転移する理由が見つからない 030
異世界転移をしないと消滅します。どうしますか?
異世界転移する
消滅する
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転移する理由が見つからない 030
世界から追い出された俺たちは、そのままだと消えて無くなる。
カラカナの言葉に、みかりんは怯えを隠せないらしく、青い顔で慌てている。
「消えるなんて嫌ですよ…なんとかならないんですか?」
「カラカナの世界に転移したらどうだ? 少なくとも消えないぞ」
死ぬかもしれないが、それは元の世界にいたって大して変わらないだろう。
「…他に、方法があるんじゃないですか? 例えば元の世界に帰る方法とか」
まぁ、そう考えるよな。
進めなければ戻る。
単純だが、当然の思考だ。
「どうカナー? 私としては転移がオススメダヨー?」
「嫌ですよっ! カラカナさんが見たいだけでしょう!」
うん、そうだな。
みかりんがヘタレ受けハーレムで生活するのを楽しみにしてるのが目に見えてわかるからな。
「そんなことないヨー? おすすめなだけだヨー。ヘタレ受けMシチュ特盛サービス中ダヨー?」
「なんか増えてるっ!?」
「まぁ、転移するのが無し、ってのは俺も同意だ」
ここまで3パターンのテーマの世界を見てきたが、どれもロクなもんじゃなかったからな。
他にも観察者がいたとしても、そいつらがマトモなテーマを持っているとは思えない。
元の世界に戻る、というのも無しだ。
初見殺しのゲームをやっているような、ちょっとミスすれば不幸がやってくる生活に戻る理由は無い。
チート貰って戻れるなら少しは考えても良いが。
まぁ、それは最後の手段だ。
それよりも、
「カラカナ。世界から出た奴が、観察者になる事があるんだろう? なり方を教えろ」
蠅がそんなようなことを言っていた。
世界から出た奴は、観察者になったり、観察者の糧になったりしている、とかなんとか。
観察者になって、俺みたいに不幸に塗れて生きる奴が居ない世界を作ってみるのも良いだろう。
「観察者になるって…大慈さん、そんな趣味が…?」
「まて。別に俺は覗き趣味は無いぞ。単に馬鹿やクズが酷い目にあってるのを見ると、心がスッとするだけだ」
「歪んでるナー」
「いや、カラカナさんも大概ですからね」
みかりん、俺は別におかしな事は言って無いだろう? なんでカラカナと同列に扱うんだ。
「みかりんは生真面目すぎるカナー。もっと気楽に考えれば転移も悪く無いヨー?」
「いや真面目とかそういう問題じゃ無いです」
カラカナは俺たちのことを見て、それぞれにハーレムを用意したらしいからな。
それだけの能力があるとも言えるが、明らかに能力をダメな方向に振り切って使っている。
ネタのために世界を作るなんて、観察者ってのは……あ。
ちょっと待て。
俺が元々いた世界が、同じように作られた可能性もあるのか?
例えば、誰かのハーレムのためとか?
例えば、みかりんを主役にしたハーレムで、ヤンデレやツンデレがヒロインとして山ほど居るとして。
さらにそいつらの近親者や過去、語られない影の部分を作る脇役が居て。
名前すら、姿すら語られないような、数字として扱われる程度のモブが居て。
そんな世界なのだとすれば、モブの扱いが悪くなるのは当たり前の話で。
俺みたいな善良で小心な一般市民が、その所為で割りを食っているんじゃ無いのか?
…元の世界にも観察者がいたのなら、カラカナや蠅、ジジイのように特定のテーマがあるのだろう。
俺の世界の観察者に会う理由が増えたな。
トレードなんていうやり取りをしているのだから、この場所のどこかにいるはずだ。
みかりんと大慈が転移を断ってしまったため、「ヘタレ受けハーレム(ヘタレM受けシチュ特盛サービス中)」と「ヤンデレ幼女ハーレム」の主人公枠が空いてしまいました。
転移をご希望の方は、トレード場所までお越しください。定員は各1名となっております。
なお、死んでもトレード場所へは到達できませんので、自力で世界の壁を越えてお越しいただきますようお願い申し上げます。