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転移する理由が見つからない 023

大慈が女神枠との会話を試みます。

転移する理由が見つからない 023





崩れ落ちた彼が復活するには時間がかかりそうなので、巨悪…女神に目をやる。

ニコニコと愛想の良い笑顔を返し、


「初めまシテー? トレードに出された人デス?」


と首を傾げる。

そう言えばそんな話だったな。


「ああ。どうも、そうらしい。トレード相手ってこいつか?」


今のところ、トレードされるやつって見たことないんだよな。

ジジイは要らないモノをトレードしている、と言っていたが。

そういえば蠅には確認しなかったな。

でもあの世界からだと死体とか出されてそうだから、確認しなくて良いか。


「違いますヨー。みかりんちゃんは、貴方と同じ世界の娘デス」


うん、今こいつ、子を娘って言ったろ。

あと首を振ると、巨悪が震えて………。


…はっ! イカンイカン。惑わされるところだった。

悪とは恐ろしいな。


「それで、こいつ「みかりんちゃん」…」


「こいつ「みかりんちゃん」…」


「こ「みかりんちゃん」」


指さしてこいつと言おうとする度に遮られる。

更に、手を振って「りぴーとあふたーみー」とか言い出した。

あー、あれだ。

こいつ、会話が成立しないタイプだ。

元彼女とか元々彼女とか元々々彼女とかと同じ…いかん、ちょっと殺意が込み上げてきた。


でもこいつ、多分殴っても無駄だろうなぁ。

殴れるけど、殴られた意味がわからないとか、殴られた拍子に理由を忘れるとか。

エアコンなら殴れば直るのだが。


「……みかりんは、なんでこんな格好になっているんだ?」


既に若干の疲労を感じる。

みかりんが抵抗せずに着せ替えされていたのは、気力が尽きたせいか。


「元カラ」

「違うよっ! カラカナさんがやったんでしょう!」


あ、復活した。

どうやらツッコミ体質らしい。

ぬかに釘とか、暖簾のれんに腕押しとかって言葉を送ろう。頑張れ。


「あー、とりあえず、元の服装に戻してやれよ」

「えっ」

「はーイ。戻すヨー?」


みかりんの見た感じは高校生くらいか?

多分俺よりも背が高い…180ちょっとくらいだろう。

一見すると確かに女顔だが、総合的には多分男だと六割が判断しそうな容姿。

変にスタイルが良いため、読者モデルとかバイトでやっていそうだな。

とはいえ、からかうために女装させられているのは、ちょっと見てて痛々しい。

それが似合うとなれば、なおのことだ。

そっちに目覚めたらどうするん…


「ち、違っ! これは、あの、違うんです!」


光が消えて、本来の格好に戻ったみかりんが慌てた声をあげる。

そこには、ショートボブでブレザー系の可愛い制服に身を包んだ、男の娘がいた。

スカートにはスリットが入っていて、白い太腿が見えて、目が勝手にそこを見る。


「そうかー、既に手遅れかー」

「違っ! 手遅れとか言わないでくださいよっ! ホント、そういうのじゃ無いんですよぉっ!」


うん、わかった。

わかったから、女の子座りして涙目上目遣いでこっち見んな。


「新入社員の義務なんですっ! これで受付しないと首になるんですよっ!」


それ絶対騙されてる。

というか、辞めろそんな会社。

そのうち営業させられるぞ。枕の。


「似合ってるカラ、イーンダヨ!」


…こいつら放置して違う奴を探しに行こうかな。


みかりんは男の娘でも女装子でもない、と自認していますが、ちゃんと女性受付っぽく見えるように日々研鑽しています。業務だから。

自己と他者の認識でズレがあるのは良くあることですね。

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