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転移する理由が見つからない 031

大慈とみかりんの着替えタイムです。

転移する理由が見つからない 031





俺が元々いた世界の観察者は、やはりこの場所にいるらしい。

どこにいるのかまではカラカナにもわからない、という事だが。

会った事があるなら、どんな奴なのか知っているだろうと思ったのだが、


「会うときの楽しみにしようネー」


と、誤魔化された。

多分、口に出すのも嫌なほど気色悪い奴なのだろう。

あまり無理強いをするのも良くないかと思い、見つけた時には教えて貰うことにした。


「ところで、みかりんはいつまでその格好をしてるんだ?」

「似合ってるヨー」

「あ、ありがとうございます? いや、普通の服装に直してくださいよ」


ブレザー系制服、ただしスカート。

まぁ、確かに似合ってるんだが。

そういえば、俺の服も少し汚れたかな? さっきもどしたし、かなり動き回ったからな。


「ンー。じゃあ、似合う服に変えるヨー」


なんで不満そうなんだよ。カラカナは。

やっぱり腐ってるからか。


ここでの時間がどうなっているのかはわからないが、最初に目覚めてから結構な時間が過ぎている。

他の世界を覗いていた時間も含めたら、既に1カ月以上は過ぎている。

覗いている間は空腹感も疲労も感じないのだが、この場所にいると感覚はある。

いや、実家には腹は減らないのだが、体内時計が腹が減る時間だと訴えるのだ。


「気分だけだカラネー。慣れれば気にならなくなるヨー?」


などと言われたが、空腹感に耐えるのは難しい。

会社に缶詰めにされて水とおにぎり二個だけで丸1日過ごした日々を思い出すと、「殺して奪えば良いんじゃないか?」と、当時の思考に戻ってしまう。


みかりんは俺と同じ立場で、一部おかしいが常識的な奴だ。

カラカナは腐っても女神枠だし、絶大な癒しの力がその身体に満ちている。

どちらも、あまり殴りたいという相手では無い。


…当時はどうしたんだっけ…? 気付いたら上司が土下座してたような? まぁ、思い出しても不快になるだけだからな。


身体が光を放ち、一瞬目を閉じる。


再び目を開くと、リクルートスーツ姿のみかりんが固まっていた。

…なんでポニテになってるんだろう。

いや、ポニテ無くても男装の麗人、という印象が拭えないのだが。


顔を覆って、ぷるぷると震えながら崩れ落ちた。

若干、隙間から吹き出したような息が漏れている。


笑いを堪えているように見えるが。

なんかそんなに笑えるようなことでもあったのか?


「似合ってるヨー」


カラカナが笑顔で俺を見る。

そういえば、なんか胸元がスースーする…?


自分が気が付かないうちに服装が変わっているというのは、予想以上にビックリするものらしい。

自分が先ほどまでとは全く違う姿になったことを理解し、それがどんなものなのかを確認する。


革のズボンにジャケット。

あちこちに鉄の鋲が付いており、肩と肘、膝にあるのは棘状になっている。

これは、まさか…。


恐る恐る、頭に手をやる。


カラカナが服装だけでなく髪型も変えているのは、みかりんで確認済みだ。


耳の上が、つるりとしている。

反対側も触れてみたが、やはりつるりとした。

両手の感触を確かめながら、ゆっくり頭頂部へと指を滑らせる。


つるり。つるり。つるり。ざわっ。


「モヒカンになってんじゃあねえかぁっ!」

「世紀末覇者ヒャッハーそっくりダヨー」


知らねえよなんだそれ! ただのヒャッハーじゃねえか!


「ヒャッハーが似合うってのはどういう意味だぁっ!」


その後、ブチキレた俺が納得出来る服装に変わるまで、かなりの回数を要した。


鉄仮面付きヒャッハーとか、腰蓑に狼の毛皮のマントとか…。

世紀末を制覇した気分になった。


あと、みかりん笑い過ぎ。


「も、ゆ、許し…プフゥッ! し、死んじゃう…」


モヒカンという髪形を初めて知り、「ヒャッハー!」という掛け声を初めて聞いたのは、あの漫画でありアニメであったように思います。

そうした歴史が脈々と受け継がれ世紀末覇者先輩へと繋がっているのだなぁ、と考えると感慨深いものがあるような無いような?



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