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裏方の勇者  作者: ゆき
召喚編
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女神

金髪碧眼の美人でスタイル抜群、身長は俺より少し下くらいか。

微笑む姿が非常に可愛らしくも見える。

これは声をかけられだけで惚れる人が続出だな


「・・・えーと、女神様。矯正プログラムとは、何をするのでしょうか?」

「特に何かをするわけではありませんよ?」

「「えぇ!!」」


マリエルさんも俺と同様に驚いている。なんで呼ばれたんだろう?


「何もしない訳でもありませんよ。その前に勇者ハヤト様、私にも砕けた話し方でお願いしますね。呼び方も女神様ではよそよそしいので、ディアと呼んでください。」


・・・すごくフレンドリーな女神様だ


「よろしいのですか?」

「大丈夫です。むしろしてくれないと怒っちゃいますよ。マリエルにも言ったのですが、ずっとかしこまったままなのです。」


何だろう、ギャップ萌えというやつだろうか。

やたらかわいらしい。


本当に大丈夫なのかと思い、マリエルさんの方を見ると、『私には無理でございます。お願いします。』と小声で言われた。

まぁ役職がら不可能だろう。


「わかった。宜しく、ディア」

「ありがとうございます。それでは勇者様、手を出してください。」


よくわからないが、言われた通りに右手を前に出す。

その手を女神様が両手で包み込む様に触れる。

めちゃくちゃ繊細で柔らかいんですけど・・・


「緊張しなくてもいいのですよ?」

そう言って微笑む女神様、笑顔が眩し過ぎる。

「・・・いえ、緊張ではないのですが・・・」

「大丈夫です。わかってますから。」

何をわかっているのだろうか?


手を握られること数秒、繋いだ手が柔らかな光に包まれる。

すぐに集束し光が消える。


「これで終わりましたよ。」

何が起きたのか解らず動けないでいると、マリエルさんが問いかける。

「女神様、これでバッドステータスが無くなったのでございますか?」

「いえ、無くなっていませんよ?加護を与えただけです。私は加護を与える事以外でステータスの書き換えは出来ませんので。」

「そうでございましたか。」

「私の加護は戦闘には向きませんので最大の加護を与えました。少しは助けになるでしょう。」


称号

New豊穣の女神の加護(最大):農耕にボーナス大、ステータス向上


本当だ加護最大が増えてる。

隣でマリエルさんが固まってるけどどうしたんだろう?

まぁいいか。

「ありがとうございます。ステータス向上だけで十分助かります。」


「・・・めっ・・・女神様、最大級の加護を与えられたのでございますか?」

なんかまずい称号なのか?

「はい。何か問題でも?」

「いえ、滅相もございません。ハヤト様、最大級の加護を頂いた人は歴史上でも数えるほどしか記録されていません。国が無茶をしてでも囲いこみにくる称号でございます。」


「・・・それは、凄い称号をもらっちゃったな」

面倒事に巻き込まれそうだな


「では見えない様にしておきましょう。」

「そんなことできるのか?」

「はい。今見えなくしますね。」


そう言って俺の顔の前に手を向ける

「終わりました。これで誰にも見えませんよ。では本題に入りましょうか。」

「お願いします。」


女神様は、ニコニコ微笑んでいた顔からキリッと真面目な表情に変わり話し出す。

「称号が減ることはほとんどありません。例外は加護と祝福くらいですね。」

「なるほど、だから何もできないんだな?」

「はい。しかし勇者様の場合は、やる気にさえなってしまえば、バッドステータスなんて大した問題にはならないのですよ。」

「魔王を倒す使命に燃えて、やる気になればいいということか?」

「そうなればベストですが、まずは強くなってください。」

「修行の課題でももらえるのか?やる気出せるかな?」

「それに関しては貴方の方が詳しいはずです。私がするのは、元の世界と今の世界の話ですよ。少し嫌な話になると思いますが大丈夫ですか?」


まぁよっぽどおかしな話はないだろうし大丈夫かな?


「大丈夫だ」

「では元の世界の話からしますね。貴方は元いた世界でコウキ様に得意の空手で負け、リベンジに燃え、がむしゃらに修行しました。そして他人とコウキ様が戦っているのを見て、理解してしまったのです。今なら勝てる、と。そのせいで修行に熱が入らなくなり、コウキ様自体から目をそらした。違いますか?」


結構グサグサくる話じゃないか・・・

というか、なんで知ってんだよ。


「・・・たぶん、あってると思う。ただわからないのは、光輝から目をそらしているってところだな。」

「おそらく無意識なのでしょう。自分よりも高みにいてもらわないと熱が入らないので、現実を見ないようにしたのではないでしょうか?」

「なるほど・・自分の事なのに解らんもんだな。ありがとうディア。胸のつっかえが取れたよ。」


「お待ちください、お二方。今の話からすると、コウキ様よりもハヤト様の方が強いのでございますか?」

「その通りですよ、マリエル。」

「姫様も凄い人を嫌ってしまったのでございますね。」

「やっぱり、嫌われてたの?」

「嫌いというよりも、眼中にない、でございます。」

「・・・まぁ、いいや。ディア、話を進めよう。」


「では、ここからはこちらの世界の話です。異世界の方々が召喚される際、元の世界での特技などが強化されるという話は聞いていますね。」


確かに王女様がちらっと言っていたな。

俺の地球での行いはここまで脳筋ステータスになるのか・・・


「脳筋ですね。」

おいコラ!天然女神


「女神様、脳筋とは何でございますか?」

マリエルさんなぜそこにくいつく

「脳筋とはですね、あたーー」

「ディア、話を進めよう。」


「仕方ないですね。マリエル、後で教えます。」

「ありがとうございます。女神様。」


いいよ教えなくて・・・


「話を戻して、問題はコウキ様のステータスですよ。元の世界で才能に溢れた人間がさらに強化されて来たのです。」

「それがあのスキルか?」

「はい、可能性のスキルですよ。」

やっぱりあれはチート級に強いんだ。


「可能性が芽生えるということは、文字通り不可能を可能にしてしまうスキルですよ。」

「0%が1%になれば後は持ち前の才能と実力でひっくり返せるってところか・・・」

やっぱりアイツはバケモノだよな


「つまりは全ての事が可能になるという事でございますか?」

マリエルさんもスキルのヤバさがだんだん解ってきたみたいだ。

「この場合、限界も限界でなくなりますね。進化する可能性も有りますので。」

「とんでもないスキルでございますね。」

「その彼が、魔王討伐のために、訓練をして、実戦で力を付けます。しばらくすればすぐにハヤト様を抜く事でしょう。そうならない為に貴方は今まで以上の修行が必要となります。目標ではなく、ライバルとして共に成長するために。楽しそうではないですか?」


「楽しそうだな。」


あの天才が追いかけてくるってのが最高にスリルがある。

追い付かれないように修行しまくろう。



「無事、やる気が出てきたみたいですね。」

「あぁ、すごく面白そうだ。ありがとう、ディア。」

「これが私のつとめですので」


光輝を避けていた理由が自分に有ったとは思わなかった。

しかし、やたら俺たちの事に詳しいな、神様ってのは違う世界の事までわかるのか?


「実は、勇者様方の事は、創造神様に教えてもらったのですよ。」


おっと、タイムリーな答えが返ってきたな。

創造神なんてのもいるんだな。


「創造神様はこの世界を創った方ですよ。」


なるほど

・・・さっきから心読まれてないか?


「読んでいるのですよ。」

「まじか・・・」

「どうしたのでございますか?」

さっきから話についてこれていないマリエルさんがキョトンとしている。


「ディアは、心が読めるらしい」

「・・・ふぇ?」

マリエルさん変な声が出てますよ。


「マリエルは私の話を真剣に聞いてくれて素晴らしいですよ。」

「あ・・・ありがとうございます。」

少し顔がひきつってるけど、まぁ大丈夫だろう。

「ハヤト様は私のしぐさにかわいいとか反応してくれて嬉しいですね。でも、あまり言われると照れてしまいます。」


そこに触れてきますか、女神様・・・

平常心だ・・・平常心を保て・・・


「ディアなら言われ慣れてるんじゃないのか?」

「神界の神々は読めないのですよ。私はあまりこちらに降りて来ないので新鮮なのですよ。」

「そうですか・・・」

「ちなみに女神に対して天然はないのですよ。」

「すいません・・・」

「そのような事も考えておられたのでございますか?」

「すいません・・・」


まずい、マリエルさんまで追撃をかましてきたぞ。

喋らなければ良いんじゃないな、話題を切り替えなきゃいけない。


「所で俺のやる気が出たところで、神託の話は終わりなのか?」

「あっ、話をそらしたのですよ。」

「もう俺いじりは良いでしょ」


精神がガリガリ削られるんだよ、恥ずかしい。


「仕方ないですね、今日の話は終わりですよ。しかし、王宮には戻らなくていいのですよ。」

「じゃあどこに行けば良いんだ?」

「他の勇者様方とは別行動をとってもらいたいのですよ。」


マジか。このまま放り出されるの?

文無しで生きていけるほど俺はたくましくないぞ・・・


「王宮に戻らないと、訓練出来ないんだが・・・」

「ハヤト様の場合、すでに出来てますので、習うより慣れろ!なのですよ。」

その言葉この世界にもあるんだ。


「実戦をするのか?」

「はい。マリエル、ハヤト様に教会の装備と路銀をあげるのですよ。」

「教会騎士の装備は貸し出せませんので、教会で亡くなられた方の、状態のよくない防具しか無いのでございます。」

「かまいませんよ。ハヤト様には冒険者や街の人々と仲良くなっていただきたいのですよ。」


本人を抜いて話がどんどん進んでいってるんですけど、大丈夫か?


「仲良くってのは、神託の仲間って事か?」

「そうなのですよ。コウキ様一行は、これから各国代表と挨拶をしたり、上層部との繋がりが多くなります。ハヤト様はコウキ様一行の繋がりの薄くなる場所をまわってほしいのですよ。」

「光輝達とは、完全に別行動ということか?」


別行動をとれば、光輝の挑発に悩まされる事はなくなるな。

多少心配ではあるが、雫が上手いことコントロールするだろうし、問題無いよな・・・


「はい。ハヤト様もそちらの方が嬉しいのではないですか?」

「まぁ、一人で自由にしてた方が気楽で良いな。」

「それでは決まりです。ハヤト様は装備を受け取って冒険者になってくださいね。」

「わかった。ところで冒険者って何するんだ?」


その言葉に驚くマリエルさん、なんか信じられないモノを見る様な目でこっちを見ている。


「知らずに引き受けたのでございますか?」

「あぁ。ディアが言うんだから冒険者が正しいんだろ。」


神様からの神託なんだから間違っている事はないだろう。


「そうでございますね。」

「マリエル、冒険者の説明をお願いしますね。」

「はい。冒険者とは依頼を受けて遂行したり、ダンジョンへ潜って魔物を討伐したりして生計を立てる職業でございます。」

「なるほど、討伐・護衛・採取が主な仕事ってところか?」

「!? 飲み込みが早いのでございますね。」


俺の発言に驚くマリエルさん

俺だって討伐系のゲームをやったことくらいはある。そのイメージで質問したらあってたみたいだ。


「まぁ、そんな感じのゲームをやったことがあるだけだ。」

「ゲームでございますか?」

「説明が長くなるから後で良いか?」

「大丈夫でございます。冒険者にはFからSまでのランクがあって、B以上が一流でございます。」

「意外と一流の幅が広いんだな。」

「Bランクの上位から貴族お抱えの話が掛かるようになるのでございます。そのためBランクごと一流と呼ばれているのでございます。」


お抱えの話が出たところで、ディアが口を挟む。


「ハヤト様は神託で教会を後ろに付けさせますので、全て断ってくださいね。」

「お抱えとかめんどくさそうだから断るつもりだったけど、教会は大丈夫なのか?」

「前例はございませんが、神託であれば問題無いはずでございます。行動も制限しないように言えるのでございます。」

「それはお抱えと言えるのか?まぁ、ありがたい話だけど。」


今後の方針が決まり、雑談ばかりになる。

主に先ほどの脳筋やゲームの説明、元の世界の話、こちらの世界の常識についても軽く話をしてディアは神界へと戻っていった。

ディアを見送った後、俺とマリエルさんは装備の置いてある倉庫へと向かった。


「この中の物はどれでも持っていって大丈夫でございます。」

「基本的に無手だが、ナイフはあっても良いな。あとは、動きやすい防具は有るか?」

「この辺りの革鎧はいかがでございますか?素手というのも危険でございますので、攻撃用の手甲と足甲も持っていってはどうでございましょうか?」

「それは良いな。貰ってくよ。」

「これだけで大丈夫でございますか?」

「とりあえずは・・・何か忘れてたらここに来るか買うことにするよ」


装備も選び終わり、しばらくは教会に泊めてもらうことになった。

お抱えの件も含めて一部教会関係者から反対意見があったみたいだが、ディアからの神託だと言ったら渋々ながらに認めたらしい。

まぁ泊まれると言っても患者用のベッドで病院の一室のような所だけど、タダで泊めてもらえるなら文句は言えないな。


「異世界に来て2日、皆にはアルカディア王国がバックに付き、俺には教会が付いた。昨日の信頼の話は大方クリアしたな。これでどちらかがおかしくても、残りの人が正せる。」

ベッドに横になりそんなことを呟きながら眠りについた。

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