表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏方の勇者  作者: ゆき
召喚編
26/186

帰還

ひとまず、ディアの事はおいておこう。

先に、今回の報酬の配分をしなければ旅も終われない。

オークの時にも行った倉庫に向かう。

すでにルカが今回討伐した魔物を出して待っていた。

数日の旅だったので、結構な量の魔物が並べられていた。


「この状態で、取り分だけでも決めようか。ハヤト殿はサラマンダーの素材が欲しいのだろう?」


リリィさんが率先して仕切ってくれる。こういうのは先に決めておかなければいけなかったのだろうが、完全に忘れていた。思い出したのはサラマンダーを狩り始めた時なので、時すでに遅し状態だった。


「あぁ、サラマンダーと、上位種、装備をそろえる金さえあれば今のところは問題無い。」

「欲が無いな。倒した分は持って行っていいぞ。」

「そんなに貰っていいのか?」

「構わん。」


俺の取り分が、サラマンダー3匹にカオスサラマンダー1匹・その他有象無象が多数といった具合の量になってしまうのだが、確実に貰い過ぎだろう。


「サラマンダーと上位種だけで良い。今回の旅は、至れり尽くせりでだいぶ楽をさせてもらった。足りるかわからんが、メイン以外の俺が狩った魔物は全部やる。ルカとシアちゃんにでも分けてくれ。」

「そうか、ではハヤト殿が倒したサラマンダー3匹とカオスサラマンダー1匹を持って行ってくれ。残りはここで売ることにする。」


取り分が決定し、俺のモノ以外は換金されることとなった。

金額の計算が終わるのを待っていると、入り口からずかずかとハゲが入ってきた。

久しぶりに見たな。どっか行ったかと思って少し喜んでいたんだけど。


「大物が大量だぜぇ!!」


テンション高いな、そんな儲かったのか?

まぁ、イライラしていないので、絡まれなさそうだから良しとしよう。

しかし、何があるかわからんから、気配を消して、置物のように、置物のように・・・


「おいクソガキ、ここで何やってんだ?」


置物のように・・・置物のように・・・


「おい!無視してんじゃねーぞ!!」


置物のように・・・ん?このハゲ俺に言ってんのか?


「テメェ!ふざけてんのか!?あぁ!?」

「騒がしいな、どうかしたのか?」

「クソガキが調子に乗ってんじゃねーぞ!!ここはお前みたいなのが、ゴブリンの魔石を持ってくるところじゃねーんだよ!!」

「そうか、もうすぐ俺たちの査定が終わるから、待っててくれ。」

「魔石だけならカウンターで済むだろうが。ここは俺たちみたいな、大物を仕留めたモンが来る所なんだよ。」


自分のバッグをポンポンと叩き、得意げな顔をするハゲ。

あのバッグは、マジックバッグか?こいつらがどれだけ金を貯めてたか知らんが、実力的にすぐに買える額を貯めるのは、不可能だろう。

しかし、このハゲ共は、俺がどんな目的でここに回されてるのかわかってないみたいだ。

面倒くさいし、いつもみたいに誰か来てこいつらを追い払ってくれないかな?


「ハヤトさんお待たせしました。もうちょっとで査定が終わるみたいですよ。」


ルカ登場。

・・・ダメださらに絡まれる気しかしない。今日は運が悪いな。


「そうか、ゆっくり待つか。」

「おいおい!何だその男か女かわからんようなヤツは!!」

「・・・おいハゲ、俺の事は何と言おうと気にしないが、友人を悪く言うなら俺も怒るぞ。」

「わっはっは!腰抜けが怒るとどうなるんだ?二人でお似合いコンビじゃないか。」

「ハヤトさんはーーーー」


ルカが怒ってくれるが、手で制する。

こんな雑魚とケンカしたところで、利点が全く無い。


「ルカ、席を変えよう。ここは騒がしい。」


席を立ち、ハゲどもに背を向けて部屋の隅の方へと歩き出す。


「ハヤトさん・・・」


ルカが何か言いたげだが、面倒くさくなりそうだから飲み込んで貰おう。


「悪いな、ルカ。」

「いえ・・・」


隅の方まで来たところで後ろから声がかかる。


「無能同士、雑魚でも狩って小銭集めてろよ。」


ルカを悪く言うなと言ったはずなんだが・・・

ほんの一瞬、1秒にもみたない時間、ハゲ一味に本気で殺気を放つ。

濃密な殺気にさらされて、冷汗をかきながらも歯を食いしばって正気を保つハゲ。

愉快な仲間たちは、苦しい表情で胸のあたりで服を握っていたり、口元をおさえて吐き気をこらえたりしていた。

ハゲ達は、殺気を放った人物がわからず、あたりをキョロキョロしていた。


「どうかしたか?」


俺ではないような言いぐさで、白々しく声をかける。


「な・・・なんでもねぇよ。お前ら行くぞ。」 


焦った様子で退散するハゲ一同。

丁度そこへリリィさん達が合流する。


「トラブルか?ハヤト殿」

「いや、何でもない。また絡まれてただけだ。」

「そうか、大丈夫だとは思うが気を付けろよ。鍛冶師の紹介は今日済ませるか?」

「そうだな。早く装備をそろえたいし、可能であれば今日行きたいところだ。」

「わかった。ではそのまま行こうか。帰りたい者は解散で良いぞ。」


リリィさんがそう言ったが、結局全員でいくこととなった。



閑話


その夜、討伐した魔物を換金し、今日も酒場で打ち上げをするハゲ一味。

最近羽振りが良く、装備も一新され、討伐する魔物も1ランク上がって絶好調のパーティーである。


「冒険者は最高だな!胡散臭いやつだったが、儲かってしょうがねぇ!」

「アニキ、あんまり大声で言っちゃダメっすよ!」

「あぁ!あまり聞かれるのは良くない。」

「いいたくなるのも分かるけどな。」

「あぁ!」

「わりぃな!ところで、結局あの腰抜けは、リリィさんとクエストに行ってたって事か?」

「そうじゃないっすか?」

「装備と言ってたから、討伐を手伝ってもらってたんだろう。金で雇ったとかだろう。」

「クソが!どっかの貴族のボンボンかなんかか?」

「かもしれないっすね。」

「腰抜けで、雑魚ばっか狩ってるお坊ちゃまの寄生虫か。飛んだお笑いものだな。わっはっは!」

「そおっすね!」


大声で盛り上がりながら悪口に花を咲かせるハゲ一味。

その会話を聞いていた人たちによって、ハヤトのあだ名がまた2つ増える事となった。

寄生虫・お坊ちゃま

借金まみれのお坊ちゃま誕生である。


閑話休題

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ