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転移する理由が見つからない 060

蠅はスライムの表面に取り込まれそうになって居るジジイを助けたいようです。

スライムとの戦闘を始めましょう。

転移する理由が見つからない 060





半身を飲まれ、這い出ようとした左手をも捕らえられ、飲まれないよう必死に顔を持ち上げている姿は笑いを誘った。

人をクズ扱いしていた奴が、無様に死につつある。

その事実は俺の心を穏やかに、だが愉快な気分にさせる充分なものだった。


逃げてきた変態金髪の青ざめた顔も笑いを誘うが、何故か六花やあるむは苦しそうな顔をしていた。

どうやらあのジジイの姿を見て、痛ましさや憐れみを感じているらしい。

なぜだろう。

こんなに面白い光景なのに。不思議だ。


変態金髪は同じ観察者が食われているという事実が恐ろしいのか、あのようなおぞましい事が…、とか言って青くなって震えているし。

蠅はさっきから、助けてやってくれと手を擦り合わせている。

こいつは普通なのか懇願してるのかわからんな。


「うーん。どうしたもんかな」

「彼を救い出せれば、あのスライムの退治は私には容易なのです。重なっているために手が出せないのですよ」


突っ込んできたスライムを、【足場】を使って弾き飛ばしながら蠅がこちらを見る。

いや、たぶん見てるんだと思う。どこを見てるのかよくわからんが。

どうやら蠅は他の観察者とは違い、多少は戦力になるらしい。

ただ、大雑把な攻撃しか出来ないために、あの状態では手が出せずに、先にジジイを引き剥がそうとして張り付いていたようだ。


「ふむ…確実では無いけど、一応試してみるか。武器とか出せるか?」


確認してみたが、やはり蠅だ。

人間が使う物は出せないらしい。

まぁ、蠅だし。


「それなら、盾になるくらいはしろよ?」

「…何をなさるおつもりです?」


全員が近くに集まったので、救出方法を伝える。

目を覚ましかけていたハルが状況と説明に再び気絶したが、どうせ役に立たないから放っておこう。

変態金髪も気絶しようとしていたので、蹴りを入れて叩き起こす。

こいつには餌になって貰う必要があるからな。


ジジイを切り取るにしても、今のままでは難しい。

上手く斬り付ければジジイが真っ二つだ。

俺はそれで良いのだが。


「…なんか恨みでもあんの? あの爺さん」


恨み? いや…恨んではいないな。言うなれば、ただの罰だな、うん。


別にいいんじゃないか? とも思っていたため、つい本音が漏れたが、助けることが一応の目的であるため、しぶしぶ修正する。

「間違えた。少しくらいならジジイが削れても良いから、ざっくり行ってくれ。タイミングは任せる」

無表情に頷く立花の横で、緊張したのか顔を強張らせたあるむが頷く。


「まぁ、大体の目測でやってくれればいい。失敗したときは2人が逃げられるように蠅がフォローする」


立花をみながら、撫でやすい位置にあったあるむの頭を撫でて、告げる。

殴ろうとしたらしく拳が飛んでくるのを躱す。

子供扱いされるのは気に入らないらしい。子供なのに。


立花が頭を撫でて宥めているのだが。

なんで俺だと怒るんだろう。


若干理不尽な扱いを受けている気がしながらも、準備に入る。

【足場】を無くし、俺はゆっくりと落下を始めた。




スライムとの戦闘が続きます。

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