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裏方の勇者  作者: ゆき
水の都騒乱編
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ChristmasParty 2

それからクリスマスパーティー当日に向けて、慌ただしい毎日が続く。

疲れもあるが、こちらに来てからの気の抜けない疲れとは違い、文化祭前の様に楽しく働いている疲れなので、表情は明るかった。

隼人も完全に召喚され、パーティー会場の装飾を手伝う。


「このパーティーは誰が言い出したんだ?」

「結衣よ。」

「やっぱりか・・・」


隼人は、イベント事が好きな結衣がやりたいと言い始めたのだろうとあたりをつけていた。

ただ、結衣の幹事でここまで大事なイベントを開催するのは意外であったが。


「元々は結衣のわがままだけど、私も結構楽しみなのよね。」

「パーティーならよくやってるんじゃないのか?」

「別物よ。社交界とホームパーティーを一緒にしないで。なんなら、あんたも一回出てみる?」

「全力で遠慮します。」

「でしょうね。結衣で手一杯だから、さすがに私も2人に増えるとフォローしきれないわ。」

「幼なじみが迷惑かけます。」

「あんたもかけてるんですけど?」

「すいません。」


これ以上喋っていても分が悪くなるだけだと思い、隼人は口を閉ざす。




当日


最初に来たのは、ムスぺリオス王家とカミル。

国王陛下も来ていることから、何か大人たちで外交の話でもあるのだろう。

カミルは一人である。クラリスと婚約者である為、一緒に来ることを許されたのだろう。


「遠いところよく来てくれたね。」

「う、うむ。こちらこそ、呼んでいただいて嬉しく思う。」


光輝の甘い笑顔に、アレクシアが少し顔を赤くしながら答える。


「今日は、堅いのは無しにしたいんだ。楽しんでいってくれ。」

「わかった。そうさせて貰おう。」


光輝は、スッとアレクシアの隣に立ち腕を組めるように立ち回る。よどみのない非常になれた動きで自然に立ち回る姿は隼人と同じ年とは思えないモノがあった。


「作法がわからんのだが、俺もあぁした方がいいのか?」


隼人は、一瞬考えて、クラリスに問いかける。


「私は大丈夫です。婚約者もいますし、案内だけお願いします。」

「そっちの方が助かる。俺には到底無理だ。カミルもよく来てくれた。」

「はい。ところで、師匠はなぜホスト側にいるのでしょうか?」

「あ~・・・それは・・・」


隼人は、ムスぺリオスの人たちには何も言っていなかったことを思い出し、良いよどむ。

隼人がどう説明しようかと考えていると、後ろから救いの手?を差し伸べられる。


「5人目の異世界人だからではないのかな?」

「「そうなのですか!?」」


唐突なネタバレに、カミルとシスティーナから驚きの声が上がる。


「オルコット卿、気付いていても言わないで頂きたかった。」


後ろから来ていたオルコット卿が、会話に参加する。隼人の事は、システィーナは知らなかったようだ。

オルコット卿は、遅れながらに周りの人たちに挨拶をして、話を元に戻す。


「すまないね。あまり隠す気がないのかと思っていたよ。今日の事もそうだし、護衛の時から口を滑らせてたからね。」

「そういうのは得意じゃないので・・・クラリス王女殿下と国王陛下は驚かなかったな。」

「いえ、十分驚いていますよ。勇者様方との関係は、同じ戦場で戦った以上のものを感じていただけです。予想以上の関係性でしたが。」

「私は、女神様から多少は聞いていた。君の性格もな。」

「できるだけ口外はしないでくれ。面倒臭い。」


隼人はうんざりしたような顔で、皆に注意を促す。光輝の様に、崇められるようなことには絶対になりたくないという感情が周りにヒシヒシと伝わる。


「まだ立ち話をしてるのかい?」


隼人にとって丁度いいタイミングで、アレクシアを会場内エスコートし終わった光輝が戻ってくる。


「あぁ、すまん。光輝はシスティーナ嬢のエスコートを頼む。エスコートの必要ない人は後ろを付いて会場入りしよう。」

「いいのかい?」

「どうぞ」

「では行こうか、システィーナ。」

「は、はい!」


システィーナは、チラチラと上目遣いで光輝顔を見ては顔を赤くして目をそらす。そんな動きを何度もしながら会場へと向かっていった。



少しして、最後に来たのはマキナであった。相変わらず、ゴーレムである。


「本体じゃないんだ。」

「本体は、表に出る様な感じではないので、社交用ゴーレムで参加します。貴方は確か、勇者様と一緒に魔王と戦っていた人ですね。」

「そうだ。Aランク冒険者の隼人だ。会場に案内しよう。」

「お願いします。」


隼人は最後のメンバーであるマキナを連れて、会場へと足を踏み入れる。

クリスマス仕様の飾りつけで装飾された広間に、給仕のメイドが数々の料理を並べて待機している。

パーティーに参加するメンバーも、勇者パーティー、アルカディア王家、ムスぺリオス王家、カミル、オルコット一家、マキナだけである。

なので、いつもの社交界のような料理ではなく、コカトリスの肉を中心としたクリスマスモードのパーティー料理がテーブルに並べられる。

スイーツの量が多いのは気のせいではないだろう。ここはスイーツバイキング会場ですか?と言いたくなるような豊富な種類が置かれている。

その犯人は結衣。鬱憤が爆発したかのように今日のケーキやらを作り倒したため、料理とどっこい程度の品数をほこっていた。

全員がそろったところで、一段上がったステージに結衣が上り、乾杯の音頭をとる。


「なんで私がやるのか良く解らないんだけど~。」

「言い出しっぺだからよ。」


雫からのヤジが飛ぶ。


「え~。今日は~忙しい中、来てくれてありがとうございま~す。お堅い感じは無しで~そういう話をしたい人は~会場の外でお願いしま~す。今日は楽しくわいわいしましょ~。かんぱ~い!」


「「「「「「「「「「乾杯~!!」」」」」」」」」」



結衣は、ナチュラルに大人たちを会場の外に追い出す発言をして、楽しいクリスマスパーティーが幕を開けた。

2話で終わるはずだったのに・・・おかしいな。

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