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裏方の勇者  作者: ゆき
水の都騒乱編
140/186

ダンジョン調査4

誤字報告ありがとうございます。

もっと早く投稿したかったのですが、書いてる途中に寝落ちを連発しております。

申し訳ない。

「一つ気になっていたのですが、ハヤト殿とコウキ殿はどちらが強いのですか?」

「何だその質問。もうちょっとまともな質問は無かったのか?」


ダンジョン調査の途中、騎士団長にふと質問を投げかけられる。


「コウキ殿もハヤト殿を気にしてる様子でしたからね。実際はどうなのかと思いまして。」

「そんなことは知らん。」


確かに光輝は俺にやたら絡んでくる気はするが、同郷の人間だからだろう。元々挑発的な態度をとる人間だし、ライバル視的なものとは違う気がする。


「断言はしないのですね。」

「戦ってないんだからわかるわけないだろ。」


あの光速の魔術に勝てる奴いるのか?光輝のペースに呑まれたら何も出来ずに負けると思うんだが。前はごり押しの脳筋戦法で何とかなったけど。


「コウキ殿も似たような事を言ってましたね。ヒントだけでも挙げられませんか?」

「グイグイくるなぁ。光輝ならクラーケンを倒せるが俺には無理だ。以上。」


俺はクラーケンに止めを刺すすべが見つからないけど、光輝なら何とかしてくれるだろう。そう言った面では光輝の方が強い。まぁ、相性の問題だけど。


「どちらが強いのかは言われないのですね。・・・残念ですが、この辺りにしておきましょう。」

「そうだな。」


団長は話を切って目の前に現れた石化された冒険者達に目を向ける。また石化である。コカトリスといい最近は石化に縁があるようだ。

戦闘態勢に入って武器を構えている石像を見て回る。アトランティスの冒険者には詳しくないが、クラーケンと戦っている時に見かけた冒険者たちも居るので今回の調査に来たメンバーで間違いないだろう。


「石化ですか。厄介な敵が居るようですね。」

「そうだな。ポーションは持ってるか?」

「残念ながら持っていません。ハヤト殿はありますか?」

「持ってるのは10本くらいだな。全員分は無い。」


コカトリスの時の余りがマジックバッグに入っている。俺とループスの為に買ったポーションの余りなので数は多くない。マジックバッグが特殊なので、期限など気にせずに多めに買っておいたのがここで生きてくるとは思わなかった。


「そうですか。では、チームをポーションを飲んで戦闘に備える班と、引き返して国王陛下に報告する班に分けましょう。」

「万全な状態で挑まなくても良いのか?」


町まで戻ればポーション程度手に入るだろうが、タイムロスはすごい事になってしまうだろう。もっとも、今町に戻ったらクラーケンとの戦闘でそれどころではなくなるだろうけど。


「もっと敵の情報が欲しいのですよ。戦闘音が聞こえないことから恐らく勝敗は決しているでしょう。勝っていれば良し、負けていても手負いのはずです。戦って勝てそうならばそのまま倒してしまい、勝てそうにないのであれば即時撤退で良いでしょう。」

「そうだな。」


騎士なのに平然と撤退を視野に入れている所は好感が持てる。脳筋ではない出来る上司といったところだろうか。


「それでは、今まで以上にきを引き締めて行きましょうか。」

「「「「「はい。」」」」」


団長は全員にウォーターシールドを展開しから最奥の一部屋へと足を踏み入れ、全員が続くように中に入って行く。


「あれですね。」


目の前に現れたのは人型の影。ウォーターシールドのせいでぼやけて輪郭しか見えないが、女性的なフォルムが見て取れる。

この状態で戦うのは酔いそうなんだが、石化するよりはましなので背に腹はかえられない。


「あら、バカな人達がまた餌食になりに来てしまったのかしら。」


女性はこちらに振り向いた瞬間。


ズシンッ


っと身体が重くなるのを感じる。一瞬で石化したりはしないが、戦闘していれば確実に石になってしまうだろう。


「勝ちにきたつもりなのですがね。いったい貴女は何者なんですか?」

「あぁ、そう言えばさっきの人達には自己紹介をしていなかったわね。ワタシは”石化の魔王”ゴルゴンロードのメデューサよ。」


メデューサが名乗った瞬間、騎士団全員に緊張が走る。


「・・・魔王でしたか。(ハヤト殿、我々が時間を稼ぎますので、戦いが始まったら撤退をお願いします。)」


団長は小声で俺にそう指示をする。魔王相手に全員の撤退は不可能だと判断したのだろう。1人でも情報をもって帰れば対策を打てる。そして、手負いの魔王に対して万全な対策を取った光輝ならば勝てるだろう。

俺は小さくうなずいて、団長に返事をする。


「そうよ。勇者も連れていないアナタ達がワタシに勝てると思ってるのかしら?」

「どうでしょうか?やってみないとわかりませんね。」


実はここにいるよとは口が裂けても言えない。そっと息をひそめて撤退のタイミングを計る。


「そのウォーターシールドの戦いはさっき経験したのよ。同じことをやられても芸が無くて面白くないわ。それにワタシは今苛立ってるの。さっさと石になりなさい。」


メデューサが動き出し、騎士団との戦闘が始まる。



戦いが始まってすぐに、俺は指示通りに戦線を離脱する。

メデューサと目を合わせないように後ろを向き、来た道を一直線に走って戻る。俺が目覚めた場所を通り過ぎ、ダンジョンの中を駆けまわる。

駆けまわる。


「・・・迷ったんだが?」


現在位置は俺が目覚めた場所。ダンジョン内で行き止まりの道に何度も出くわし、その度に迷わないようにこの場所まで戻ってきていた。

同じ場所を何度も通りながら、グルグルとダンジョン内を徘徊し、結局最初の地点に戻ってくることを何度か繰り返した。

そもそも俺は、気が付いたらダンジョンの中にいたんだ。起きた場所までは戻って来れるが、そこから先への道なんてわかる訳ないだろう。

出て来る魔物は問題なく倒せるので良いのだが、帰れないのは全く嬉しくない状況だ。

騎士の様に海中を進めるわけでもないし、アトランティスの冒険者の様に子のダンジョンに詳しいわけでもない。団長は何で俺を選んだのだろうか?


「詰んだな。団長は完全に人選ミスっただろ。」


俺は腕を組みながら帰る方法を考えるが、答えなんて出るはずも無かった。

そんな事をしていると、後ろから歩いてくる音が響く。


「あら、まだこんな所に居たの?せっかく逃げ出したのに勿体無い。もしかして迷ったとかかしら?」

「うるさい。黙ってろ。」


反射的に振り向きそうになった体を何とか押しとどめて、キレ気味に返答する。


「図星なのね。結局はワタシにやられちゃうんだから一緒なんだけどね。今の戦いで短剣まで壊れちゃったけど、あと一人くらいならこのナイフで仕留めてあげるわ。」

「はぁ、お前を倒してゆっくり出口を探すとするか。」


俺は目を閉じてメデューサの方を向く。目が合えば一瞬で石化、睨まれるだけで徐々に石化。ポーションで抵抗力を高めていても持って数分といったところだろうか。


「威勢だけはいいわね。」

「それだけじゃない事を教えてやるよ。」


騎士達が短剣を破壊してくれたのは不幸中の幸いだな。斬られる心配が大幅に減った。ナイフ程度ならばなんとかなる。


「でも、そんな状態でどうやって戦うのかしら?」

「なんとなくでイケるだろ。」


動きの悪い騎士団と戦える実力があるといっても、石化能力一辺倒のメデューサだ。近接戦闘になればこちらが有利。目が見えればの話だけど。

俺は痛む右腕に鞭を打ってゆっくりと構える。右前、サウスポースタイルになって構えを大きくとる。右手で心臓付近、左手で顔面をガードして急所を狙われないようにする。


「バカに付ける薬は無さそうね。ほら、お腹がガラ空き・・・よ!」


メデューサが動き出し、一気に俺に詰め寄る。


ドスッ


メデューサの持っていたナイフが俺のわき腹に深々と突き刺さった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様がうとうとして、変な所に頭を打ち付けません様に。 (私はパソコンの角でおでこに跡を付けたことがあります。)
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