プロローグ。冥界少女
ヒーローってかっこいいよね、アニメみたいなやつじゃなくても、ささないな事でも。人から感謝されたら、君はその人のヒーローになれたんじゃないでしょうか?
___はい!僕はヒーローになりたいです!
小学校の時に発表した将来の夢。一昔前の僕なら、馬鹿馬鹿しい、所詮ただの小さな餓鬼の思想だ。と思っていたに違いない。だけど今は違う。誰でもヒーローになれる。そう、ある日突然現れた少女のような、悪のヒーローに。
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「貴方、私とくるつもりはない?」
ある晴れた日の午後。公園のベンチに据わっていた俺は唐突の声に驚いた。
「は?」
俺はすっとんきょんな声をあげてみせる。
_____きちがいか?
ベンチの後ろに佇む木の木陰にたつ一人の少女。全身真っ黒なその姿に自然と眉が寄るのがわかった。
「だから。貴方、私と冥界にくるつもりはない?」
少女は、表情を変えずに言う。
ちょっと待て。今この女の子は何て言った?冥界?それはつまり俺に##と言ってるのかこいつは。
「いやいやいや!?話が大きすぎるだろ!まず冥界ってなんだ!あとお前はどこのだれ!?」
少し強く言い過ぎたのだろうか、少女は黙り込んでしまった。数分の間、二人の間に沈黙が走る。最初に口を割ったのは少女の方だった。
「…そうね。少し焦りすぎてた。私の名前はウィル。魂を管理するもの。」
ウィルと名乗った少女は木陰の中からそう自己紹介した。
「俺は神原 凜夜。普通の高校生。」
「リンヤ…?いい名前ね。」
自分の名前をいいと思ったことは一度もないが、なぜか少し嬉しくなった。
「で、ウィル。俺に冥界に来いっていった理由は」
そう、問題はそこだ。
俺はごくりと喉を鳴らした。ウィルは静かに語りだす。