表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/93

転移する理由が見つからない 002

2話目です。


転移する理由が見つからない 002





何度か殴りかかってみたが、ジジイは俺との距離を保ち、時に背後や真下へ瞬間移動までして避けやがった。

投げる物があればいいのだが、あいにくジジイくらいしかない。

壁すら見当たらないから、ジジイを叩きつけるのも無理だ。くそっ。


「まず殴らせろ。話はそれからだ」

「殺伐とした挨拶じゃの。まぁ、勝手に説明するから聞いとけ」


隙を窺いながら聞かされた話はこうだ。

ジジイは世界の観察者で、世界は沢山あり観察者も沢山いる。

それぞれの世界に馴染まない者をトレードするために、観察者達が場を設けている。

俺がいた世界からも観察者がトレード要員を選んだ。その中の一人が俺だ。

選んだ基準はその世界の観察者次第らしく、数も違う。

ジジイ達のように違う世界の観察者は、俺たちトレード要員の了承を得たら、自分の管轄の世界に転生や転移をさせられる。


「つまり、俺がクズってのはテメェの決めつけってことだな?」

「トレードするなら要らんもん出すじゃろ。つまりクズじゃろ」


自分がクズを出しているから、相手もクズを出していると思っているらしい。

まぁ、俺がクズではない事は後で思い知らせるとして。


「で? 俺はどんな奴とトレードされるんだ? 会ってみたい」


俺と交換になるということは、それなりの好人物だろう。

等価交換って言葉もあるわけだし。


「提供分は先に渡しておるからな。この場にはおらんぞ」


何だよ。異世界人とかどんな奴なのか興味湧いたのにな。

獣人とかいるのかな。あ、そうか。


「俺が転移したらどんな世界に行く事になるんだ?」


このジジイは俺をスカウトに来ているようなもんだからな。

レアスキルとか、チートとか、財産とか、貰える物も確認しておきたい。

こういう部分で妥協する気は無いからな。


「うむ。お前さんの能力が遺憾なく発揮される世界じゃ。幾つかあるが、まぁ基本的な部分は同じと思って貰って良い」


基本的な部分、というのは観察している世界のテーマのようなものらしい。


「まぁ、実際に見せるのが一番分かり良いじゃろな」


そう言ってジジイはスクリーンに映し出すように霧に投影し始めた。

どこが光源になっているのか全くわからない上に、霧が揺れると画面が揺れるため見づらい。


「おい、これじゃわかんねぇぞ?」

「ムゥ…では、先に行った者の人生を大まかになぞらえる方が良いか…。ちょいと不自由になるが」


先に行った? ああ、そうか。トレード要員は俺だけでは無いと言っていたからな。

既に異世界とやらに行っている奴もいるのだろう。

そいつはどんなチートを手に入れたんだろうか。

先達の様子を見るというのは、確かに参考になる。

問題点なども見つけられれば、対策も打てる。


「よし、何をするのかよく分からんが、ジジイに何が出来るのか見せて貰おう」

「…頼み方というもんが…まぁ良い」


どうにも細かく文句を垂れるジジイだが、実際に変な力があるのは事実らしい。

いきなり異世界に飛ばされることがなかったのは、多少なりともこちらに配慮をしているからなのだろう。

だったら、こちらとしても多少は妥協してやってもいいだろう。

押し売りみたいなものだが、製品のプレゼンテーションを聞いてやるくらいは。

こういうところが大人の余裕って奴なんだよなぁ、と自答していたら、目眩がした。


「断続的にはなるが、主観で見るのがお前さん程度には分かり良いじゃろな」


何となくバカにされているような気がしながら、俺は目眩に揺られ気を失った。


基本、ぽんぽん続きを予約投稿しています。

というか、予約投稿しておかないと投稿するの忘れそうなので。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ