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裏方の勇者  作者: ゆき
水の都騒乱編
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報酬

ポーションを飲み干し、酷い所には振りかける。ループスにもポーションを飲ませてやる。


まだ重い身体を動かして倒れたコカトリスに近づく。


マジックバッグから解体用のナイフを取り出し、頸動脈を切り、血抜きをする。


ナイフでは首を切り落とせないので、解体用に剣が欲しいところだ。


血抜きをしているところで、やっと身体の気怠さが無くなってきた。


「そろそろ帰るか。」


「ガゥ!」


血抜きの終わったコカトリスを2匹ともマジックバッグにしまって、帰り支度くをする。


血の処理もきっちりやり、ループスに跨がる。


さすがに疲れたので、ループスに威圧感を出してもらって、魔物が寄ってこない状況を作りながら森を駆け抜ける。


森を出て、草原も駆け抜け、王都に戻っていく。


「今日は疲れたから、ギルドに行くのは明日にしようか。」


「ガゥ!」


「明日、身体を洗ってあげるからな。」


「ガゥ!」


翌日、厩舎の一角を借りて約束通りループスを洗ってあげる。

身体がでかくなってしまったため、かなり大変であったがなんとか昼前にはキリがついた。


「かなりキレイになったな。サラサラで毛並みも艶やかだ。」

「クゥン」


キレイになったループスをブラッシングしながら語りかけると、ループスも気持ち良さそうに返事をくれる。

もっと小まめに洗ってあげないといけないと反省する。


「よし。ちょっとゆっくりして飯食ってギルドに顔出すか。」

「ガゥ!」


ループスとゆったりした午前中を過ごし、宿で昼食をとる。このまま昼寝でもしたいところだが、ギルドへの報告は早い方が良いだろう。

コカトリスが複数いた事をネタに、ガイアスをゆすって大金を巻き上げなければいけない。


「ぼちぼち行こうか。」

「ガゥ。」


ループスと2人でゆっくりとギルドに向かって歩き出す。



「こんにちは、レイラさん。」

「こんにちは、ハヤト様。まさかとは思いますが、もうクエストを完了されたのですか?」


経った1日で帰ってきた俺に、さすがのレイラさんも驚きを隠せない様子で問いかけてくる。

まだ出発していなかったのか?と言われないだけ何だか信頼を感じる。


「そう、そのまさかです。依頼のコカトリスは倒したよ。それと、その件でガイアスに話があるんだが会えるか?」

「申し訳ございません。ギルド長は出かけられていて、本日中には戻ってきません。」

「ぼったくってやろうと思ったのに残念だ。」


ぽろっと心の声が漏れる。

タイミングの悪い事にガイアスは不在らしい。いかに依頼が大変だったかをさんざん説き伏せて、疲れてきたところで無茶な金額を吹っ掛ける作戦は入念に練り直して出直すとしようか。


「私で良ければお伺いしますが。」

「・・・まぁいいか。森にコカトリスが2体居た。両方とも討伐して、辺りの気配を探ったから大丈夫だとは思うが、もう少し警戒が必要だと思う。」


レイラさんは味方してくれることが多いし、先に話を通しておいても良いだろう。


「本当ですか!?おケガはありませんでしたか?」

「問題ない。」


レイラさんがカウンターから身を乗り出して俺の身体に異常が無いか見てチェックしてくる。俺はつられて、問題ない事を身体を動かしてアピールしておいた。


「良かったです。ぼったくるというのは、報酬の件ですね?」


レイラさんは安心したように元の体勢に戻り、先ほど俺から漏れた言葉について聞いてくる。


「あぁ。2体出てきたんだ。それなりの額の報酬を貰おうかと思って。」

「・・・わかりました。コカトリス2体討伐で、成功報酬を2倍にしましょう。」

「良いのか?」


意外にもすんなり報酬額を上げてくれるレイラさんに、今度は俺が驚く。


「構いませんよ。今回はギルドと国の調査不足です。ギルドだけではそんなに出せませんが、今回は国もかかわっていますので何とかなるはずです。」


国の調査団体からも経費を巻き上げるのだろうか?まぁ、コカトリス自体は強くないが、あの石化は異常だから国も渋らないのだろう。


「助かるよ。」

「いえ、これも仕事ですので。」

「レイラさんマジ有能。担当してくれてラッキーだな。」

「あ、ありがとうございます。コカトリスの素材はどうされますか?」


レイラさんが、俺の言葉を聞いて少し顔を赤くする。

いかんな。ディアやフィーレと良くいるから、心が読まれる前提でいるのだろうか?何だかすぐに声が漏れる。

昔からネガティブな発言は漏れていたが、ちょっと蛇口の締りが甘くなっている気がする。早いところ漏れないように、治さなければいけない気がする。


「少し残して、売れる物は売ろうかな。ヘビの部分って利用価値あるのか?」

「皮はそこそこ高額で売れますね。装飾品にしたりします。身は食べれない事も無いみたいです。一部ではマニアが居るのだとか。」

「ゲテモノ系マニアか。一応取っておこうかな?もしかしたら高額で売れるかもしれない。鶏の部分は1体売ろう。」


今日は売らなかったコカトリスの鶏肉でパーティーにしよう。あれだけの量があれば、ループスも満腹になってくれることだろう。


「ありがとうございます。コカトリスは解体用の倉庫の方にお願いします。」

「わかった。」


コカトリスを1体分倉庫にいる職員に渡して考える。鶏肉パーティーに必要なのは身だけだし、羽や食べられない部分は今売ってしまおう。

そう思ってヘビを2体と、もう1体の鶏を職員に渡して解体だけお願いする。作業代は売却価格からの天引きでやって貰えた。

プロの作業によって解体がスムーズに終わり、鶏とヘビの肉が手に入った。コカトリスの羽も売れるらしいので、解体費を取られても結構な額になった。嬉しい誤算である。

少しでも金が貰えるのは良い事だ。

宿に戻り、コカトリスの肉を渡して焼き鳥パーティーにしてもらった。非常に酒に合う一品だった。

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