ステータス
「ようこそおいでくださいました、勇者様方」
その声にいち早く反応したのはもちろん俺・・・ではなく光輝だ。
「すみません、ここはどこで、あなた方は一体誰なのでしょうか?」
丁寧な言葉だが買い物袋のせいでイマイチ盛り上がりにかける
ドンマイ光輝・・・
「ここはアルカディア王国の王城で、私はこの国の王のオスカー・アルカディアである。魔王を倒し、世界を救ってもらうためにこの度、あなた方を召喚させてもらった。」
「[世界を救ってほしい]ですか?僕たちにはそんな力は無いと思うのですが?」
「そんなことはない!召喚の際に素質のある者が選ばれ。皆にはそれ相応の力がある。どうか力を貸してほしい!」
「僕達でよろしければお助けしましょう。」
今コイツ僕達って言ったよな・・・
俺も巻き込まれるのか?
「ありがとう。勇者殿!まずはステータスの確認を頼む!ステータスを見たいと思えば見えるはずだ。」
ステータスとか見れるんだ・・・便利だな・・・
氏名
石田隼人
種族
人間
称号
怠惰
勇者
武闘家
火の魔術師
異世界人
スキル
体捌き level 8/10
総合格闘技 level Max
身体強化 level 8/10
火属性魔法 level 6/10
無属性魔法 level 4/10
鈍感 level -
・・・なんだこれ
結構な脳筋ステータスじゃないか・・・
しかも怠惰な勇者はマズイな・・・
個性が出てしまってる
きっと面倒くさい事になるから黙ってよう
「皆様ステータスさは確認できたか?」
少し時間を開けて王妃様が問いかけてくる。
「ハイ!僕は見ることができました」
「私も出来ました」
「私も~」
「わたくしもですわ!」
「・・・俺も大丈夫」
「基本的には、ステータスは親しい方くらいにしか打ち明けないものだが、勇者の称号を持持っておる者はおるか?そして、皆様の称号もぜひ教えてほしい。」
王様の言葉に直ぐに反応する人がいなかった。
仕方ない俺が返事をしよう・・・怠惰の部分だけ隠せばなんとかなるだろう。
勇者として祭り上げられるのは勘弁してほしいが、勇者が居ないのはもっとマズイ気がする。
そう思い口を開く・・・
「はーー「ハイ!僕に勇者の称号が有ります!」
言葉を被せられたので光輝の方を見ると少しどや顔でこちらを見ていた。
ムカつく野郎だ・・・
まぁ、コイツが返事してくれたから俺は、わき役に徹することができるな。
そう思っていると、王女らしき人物が光輝を熱っぽい視線で見つめながら口を開く。
「やはり貴方が、勇者様でしたか。私はアルカディア王国第一王女のアリア・アルカディアです。宜しくお願いしますね、勇者様。」
「ハイ!僕は、勇者として必ずこの世界を救ってみせます!」
「・・・うぉっほん!!勇者殿も共の方々も詳細なステータスを教えてもらってもよいか?」
「「「「「はい」」」」」
「では僕から」
氏名
橘光輝
種族
人間
称号
勇者
剣士
光の魔術師
異世界人
スキル
剣術 level 5/10
身体強化 level 8/10
光属性魔法 level 7/10
無属性魔法 level 2/10
直感 level -
可能性 level -
「おおっ」っとどよめきが起きる
「さすが勇者様です。素晴らしいステータスです。」
おおう・・・走ってきて、光輝の手を取りそうな勢いで王女様が目を輝かせているが、これはもう惚れてるな・・・
「次は、私ね」
氏名
一条雫
種族
人間
称号
弓術家
苦労人
異世界人
スキル
弓術 level 6/10
集中 level 3/10
視力強化 level 1/10
水属性魔法 level 4/10
風属性魔法 level 4/10
無属性魔法 level 3/10
苦労人だと・・・さすが光輝のしりぬぐいをしてきた人物だ。
光輝にボコボコにされた男子をフォローして惚れられ、
目立ちすぎて光輝のファンクラブにいじめられた女子をフォローして惚れられる。
頼りになり過ぎるイケメン女子の苦労は伊達ではなかったということか。
「私は弓道部だけど、こんなにもステータスって偏るものなの?」
「はい、召喚前にやっていた事、得意だった事は、強化されてステータスに反映されているはずです。」
「そうなんですね。王女様、ありがとうございます。」
「じゃあ、わたしね~」
氏名
桃園結依
種族
人間
称号
ヒーラー
癒し系
異世界人
スキル
水属性魔法 level 1/10
光属性魔法 level 1/10
無属性魔法 level 2/10
回復魔法 level 7/10
「わたし変な称号があるの」
・・・怠惰と同じよくわからん称号が来たな
「結衣はそのまんまじゃない、ただの癒しよ。」
「雫ちゃんそれ褒めてる~?」
「たぶん褒めてるわ」
「なにそれ~」
「次は、わたくしでよろしいかしら?」
氏名
橘杏華
種族
人間
称号
異世界人
???
スキル
集中 level 2/10
火属性魔法 level 2/10
土属性魔法 level 2/10
無属性魔法 level 1/10
「わたくしは称号が???になってますわ」
「本当ですね。過去の文献を調べてみてピンとくる称号があるかもしれません。称号はステータスの上昇にかかわってきますので、調べておいた方がいいです。後ほど書庫に案内しますので称号の本を探してみましょう。」
「わかりましたわ。」
「後は俺か・・・」
結局ステータスばれるのか・・・
氏名
石田隼人
種族
人間
称号
怠惰
勇者
武闘家
火の魔術師
異世界人
スキル
体捌き level 8/10
総合格闘技 level Max
身体強化 level 8/10
火属性魔法 level 6/10
無属性魔法 level 4/10
鈍感 level -
「おおっ」っとまたどよめきが起きる。
「あなたも勇者様だったのですね。なぜ先ほど教えて頂けなかったのですか?」
・・・なぜ俺は王女様ににらまれているのですか?
「返事はしたのですが、そちらの勇者に声をかぶせられまして・・・」
「・・・確かに、返事をしようとしていた気がします。」
「アリアよ、その辺にしなさい。」
「はい。お父様」
「皆、召喚されたばかりで、疲れているだろう。詳しい話は明日以降にしよう。夕食を食べたのち、ゆっくり休んでくれ。部屋にはメイドたちが案内する。何かわからない事があったらメイドに聞くと良い。」
メイドに案内されて各部屋へと入っていく。
やっと落ち着けると思いいかにも高級そうなベッドでゴロゴロしていると、皆が俺の部屋へと入ってきた。
「今後の予定を聞いてきたのだけど、教会に行って祝福を貰ってから、しばらくは王宮で訓練だって。」
「祝福って何だい?雫」
「教会に寄付をして女神様にお祈りをすると、祝福がもらえるみたい。効果は弱いけど風邪や病気にかかりにくくなるそうよ。」
「へ―加護がもらえるということは、教会には女神様がいて、会えるのかい?」
「会ってみた~い」
「居るらしいわ。ただ会えるのは地上に降りてきたときだけで、ほとんど降りてくる事はないみたいだから会えないのじゃないかしら。たまに神託があるくらいだそうよ。」
「女神トークで盛り上がってるところ悪いが、なんで俺の部屋で会議しているんだ?」
「会議すると言っても、あなたが来ないと思ったからよ。ならここでやればいいでしょ。」
よく分かってらっしゃることで・・・
「女神の話だけをしに来たわけじゃないだろ?早く話を進めよう。」
「そうね。まず、私はこの国を信じていいのか分からないのだけど皆はどう思ってる?」
「僕は信じていいと思うよ。僕の直感がそう言ってる。」
「わたくしも、同意見ですわ。」
「わたしも~。ほかに頼れる所もないし。」
「・・・確かに信じる信じないは別として、頼れる場所がないから、ここにいるしかないだろ。訓練までしてもらえるなら、せめて自立できるまでは居させてもらおう。」
「そうするしかないわね。あと共有しておくべきことは、ステータスかしら。」
「僕も必要だと思う。今後どうするにしろ固まっていたほうがいいだろう。そのためにも五人のステーテスはある程度共有すべきだろう。」
「そうですわね。」
「いいよ~」
「・・・しょうがないか」
そしてお互いのステーテスの詳細を発表し合った。まとめるとこうである。
称号
勇者:全てのステータスにボーナスが付く
剣士:剣術に長ける者。剣の扱いにボーナスが付く
○○の魔術師:その属性の魔法にボーナスが付く
弓術家:弓術に長ける者。弓の扱いにボーナスが付く
苦労人:苦労してきた者の証。乗り越える力が付く
ヒーラー:人々を癒す者。回復魔法にボーナスが付く
癒し系:人々を癒す者。近い範囲のモノに極々微量の回復魔法がかかる
怠惰:怠け者。やる気スイッチがなかなか入らない
武闘家:武術に長ける者。身体の扱いにボーナスが付く
異世界人:ステータスにボーナス小、言語ボーナス小
スキル
身体強化:身体能力を一時的に上げる。levelが上がるほど上昇率及び効果時間が上がる。
直感:第六感が働きやすくなる
可能性:ありとあらゆる可能性が芽生える。
体捌き:身体の動かし方が上達する。
総合格闘技:全ての格闘ワザが上達する。
鈍感:ありとあらゆるモノに鈍感になる。
「隼人、一人だけバッドステータスが付いてるじゃない。」
「はやと、ださ~い」
「うるせーよ。」
後ろで橘兄妹が爆笑してるし・・・
というか光輝のステータスおかしいだろう。チート野郎かよ。
「とりあえず、僕たち男性で前衛、女性で後衛とバランスは良さそうだね。」
「そうですわね、わたくしはまだハッキリとはわかりませんがおそらく魔法職ですわね。」
「こまめにステータスを教え合いながら、乗り切ろう。帰る方法もきっと見つかるはずさ。」




