まぁ、競争してたわけでもないし良いか。それにしても、めちゃくちゃ速いな。すごいぞ。」

「ガゥガゥ!」


褒めながら撫でてやると、誇らしげに吠える。


屋敷のなかに入り、自分の装備を持ち出す。


ちょうど良くすれ違ったルカにルーを預けて、ギルドに向かう。


「早いですね。」

「あぁ、ガイアスよりも遅かったら何を言われるかわからんからな。」

「ハヤト様は、普段の言動からは信じられないほど真面目な時がありますね。」

「やると言ったらやるもんだよ。」

「スイッチのオンオフが激しすぎる気がしますが。」


ついにレイラさんからもツッコミが入ってしまった。

そんな無駄話をしながら待っていると、ガイアスが戻ってくる。


「取り調べは終わったのか?」

「あぁ!少し急がないといけない。別室に移動してくれ。」


ガイアスとレイラさんと俺の3人で、会議室へ移る。


「取引場所が判明した。今回は、急ぎだからギルドメンバーと騎士の少数精鋭で出ることにする。と言っても、ギルドからはハヤトが出るだけなんだがな!」


会議室に入ってガイアスが説明し始める。


「俺だけかよ。」

「仕方無いだろ!パッと呼べるやつが居ないんだ。ほとんどが二日酔いだ。」

「・・・タイミング最悪だな。」

「それが狙いだろう。一難去って、皆の気が緩んでいる。さらには大進行で中止していた式典の帰宅ラッシュだ。門の警備が手薄になっているだろう。」

「ハゲにしては手が込んでる。もう一人の差し金か?」

「たぶんそうだろう。だが、真実はわからなくなった。そいつは俺たちの隙を見て自殺しやがったんだ。」

「つまり、取引現場を押さえてまた尋問し直しってことか?」

「そういう事だ。面倒だが、上手くいけば人さらいの大元まで行けるかもしれん。」

「そうなれば最高だな。」


コンコン


会議室のドアがノックされる。


「騎士の精鋭達が来たみたいだな。」


ガイアスは誰が来たかわかっているようで、騎士を中へと迎え入れる。


「やぁ、予想以上に早い再会で、僕も驚いているよ。」

「まったくよ、アナタ巻き込まれ過ぎじゃないかしら?」

「本当ですわ。今日はお休みでしたのに。」

「まぁまぁ、皆集合で良いじゃ~ん」


勇者パーティーが集結した。

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