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転移する理由が見つからない 021

バッドステータスが解消したので、出会いを求めて徘徊しています。

転移する理由が見つからない 021





明かりへと向かって歩き続ける。

ちょっと走ってみたのだが、ガラスも迫って来るのが分かったので、なるべく走らない事にした。

蠅から逃げ回った時の様に、全力で走ったら突っ込む事になりそうだ。


顔面から落下した時の衝撃と痛みを思い出す。

あれをガラスでやったら、下手したら破片で首を斬りかねない。


あの落下のダメージは既に無い。

特に痛めても無いので、もしかしたらこの場所では治癒能力が高められているとか、自動で快癒されるとかあるかもしれない。

だが程度がわからないので、怪我をしないに越したことは無いだろう。


…怪我が治るとしても、ジジイにハンマーで殴られた事は忘れないけどな。


歩くのに飽きてきた頃、ようやく明かりへと辿り着いた。

どうやら、ぱるみらの視界では人や観察者が明かりを放って見えていたようだ。


人なのか観察者なのかは、話してみないとわからないだろう。

だが俺は話しかけるのを少し躊躇っていた。


明かりは、姿が確認出来るのに反比例して弱くなり、顔が見える程度で消えてしまう。

既に顔が認識出来る距離まで近づいていたので、わかったことだ。


そして、そんなに近く…電車の車輌一つ分くらいしか離れていない距離。

そのくらいの距離で一度立ち止まり、迷いを振り切って再び歩き出す。

俺に全く気づかない程に夢中になっているその姿に、若干引いた思いを感じながら。


だが同時に、俺は確信を持って思う。


ちゃんと女神枠いるんじゃねえか! あのクソジジイふざけやがって! と。


その女神。

薄っすらと光を纏うドレスは、下に行くほどに青が濃くなっていく。

金や銀の刺繍に派手さは無く、小さな点や波を描いている様だ。

足元は広がった裾で見えないので、上に目を向ける。

くびれ、というものがよく分かる腰。

その先にある暴力的な程の胸は、薄桃色の谷間を作り、その半分近くをドレスから溢れさせている。

肩までドレスが無くても、その胸で支えているのか。


そんなことを思いながら、動くたびに揺れる巨悪に目を奪われる。

…けしからん。


細く伸びた二の腕はドレスと同様のロンググローブで肘上辺りから隠されている。

指先がしなやかに動きながら、リズムを取っている。


ドレスの切れ目にはウェーブした金髪がかかり、肩と鎖骨が垣間見える。

金髪を辿れば整った顔。

一流の絵師が描いた芸術品のような、穏やかで優しげな顔が、柔らかい笑顔を浮かべている。

若干タレ目で泣きぼくろがある目は青く、真っ直ぐに見つめている。


俺ではない、もう一人を。


異世界転移という異常な状態で見つけたにもかかわらず、声をかけるのをためらう状態の2人。

彼女たちが何をしているのかは、次回明らかになります。

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