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転移する理由が見つからない 015

蠅の観察世界を見物中です。


転移する理由が見つからない 015





扉の内側は、思いの外マトモに見えた。

周囲を照らすネオンは明るく、街並みを照らしている。

道も整備されていて、ゴミが落ちているようには見えない。


人通りが無い様に見えるのは、多分今いる場所が外との境に近いためだろう。

外への扉とは別に、道半ばで仕切りがされている。

スノコを二つ組み合わせたような、警察犬が訓練で駆け上がるような三角のアレだ。

向こう側では、隙間から人影が移動しているのが見える。


こちら側では体格の良い男たちが無駄のない動きで荷を車輌へと運んでいる。

揃いの制服を着て、腕には額に弾痕のある髑髏のワッペン。

軍属だろうか。


搬送用の車輌に運ばれた【空】は、檻に押し込まれた。

抵抗する様子が無いのは、引かれたロープで落ちかけたための様だ。

さっきの少年たちの攻撃による脳震盪もあるかな?

まぁ、何にしても檻の中でぐったりしている。

車輌が動き出し、わずかに荷物が揺れた。


この観察状態について、ある程度わかったことがある。


悪い点は、観察対象者を基点としているため、そいつが動かない場合は観られる範囲が変わらないこと。

観察対象者を特定するには、移動したときの変化で確認するしかないこと。


良い点は、現場の環境は俺には影響しないことだ。

暑さや寒さ、匂いなどの環境。

更には物体の影響が無い。


このため、俺は車輌の天井を通り抜けて、上に座って流れていく景色を見ていた。

座っている、と言っても気分的なものだ。

やはり観察対象者に取り付いた幽霊の気分がする。


街並みには人は少ないが、貧しい様な印象は無い。

普通に文明的な都市に見える。

違和感としては、大通りっぽい道を日暮れ前に走っているのに、人影が疎らで店らしきものが少ない。


店も銃砲店と食料品店くらいで、どちらも看板がやたら大きい。

入り口が見えないのは、無いからだろう。

受け取り口らしき穴が看板の下にある。

看板自体がカードリーダーとかなのか?

支払いの方法までは分からなかった。

あと、全体的に平屋だ。

建物は色が違うものの、基本的には同じ造りになっている様だ。

高さも同じくらいで、屋上同士が橋で繋がっているところもある。

屋上に緑が多く見えるのは、そう言うモデル都市なのか?


外縁側の遠くの方を見ると大きなビルもあるのだが、多分あれは外側だ。

管理されていないのか、崩れ落ちてそのままにされている物もある。


どういう処理なのかはわからないが、都市部の真ん中を壁で囲んで再開発をした、という感じの場所だ。


外側の荒廃具合と、中の人の少なさを見ると、前線基地的な物にも思える。

あるいは再開発の実験場とか。


どちらだとしても、壁で囲んでいるというのは、外敵がいる、ということだ。

人なのか人型なのか知らんが。


都市の中心地、ドーム状の建物の地下へと入っていく車の上で、そんな風に分析して…危なっ!


トンネルの天井に当たらない様に車の屋根にへばりつく。

…影響しないから当たることは無いとわかっているのだが、心臓がバクバクするな。


観察時は現地に干渉できません。あくまでも見えるだけなので、大慈は3Ⅾ映画を見ている気分でいます。

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