イントロダクション
文明:ぶんめい
一.学問や教養があり立派なこと 出典:書経
二.英語civilizationの訳語
人間が作り出した高度な文化、社会
精神的、物質的に生活が豊かな事
人間の技術的・物質的所産、都市や交通網の発達
濫觴:らんしょう
物事の始まり
昔者江出於岷山、其始出也、其源可以濫觴 出典:荀子 子道
長江もその源は觴を濫べるほどの小さな流れである。
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「ここを開拓地とする」
……芹沢将司の声は空しく原生林に吸い込まれていった。
無人の野山を開拓するって、ゲームとかTVの企画にあったよなぁ……
「これ何て『無人島ストーリー』?」
「いや『文明』じゃないか?」
「『悪くない子の○○生活』とか?」
「ベリーハードの『鉄腕疾走』や」
これがテレビの開拓企画とかならもう少しテンションも高いのだろうが、そういう企画でもなく、ドッキリでも無い事は残念ながら分かってしまっていた。
取り敢えず草を払っただけの広場に佇む二家族と若い男女の総勢二十五人
漆原家の七人
祖父母の源次郎、静江
父母の剛史、恵
長男史朗五歳
長女美恵三歳
次女江理十ヶ月
楠本家の四人
父母の政信、奈菜
長男宣幸四歳
次男和広十一ヶ月
高校の同級生で幼馴染の六人組
榊原謙二
安藤一平
伊達素弘
志賀希美子
岸本由希
大林早苗
大学の同期八人組
芹沢将司
敷島文昭
東山匠
東雲義教
江戸川美野里
南部雪月花
早乙女奈緒美
天馬佐智恵
どういう経緯で集まったのか不思議な集団は、言った当人も言われた者達も誰一人望んでいなかった開拓事業をはじめる事となったのである。
この辺りで唯一の人工物であると言っても過言ではない六台の車
ミニバンとオフロード車が各一台とキャンピングカーとトラックが各二台
そして積まれている物資類。
これが今の彼らが持っている全てと言っても過言ではない。
何でこんな罰ゲームのような開拓をする羽目になったんだろう。
そう思わずにいられない一同であった。
しかしこれは後世「瑞穂文明」と呼ばれる文明の最初の一滴であった。