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転移する理由が見つからない 090

大慈の世界の観察者が、脂肪からカラカナへと変わりました。

立花が帰らされた後、カラカナは大慈と話をするようです。

果たして、どのような話なのでしょう?


転移する理由が見つからない 090





みかりんを売ったことになるが、カラカナのことだ。

そんなに酷いことにはならないだろう。


世界は既に無くなり、真っ暗な中にカラカナが浮かんでいるだけの場所へと変わっていた。

カラカナは、


「大慈は観察者になっだけど、帰るのカー?」


と言った。

それがどういうことなのか、理解が出来るまでしばらくかかった。

観察者になるには、自分がいる世界の全てを消し去らないとなれないとか、そんな話では無かったか。


…いや、それは観察者がいない世界か。

俺の世界には、脂肪という観察者がいた。

その場合は、確か。


「あいつが完全に繋がりを消したからネー」


あいつ。脂肪が観察者だった時に、俺と世界を切り離したらしい。

理由はわからない。

カラカナが言うには、二度と俺に関わらなくて済む様にするためだったという。

……どれだけ俺は嫌われたんだ? 俺がなんかしたか?

会ったこともない奴にそこまで嫌われるというのは、納得いかないものがある。

そう言ったら、「あれ以上喰らいたくないんダヨー」と言われた。

意味がわからん。


「観察者になったからって、何をしなきゃいけないわけでもないんだろう? だったら普通に生活するさ」


正直、他の世界を覗くとか、新しい世界を作るとか、興味がないわけではない。

だがそれは、別に観察者だから出来ることでもない気がする。


他人なんて別世界で生きてる様なもんだし。

異世界転移する暇があったら、知り合いの一人でも増やす方が良い。


脂肪みたいに誰もいない世界で外から見てるだけの生き方じゃあ、空っぽで何もない世界が続くばかりだ。

トレード場所が何もない空間だったのは、ホストである脂肪の影響なんじゃないだろうか。

空っぽなら空っぽなりに影響するのだから、痛いとか辛いとか苦しいとかも味わえばいい。

そうすれば、見える世界も少しは変わるだろう。


まぁ、そもそも観察者の能力とか、何をどうすれば使えるのか全く理解していないし。

なんにもない場所で一人放置状態とか続いたら、脂肪と同じようになりかねない。

第一、寂しいしな。


それに、これから俺には立花がいる生活という、全く新しい世界が待っている。

それを味わうことなく世界から消えるなんて、そんな勿体無いことは出来ない。


俺の答えに、カラカナは優しげに微笑んだ。

光をまとって微笑んでいると、まるで本当に女神みたいに見えるな。

あぁ、でもだんだん姿が薄れていくな。

そろそろ時間切れなのか。


「縁があったら向こうで会おうネー。あ、ソーソー」


うん、まぁいいだろ。

なんだかんだで、カラカナのことは嫌いじゃないし。

…みかりんに謝らないといけないしな。


「私をぶったバツとしテー、立花には大慈のことは忘れて貰おうカナー?」


なんだと!?


ま、待て! 消えるな!

ちょっと待てカラカナ!

いや、マジで待って! 待ってくださいカラカナさん!


カラカナ様ァァァッッ!!






次回、大慈は再び現実世界へと帰還します。

しかし、マンション火災の真っ只中で建物が崩落する中を落下していたはずですが。

戻っても大丈夫なんでしょうか?


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