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裏方の勇者  作者: ゆき
召喚編
24/186

サラマンダー

アーマジロの死体も回収して馬車へと戻っていく。

ルカに収納してもらったのだが、アーマジロの死体を見て全員が引いていた。

脳だけ破壊されて、外傷のほとんど無いモノと、背中の鎧から背骨まで砕けて逆側にくの字に曲がっているモノ、最後は頭からしっぽまで焼け焦げた孔が開いているモノ。

俺もこんなもん持ってこられたら引くな。

リリィさんはまだ普通だったが、アレンは苛立ち、ルカとシアちゃんとリンカさんは顔がひきつっていた。


「シアちゃんごめん、この腕治るかな?」


うっ血して青く腫れた右腕を差し出す。


「だ・・・大丈夫・・・です・・・ひ・・・ヒール」


右腕が少し暖かくなったと思ったら、徐々に痛みが引いていく。

腕も腫れが引き、色も元に戻ってしまった。


「ありがとう。治癒魔術ってすごいな。」

「ど・・・どういたしまして」

「ハヤトさん、僕はあれを教えてもらうんですか?」

「その予定だ。ただ、あそこまでやらないからそんなにビビらなくて良いよ。体の使い方までしか教える気ない、護身からはずれるし。」

「わかりました。よろしくお願いします。」


ルカは俺の腕を見てビビっているようだ。

そりゃそうだろうな、教えてもらえる技があんな諸刃の剣ではドン引きだ。


「ハヤト殿、最後の技はなんだ?」

「技名は無いな。なんか適当に付けてくれ。」


技の大元は兜割りなのだが、剣の究極技の一部、力の伝達だけを投擲に利用した全くの別の技だし、兜割りと言われてもピンと来ないだろう。


「そうではなくてだな。何が起きたのか説明してくれ。ケガする事は知っていたんだろう?」

「あぁ、ケガは人体の限界を超えたからだ。」

「スキルの限界突破か?」


そんなスキルあるのか、取れるなら欲しいな。

スキルで無理矢理限界突破するとか反動やばいだろ。今回身体強化だけでこのダメージだぞ。併用してしまったら、腕ごとちぎれて飛んできそうだな。


「違う、身体強化で振った腕の動きが速すぎて身体が耐えきれなかったんだろう。うっ血はそれが原因だな。後は腕の後ろに真空が出来て、細胞が弾けて出血、真空で血液が蒸発したってところか。」

「言ってることがサッパリわからないんだが。あの炸裂音は何だったんだ?」

「あれはソニックブームだ。音速を超えた時に起きる」

「ソニックブーム?」

「滅茶苦茶速いと音が鳴る。そういうモノだと思ってくれればいい。」


荒地も終わり、馬車は山を登り始める。

活火山なんだろうか?火山岩でできた山で、山全体が暑い。いや、熱い。

しばらく登って行くと馬車では進めなくなってしまった。


「ここからは、徒歩で登って行く。ルカは馬車の番を頼む。」

「「「「「はい」」」」」


リリィさんの号令で馬車を降り、道の無い山を登っていく。

サラマンダーは洞窟や山頂に生息しているらしいのだが、メンバーがメンバーだけに群れのいる所は避けて、見通しの良い所で戦う事となった。

リリィさんは大丈夫だとしても、俺は初めて見る敵だし、アレンとリンカさんは後学の為に来ているはずだ。乱戦を避けたいのは当たり前の話だろう。

視界が広くとれる場所を選んで進み、今回の旅の目的であるサラマンダーと遂に対面する。

遠くで見つけたので、気づかれないようにゆっくりと近くまで進む。


「でかいトカゲだな。」

「ハヤト殿それはサラマンダーに失礼だ。」


リリィさんからツッコミが入る。

土色のコモドドラゴンのような外見と大きさ、違いは、背中にワニのような隆起したコブがあり、全身が燃えていた。

サラマンダーの周りは陽炎が立ち上り、見るからに熱そうである。


「リリィさんあれ触ると熱いよね。」

「当たり前だろう。外皮と炎の鎧もそうだが、危険なのは噛み付きだ。平気で腕を食いちぎるし、放っておくと病気になって死ぬぞ。」


なるほど、口の中で菌を飼ってるのか。


「もし噛まれたらどうするんだ?」

「そのためのシアだ。噛まれたら大事になる前にシアに治してもらえ。」

「わかった。」

「アレンもリンカも気を抜くなよ」

「「はい」」

「まずは、私が手本を見せてあげよう。」


リリィさんは岩から離れ、サラマンダーと対峙する。

サラマンダーがリリィさんに気付き、一度舌を出してから突進してくる。


「速っ!」


地球にも水面を走るトカゲがいるし、コモドドラゴンも速いはずだからサラマンダーも俊敏に動くとは思ってはいたが、想像以上に速い。

もちろん目で追えるし、初見でも対処できる速度なのだが、身体強化を使ってそうなスピード感である。

リリィさんはあせる様子もなく、華麗に避けて、すれ違い様にレイピアを2閃、両目を突き視界を奪う。

両目を潰されてのたうち回るサラマンダー近づき皮膚の柔らかい下顎側から一気に連続突きで仕留めてしまった。

鮮やかすぎる倒し方である。


「スゲェな」

「すごいわね」

「・・・鮮やかだな」

「す・・・すごい・・・です」


一同感嘆の声が漏れる。


「どうだったかな?」


リリィさんが戻ってきて感想を求めてくるが、何も思い浮かばない。他の3人はまだ現実に戻ってきていないようなので、仕方なく俺が答えておく。


「リリィさん鮮やかすぎて参考にならない。」

「そうか、ハヤト殿は1人で行けそうか?」

「問題ないな」


おれも岩陰から出て、別方向のまだこちらに気が付ていない1匹に、気配を消しながら一気に近づく。

サラマンダーも俺の存在に驚き走り出そうとするが、もう遅い。サラマンダーの頭を思い切り身体強化した鎧通しで踏みつける。

直撃を食らったサラマンダーはその一発で絶命した。


「うん、楽勝だな。」

「アレンとリンカもいけるか?」

「「はい」」


二人が出ていき、サラマンダーと対峙する。


「リリィさん良いのか?」

「2人なら大丈夫だろう。危なくなったらフォローを入れる。ハヤト殿も頼むぞ。」

「わかった。」


2人がサラマンダーと戦い始める。

アレンがサラマンダーの突進を躱すが、噛み付きを気にしているのか、回避が大きすぎてなかなか反撃に移れない。

リンカさんも水の魔術で攻撃しているが、外皮が想像以上に硬く、決定打に欠けるようである。

リンカさんに目がいかないように、アレンが必至でサラマンダーの気を引き、リンカさんが魔術を駆使してダメージを積もらせていく。

このままいけば、倒す事が出来るだろう。

しかし、戦闘が長すぎたのか、他のサラマンダーに気付かれ、わらわらと戦場に集まってきてしまった。


「ハヤト殿、乱戦になりそうだ。フォローを頼めるか?」

「・・・問題ない。あの2人に近づけなければいいんだろ。」

「そうだ。宜しく頼む。」

「わかった。」


アレンとリンカさんにサラマンダーを近づけないように守りながら戦う事が決定してしまった。

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