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転移する理由が見つからない 046

お久しぶり&たぶん最後の「目覚めのQ&A」です。

皆様、奮って正解を当ててください。

転移する理由が見つからない 046





Q. 目覚めた時に見知らぬ美女が見つめていた時、どうすればいいのか正しい答えを述べよ。


A.そんな現実は存在しない。目を覚ませ。


夢を見ていると思い開いた目を閉じる。

艶やかな黒髪の幻覚を振り払おうと、無意識に手を動かして、


「イィィッッテェェェッァ!!」


脳髄に激痛が響き、絶叫した。

肺が引き攣り肋骨が軋み、脊髄から更なる痛みが怒涛の様に押し寄せる。

脳が痛みを受け止めた瞬間、俺は激痛が人を殺すのに充分な威力を持っていることを身を持って感じた。


「あ、生きてる」


冷めた声で呟いた美女が立ち上がり、エプロンがひらめく。

描かれた顔付きのヒマワリは血に塗れて赤く笑っていたが、それに気づくのはもっと後になってからだ。


痛みにより気絶も出来ずに身をよじる。

身体中から悲鳴があがり血が漏れていく。


こんなに苦しむなら茶室に篭って畳の上で死んでも良かった。

そんな後悔をしながら、止まらない絶叫が痛みを誘発し、痛みによってまた叫ぶ。


暴れまわる俺の身体は、最早壊れた玩具の様で言うことを聞かない。

何かに触れる度に殴りつけよう、蹴りつけようと反射的に動き、更に痛みを引き起こす。


涙で視界が滲み、身体に熱を感じて動けなくなる。

それでも暴れる身体に、更なる熱が加えられた。


まるで傷口を焼いているかの様な痛みを感じて、気が狂ったのでは無いかと思う。


熱を感じるほどに身体が動かなくなり、拒否する様に更に暴れる。

暴れれば痛みが増し、叫びが溢れてのたうちまわる。

のたうちまわれば熱が来る。

何かが触れる熱なのか、傷口が放つ熱なのか。

だんだん意識は削られて、痛みと熱が混ざっていく。


まだ身体が勝手に動くのか。

俺は自分の意識を保てているのか。

疲れきった身体と心に問いかけるが、問うた意識さえも保てない。


感じるのが熱だけとなり、痛みがどこかに消えていく。

痛みを感じられる限界を超えて、わからなくなったのかもしれない。


痛みがわからない意識は、遠ざかりつつ覚めていき、自分の状況を把握していく。

自分の身体が痛みを伝えていないこと。

何度か何かを殴り、蹴りつけたこと。

おそらくその何かは、必死になって俺が暴れるのを抑えてくれていたこと。

その相手が、俺にしがみついたままで気絶していること。


長い黒髪の隙間から覗く、恐ろしく整った顔を見ながら思う。


やっぱり、夢を見ているのだろう、と。


動く気力も湧かず、スライムから受けたダメージと身体の痛み、叫び続けた疲労に身を委ねる。


動かない美女の熱が身体を癒してくれた様に感じて、今際の夢だとしても、良い夢が見れたと安らいだ気分になる。


気絶した美女の吐息を感じながら、このまま俺は死んでいくのだろう。


何故か勝手に死んだ気になっている大慈ですが、逃走成功ボーナスがまだ有効だったので生きています。

さて、何故生きていられるのか、今回現れたのは誰なのか。

そのあたりの話は次回になります。たぶん。

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