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転移する理由が見つからない 020

冒頭から大慈にバッドステータスが発生します。

転移する理由が見つからない 020





腹が痛い。

死ぬ程に、腹が痛い。

呼吸することも難しく、溺れた様に息を吸うが、吸った先から吐き出してしまう。

息が苦しくて仕方ないのに、身体は勝手に動いて酸素を要求している。


このまま死ぬんじゃ無いか。


そう思える程に、俺は笑い転げていた。


どれくらいそうしていたのか、いつの間にか蠅の姿は無かった。


去り際に教えて貰った【空】の読み方。

それは俺の予想の遥か上を行き、俺の腹筋を崩壊させた。


いや、名付け親のセンスには本気で脱帽した。

本気で尊敬してしまう程に。


俺では絶対に思い付けない名前の読み方。

痛い名前が付けられる子供が一時増えたらしいが、どうせならこれくらい突き抜けた名前にすれば良いのに。

そう思えるくらいに…やべえ、また笑いが。


笑いの発作が治まるまで、更に笑い転げる。

疲れすら感じてきた頃に、ようやく落ち着いてきた。


笑いすぎて溢れた涙を拭い、立ち上がる。


蠅がいなくなってからどれだけ笑っていたのかわからないが、次の観察者は居ないようだ。


そういえば蠅が、

「貴方様が選ばれる方がよろしいでしょう」

とか言ってたっけ。


だが選ぶにしても、見当たらなければ選びようが無いんだが。


そう思いながら周囲を見渡す。

相変わらずの薄灰色の霧は消えず…あれ? なんか見える。


目を凝らして周囲を見ると、ガラスに囲まれているのが分かった。

霧が濃くなって薄暗くなった辺りに、気づかないうちに設置されていた。

ご丁寧にも、俺を中心として球状に囲んでいる。


しかも気流を途切れさせていないのか、霧はガラスを無視して滞留している。

現実に霧がガラスに触れたら水滴とか出来そうなものだが、そうした様子も無い。


ガラスには細く黒い線が格子状に入っているので、目を凝らせばどうにか見える。

移動すると、ガラスも距離を保って移動する。

どうやらガラスは固定されている訳ではなく、霧と同じように視覚的な影響だけのようだ。

…走った時には霧に突っ込めたが、ガラスも突っ込むことになるんだろうか?

走るときは突っ込まない様に注意しよう。


そういえばこれって、ぱるみらの見え方と同じじゃないか?


そう思いついて、明かりを探す。


…かなり見えにくいが、アレ明かりか?


ガラス越しに小さな明かりが見えた。


その明かりに向かって、足を進める。


他にも明かりがあるのかもしれないが、小さくて見つけにくい明かりだ。

他を探しているうちに、どっちにあったかわからなくなるだろう。


どうせ、どれでも良いのだ。

見えているもので良いだろう。


問題はどんな奴が次の観察者なのか、という事だからな。


…本当、俺みたいなマトモな奴はいないのかね?


バッドステータス「笑いの発作」は、一定時間笑い続ける、一定時間後に笑い出す、笑っている間は呼吸機器と腹筋にダメージを与え続ける、という症状をもたらします。他者に共有して感染させようと錯乱した行動をとるケースもあります。

特効薬がないため、軍隊・警察・葬儀関係者が勤務中に発症した場合は隔離が義務付けられています。

モンスター「芸人」などの特技によって付与されることがあり、大規模なパンデミックが近年多発しており、教職員などの胃痛のもとになっています。

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