表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/93

転移する理由が見つからない 036

大慈はフェアリーのチャロ(茶まんじゅうの食いカス付き)と話をするようです。


転移する理由が見つからない 036





チャロというフェアリーが言うには、この場所は休憩所らしい。


先程まで俺がいたのは、言わば観察者たちが集う社交場であり、トレード要因をスカウトする場所でもある。

そこに訪れている観察者の中には、トレード交渉で疲れる奴も当然いる。

欲しい物を良い条件で手に入れようとして、やたらと時間がかかることもあるらしい。


だがいつまでも時間をかけていると、自分が観察している世界の出来事を見過ごしてしまいかねない。

まぁ、遡って見れるらしいが、アニメをリアルタイムで見たがるようなものだろう。


そのため、こうやって個別の空間を設けており、一息入れるらしい。

中にはトレード自体に乗り気で無く、付き合いで顔を出しただけの奴もいて、そういう奴は最初から篭っていることもあるらしい。


「で、俺はどうやってここに来たんだ?」

「ふぇ? 迷子なんて初めてみたな。えーと、お家が何処かわかる?」


…迷子扱いは納得いかないものはあるが、家が何処なのかわからないのも事実なんだよな。


「拉致されたから知らん。元の世界も観察者も何処にいるのかわからん」


だからと言って見栄をはっても意味が無い。

目の前で何故かお姉さんぶっているのが、若干鬱陶しく感じても我慢だ。


「よし。じゃあパパに紹介するよ。ちゃんと付いてきなよ」


何故お前の父親に会わなきゃいけないのか、全くわからん。

まぁ、アテも無いし、急いでしなきゃいけないことも無い。

みかりんとカラカナに合流した方が良いか? とも思ったが、あいつらの目的と俺の目的は違うからな。

縁があれば、そのうちまた会うだろう。


ふらふらと漂う様な飛び方をするチャロは、時折こちらを振り向いてついてきている事を確認する。


少し離れた距離をついて行くのは、間にスライムがいるからだ。

たまに虫っぽいのを取り込んでいるのが見える。

やはり、身体全体で溶かして吸収するみたいだ。


歩かされているのは、【庭園】を巡る散歩道のようだ。

周囲には剪定されて丸く象られた木や、なんだかよくわからないオブジェがあり、奥に進むほど変化していく。


ホラー系なら、髑髏とか剥いだ皮とかが見たこと無い文字と合わせて飾られてたりするよな。


そんなことを思いながら、むしろ滑稽な物に見えるオブジェを見ながら歩く。

子供の作品かと思って、微笑ましいものを感じていたら、チャロが自慢気な顔をしていた。


適当に褒めておいたが、スライムがオブジェを捕食し始めたのには気がつかなかったようなので、放っておく。

止めてくれとか言われても、止めようがないしな。

下手に触れたら俺まで溶かされかねん。


次に振り向いた時に、スライムがいなくなっていることに不思議そうにしていた。

まぁ、知らぬが花というし。

見なかったことにしよう。

どうでも良いし。


うねうねと伸びる散歩道は幾度か往復しながら、少し離れたところの丘へと繋がっているようだ。

まだ少し距離があるが、丘に生えたデカい木の下で手を振っているやつが見える。

遠目ではあるが、緑の中で赤い物が動いているので変に目立つ。

よく見えないが、一応人の形はしているみたいだ。


「パパなら帰り方を知ってるから、あそこまで行くよ」


え? みかりんじゃなくて俺が帰るの?


張り切っているチャロの言葉に、俺は全く有り難みを感じていなかった。




ジジイ(神?)、蠅(魔王?)、巨悪おっぱい(女神?)に次ぐ、新たな観察者が。

チャロのパパという観察者は、果たしてどんなものでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ