回避不能
1日で修行を一区切りを付け、王都に戻ってきた。
修行後の荒野は、いくつものクレーターができ、超高温の炎によって岩や地面が融解した後が点々としていたのだが、戻し方がわからないので、そのまま放置してきた。
その後、この惨状を発見した冒険者によって、ギルドへ報告され、一時的に災害級もしくは魔王級の魔物の発生を視野に入れた準警戒体制地区に指定される事となる。
久しぶりに冒険者ギルドに顔を出すと、式典は終わって時間が経つというのに騒がしかった。
「レイラさん、皆はまだ式典の余韻が抜けないのか?」
「お久しぶりです、ハヤト様。皆様は魔物の大群の情報を求めて来ているのです。」
「あぁ、その話か。大規模討伐をするのか?」
「ハヤト様、その情報は最新ではありません。その魔物の大群が王都に向けて移動を開始しました。こちらまで辿り着くのは明後日になりそうです。」
「一大事じゃん。」
「はい。ですので、Dランク以上の冒険者に出動要請がでています。」
「面倒だな。パスできないのか?」
「申し訳ございませんが、出来ません。」
「だよな。」
「ハヤト様の場合、それを差し置いても出動要請が来るはずですよ。」
「・・・」
確かにそうだな、ほぼ確実に王宮から要請が来るだろう。
勇者がパスとか印象が悪すぎる。
すでに式典で盛大にやってるんだけどな。
「それと、こちらからも連絡が有りまして、ギルド長から、来たら連れてこいと言われておりますので、付いてきてください。」
「わかった。」
レイラさんに連れられて、ガイアスの部屋へと向かう。
何の用だろう?まさかここでも怒られるのだろうか?
部屋にたどり着き、ノックをする。
「レイラです。ハヤト様をお連れしました。」
「入れ」
中では、キレ気味のガイアスが待っていた。
「ハヤト、よくも式典をバックレやがったな。」
「危機回避能力が高いんだ。あんな恥ずかしめ受けられるか。」
そういう事は光輝達がやればいいんだよ。俺の出る幕では無い。
やりたい奴にやらしておけ。
「俺は王宮と教会から使いが来て対応が大変だったんだからな!」
「今度、何かで埋め合わせするよ。」
「貸し1でいいか?」
「ダメだな、メシ奢りくらいで勘弁してくれ。」
借りなんて作ったら、どんな無茶なことをやらされるか分かったもんじゃない。
「それこそダメだ!メシごときでチャラに出来ると思うなよ!」
「ガイアス・・・・・・食事をナメるなよ!」
「何でそこにキレるんだよ!とにかくギルド長権限で貸し1だ。」
「横暴だな。」
「うるせぇ!それにしてもいいタイミングだ。もう少ししたら大進行の会議だからお前も参加しろ。」
「面倒だ。大進行も後ろの方でコソコソしてるから、勝手にやってくれ。」
「ダメだ、敵の数が多いし、勇者の件もあって騎士も参加することになってる。騎士に突き出されて勇者として参加するか、冒険者として参加するかの2択だ。」
マジか、光輝達も参加するのか。
しかしこの2択なら選ぶのは1つしかないだろう。
「面倒だが、冒険者として出る。」
「そうか。では会議に参加する前にステータスを教えてくれ。役割を振る参考にしたい。」
ステータスか・・・全く見てなかったな。
結構修行したし、多少は上がってるだろう。
氏名
石田隼人
種族
人間
称号
怠惰
勇者
武闘家
火の魔術師
異世界人
豊穣の女神の加護(最大)
魔術の女神の加護(大)
スキル
体捌き level 9/10 Up
総合格闘技 level Max
身体強化 level Max Up
限界突破 level 1/10 New
投擲 level 4/10 New
気配察知 level 5/10 New
火炎耐性 level 4/10 New
火属性魔法 level 8/10 Up
無属性魔法 level 5/10 Up
魔力コントロール level 7/10 New
鈍感 level -
「・・・・・・やりすぎたな・・・」
「よく分かった。ハヤト、お前は化け物だ。」
「ハ、ハヤト様。その加護は・・・」
「今見たものは、全部忘れろ。」
脳筋度が上がってんじゃねーか。何だ限界突破って?音速を超えた時か?
「魔術のレベルが高い。大規模な魔術は習得してるか?開幕の一撃を頼みたい。」
「上位魔術ならプロミネンスとかエクスプロージョンあたりが使える。」
「決まりだな。ケイトと相談だ。」
誰だそれ?初めて聞く名前だ。
顔に出ていたのだろうか?すぐにレイラさんが説明してくれる。
「ケイトさんは、”安らぎの風”と言うAランクパーティーの魔術師です。」
「その人も初撃担当なのか?」
「あぁ、二つ名がテンペストと呼ばれる程に、大規模魔術を使える。会議に呼んでるから細かい打合せはそこでしよう。」
そのまま雑談となり、俺の新しい装備についての話をした。
纏いの蒼い炎と、今回の修行で偶然にもできた、普通の魔術も蒼い炎に変える技術も披露した。
魔術師が杖を媒体にするように、手甲を媒体にして魔術を発動することによって、炎が蒼くなったのだ。これで、変な感じになっちゃう事も無いだろう。
会議の時間になり、3人で会議室に向かう。




