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転移する理由が見つからない 051

立花と大慈はハルの世界への転移はしないことに決めました。

転移する理由が見つからない 051





さて、そうと決まれば話は簡単だ。

六花はみかりん同様、元の世界へと帰る。

俺は観察者になる。

最終目的は違うが、途中の目的は同じだ。


俺たちの世界の観察者に会うこと。


元の世界へと帰して貰うのと、そこから切り離して貰うのとで別れることにはなるが。

若干、六花と別れるというのが名残惜しいが。

俺は、これまでの経験で恋愛には懲りている。

六花は今までのタイプとは全く違うから、そんな心配はいらないとは思うが。

なんか知らんが、全員ヤンデいくんだよな…なんでだろう。


まぁいいや。あいつらのことを考えても胃が痛くなるだけだ。


「ハル、俺たちが元々いた世界の観察者が、どこにいるのかわかるか?」


「さぁ? 気まぐれな人みたいだから、フラフラしてるんじゃないかな?」

「そうか…明かりの色が違うとかあれば区別もつくんだろうが、端から当たるしかないか?」


そういえば、いつのまにか大分視界が広くなっているな。

【霧】と【ガラス】が前までと違い、ほとんど気にならないくらいの距離に離れている。

死にかけたせいで馴染んだのかも知れん。


「トレードは公平性が大事だから、お互いの居場所はわからないようになってるんだ。でも転移者の人たちなら大体の場所はわかるよ」


観察者たちは任意にトレード対象のところへ移動して、勧誘を行っているらしい。

俺が気づいた時に移動をしていたのも、別のトレード対象のところに行く途中だったそうだ。

ハルにしてみれば、そいつが転移をすれば六花も転移する気になると考えての行動らしい。


六花が誰かの行動に流されるとは思えない。

無駄なあがきと言えるが、おかげで命拾いをしたので突っ込まないでおこう。


俺の場合は気がついた時には軽くトラウマを植え付けられたが、六花の場合もそうなんだろうか?

そもそも、観察者が来るまでのトレード対象者って、どうなってるんだ?


視界に見える明かりは遠くて、その状態まではわからない。

みかりんの時は既にカラカナに遊ばれていたし。

ぱるみらのように放置されているのか?


「たいていの人は寝てるよ。目覚めた場合は、僕らにわかるから、優先的に行くようにはしているけど。でも観察者によるかな」


赤い奴みたいに、仕事しないで引きこもっている奴もいる、ということだな。


「放置されたらどうなるんだ?」

「さぁ…聞いたことない。でもメリット無いから、放置しないでしょ」


ハルからすれば初仕事みたいなもんだからな。

率先してサボりたい奴がいるとは想像出来ないのだろう。


「で、こうして移動しているわけだが…いつになったら、そいつがいるんだ?」

「うーん…変なんだよね。さっきまではこっちの方にいたんだけど、消えちゃった」


は? 消えた?


そういえば転移しないと消えるとかカラカナが言っていたっけ?

放置されても消えるのか。


「消えた後ってどうなるんだ?」

「どうって…この場所を維持するのに吸収され…てない? あれ? 変だな。さっきまではちゃんと吸収されてたのに」


さらっとエグいことを言ったな、おい。

観察者の糧にされたり、維持費に使われたり、消耗品か俺たちは。


「…なんか変だ」


この場所に来たこと自体が最大の異変なんだが。

これ以上の異変があるのか?




ハルは経験値が少ないため、トレード場所に起きている状況に対して明快な答えを持っていません。

ただし、トレード場所における観察者同士の共通認識やルールがあるため、状況の部分的な把握は可能です。

違和感を感じる程度にしか今の時点では把握できていないようですが、さて、いったい何が起きているのでしょうね。


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