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裏方の勇者  作者: ゆき
ユグドフレア編
155/186

報告

教会、ディア達には許可をもらえたので、次は王宮である。

今回は冒険者としての依頼ではないのだが、色々と突っ込まれると面倒なので依頼という事にして許可をとりつけておこう。いちから説明するのはさすがに面倒くさい。

王宮の一室、光輝達がミーティングしている所に案内される。


「隼人が来るのは珍しいね~ルーちゃんこっちおいで~」


連れてきたループスはハグを求める様に開いた結衣の腕に中にダイブする。結衣は嬉しそうにループスを抱きとめて頭を撫でる。

勇者パーティーは全員お揃いで、ミーティングというよりも雑談をしていたようだ。結衣を囲むように全員が座って、楽しく談笑といったところだろうか?

その中心で結衣は何かを紙に書いていたようで、文字の書かれたメモの様なモノがチラッと見える。皆は普段どんな話をしているのだろうか?


「アリア王女に用事があってね。」

「何でしょうか?」


意外そうな感じで、アリア王女は俺の方を向く。用事のある人物が自分だったという事は本当に意外だったようで、キョトンとした顔をしている。


「依頼でユグドフレア王国に行くことになったから、報告と許可を取りに来た。」

「・・・わかりました。お父様にも伝えておきます。」


アリア王女は少し考えるそぶりを見せた後、許可をくれる。

勇者達が次に向かう国の事もあるだろうし、さらっといかないと思っていたので拍子抜けである。


「意外とすんなりOKしてくれるんだな。」

「断った方がよろしかったですか?」

「いや、断られても勝手に行くんだけどさ。」

「でしたらなぜ聞いたのですか?」

「なんとなく?日時が決まったらまた連絡する。」


言葉を重ねれば重ねるほどアリア王女の顔が険しくなっていくので、この問答は早々に終わらせて切り替えよう。こんな事で怒られるのはたまったもんじゃない。


「そうしてください。それと、許可した理由は私達も次の目的地がユグドフレア王国だからです。さほど問題ありません。」

「マジか。」


また、何か厄介事に巻き込まれそうな気がする----


「到着は前後するかと思いますが、何かあれば貴方にも働いてもらいますよ。」

「・・・なにも無い事を切に願っています。」


否、今回ばかりはそうでも無いだろう。俺が行くのはレイラさんの家の領地だ。対して勇者パーティーが行くのは王都になるはずだ。

レイラさんの家の領地に、たまたま王族が用事があって滞在していたなんて事が無ければ俺達が会う事はまず無いだろう。

つまり、勇者絡みの不幸に巻き込まれる可能性は限りなく0に近いという事だ。レイラさんの家の問題に集中できるぞ。

今回の依頼は割とすんなり片付きそうで、自然と笑みがこぼれる。


「なんか隼人が悪そうな顔してる~」

「うるさい。」


この勝負・・・勝ったな。


「そういえば隼人さん。わたくしの元に、カサリさんからライフルが完成したという連絡が入りましたわ。明日取りに伺う予定ですので、一緒に行きますわよ。」

「なんで俺が。」


調子に乗っている俺に、杏華から強制召喚命令が下される。俺を召使か何かと勘違いしてるんじゃないだろうか?


「明日、よろしくお願いしますわ。」

「・・・わかった。」


しかし、舞い上がる俺には些細な問題だった。お使いくらい快く受け入れてやろう。




「遅いですわ!」

「まだ集合時間になってないんだが?」


翌日、なんで受けてしまったのかと後悔しつつ集合場所に向かうと、杏華はすでに待っていた。

ライフルを受け取るという事もあってシンプルで動きやすい服装ではあるのだが、アクセサリーを使って服装の端々に杏華のセンスを感じる装いになっている。

とりあえず褒めてご機嫌を取ってみるも、そっぽを向かれてしまった。


「それでも女性を待たせてはいけないのですわ。」


さすがお嬢様、横暴である。これでは今後が思いやられる。

仕方ないので、俺はもっとヨイショすることにした。


「・・・失礼しました。ここからはちゃんとエスコートさせていただきます。お嬢様。」


仕方ないので俺はご機嫌取りに走る。ドラマでしか見ないような少し芝居がかったオーバーな動きで杏華に手を差し伸べる。


「そ、そんなことしたって許しませんわよ。」

「残念。」


杏華は俺の手を取らず、少し顔を赤らめてずんずんと先へ進んで行ってしまった。少しやり過ぎただろうか。確かにこんな人の往来で芝居みたいなマネをするのは恥ずかしいよな。


「おいていきますわよ!」

「あぁ。」


俺は先へ行ってしまった杏華を追いかけて走り出す。

横に並ぶと少しは許してくれていたようで、肩が当たるか当たらないか、そんな距離感で隣を歩いてくれた。

女心は良く解らないモノである。

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