後編
A「3 の平方根を求めるってことは、こんな関数 f(x) を考えて、これが 0 になる点を求めよって意味だ。グラフが x軸を横切る場所だね。」
A「どうかな?」
B「んー、放物線を下に 3 だけずらしたグラフですね。 x = ±√3 で確かに f(x) = 0 になります。」
A「じつは一般の方程式 f(x) = 0 の答え x を求める方法に「ニュートン法」ってのがあるんだ。この方法も、適当な初期値 x0 から始めて、x1, x2 とだんだん正解に近づいていく。」
A「まあ簡単に言えば、x0で f(x)から接線をひき、接線が x軸にぶつかったところを x1として、そのx座標でまた接線をひき、x軸にぶつかるまで伸ばし、また接線をひき、というのを繰り返すんだな。」
B「この f'(x) って微分ですよね。」
A「そう。さて、√3 を求めるために、さっきの放物線 f(x) を微分すると、」
A「これをニュートン法の式に代入すると、」
B「あれっ? この式って、バビロニアの…?」
A「そのとおり! バビロニアの平方根は、ニュートン法と等価だったんだ。」
B「うわ、バビロニア人すごい。…え? もしかしてニュートンってあのニュートンですか? 物理とか、微分とかの。そのニュートン法をバビロニア人が知っていた…」
風に流された雲が、夕方の太陽を隠す。
少女ふたりの顔に影が落ちる。
A「そう、あたしたちは重大な事実に気づいてしまった。」
(a) バビロニアは紀元前18〜前6世紀の国。
(b) バビロニア人の平方根の求め方は、ニュートン法と等価。
(c) ニュートン法には微分が必要。微分法を確立したのはニュートン。
(d) ニュートンが生きていたのは 17〜18世紀。
A「つまり、ニュートンはバビロニアに時間転生していたんだよ!!」
A,B「「な、なんだってー!?」」
参考文献
"Calculus" by Gilbert Strang, p.138
http://ocw.mit.edu/resources/res-18-001-calculus-online-textbook-spring-2005/textbook/
ラフソン涙目。