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転移する理由が見つからない 022

21話になってようやく女神枠が登場しました。

今回(22話)は彼女がどんな人物なのか、ちょっと確認してみましょう。

転移する理由が見つからない 022





女神枠が指を振るう度に、指先の人物は光に包まれる。


十二単じゅうにひとえ、スク水、ウェディングドレス、ゴスロリ、学ラン、スーツ、ナース…。


着せ替え人形のように、様々な格好に変えられていく。

その度に光を放っているのが眩しいのか不安なのか、

「ひゃっ!」「わっ」と小さく悲鳴が上がっている。


抵抗する気力が無いのか、抵抗出来なくされているのか、その人物はへたり込んでいる。

正座を横にずらしたような、女の子座りというやつ。

怯えるように縮こまった足は白く、俺が蹴ったら折れそうに細くて長い。

身長の半分以上が足なんじゃ無いか?


控えめで小ぶりな尻は色々な衣装で線が出たり隠れたりしている。

くるくると変わる様は、ちょっと見てて楽しい。


たまにイブニングドレスやビキニなどで腰から背中が全開になり、白い肌が晒される。


ずっと背中を向けているため明確ではないが、その滑らかな背中の反対側には巨悪は潜んでいない筈だ。


髪型は光に合わせて変えられているため、本来がどんな髪型だったのかはわからない。

黒髪や金髪、青やピンクなどの色。

ショート、ロング、ポニテ、ツインテなどの長さも変動する。


現実でこんなことがやれたら写真屋として大繁盛するな、などと考えながら、その二人の様子をしばらく観察した。

決して晒される肌を観察していた訳では無い。


「さぁ、この格好ならイっちゃうカナー?」

「や、ヤダって言ってるじゃないですかっ!」


格好を変える度に、そんなやり取りをしている。

言うまでも無く、頭の悪そうな方が女神枠だ。


…うん。そうだよな。異世界転移とかの話で、女神枠だもんな。

ポンコツとかヤンデレとかストーカーとか、そういう駄女神に決まってるよなぁ。


俺は何を期待していたんだろう。

そんな風にため息を吐いて、気を取り直す。

駄目だろうが、こいつも観察者の一人だろう。

扱っている世界がロクでも無いのは、これまでの経験で分かる。

それでも一応、面白い世界があることを期待したい。


「もう。ワガママなんだカラ。自分で決められないなら、他の人に決めて貰うカラ。貴方、どれが好みカナー?」

「えっ?」


あー、流石に気付いてたか。

まぁ、既に一挙手一投足の間合いに入るくらいまで近づいてたからな。

背中を向けていた方は、言われて気付いたようだ。

ビキニで手ブラという格好に変えられて行かされる世界ってなんだろう。

そんな風に思って見ていたら、黒髪のサイドテールが流れて、目が合った。


振り返った顔は赤く、大きな瞳が若干涙目になっている。

小さめの鼻の上で半ばズレているのは、赤い縁の伊達眼鏡。

…霧が出るゲームの影響で買ったのなら、気が合いそうだ。

小さな唇がプルプルと震えて、口をパクパクとさせて、それでも言葉が出てこない。

歯並びも良く、白い。

細身なので不健康なのかと思ったが、全くそんなことはなさそうだ。


プルプルしてるせいで、黒髪のサイドテールが胸元で揺れている。

顔がどんどん赤くなって、眼鏡の縁と同じくらいになった頃、


「や、ヤァァァっ!」


…やはり、巨悪は潜んでいなかった。


崩れ落ちる彼を見ながら、俺は確信した。

やっぱり女神って駄目だ。


異世界転移ネタの小説で女神枠って時点でマトモなキャラではなくなりました。

たぶん小説家の多くがかかっている呪いとかだと思います。


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