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謎の組織

惑星管理部の制服を着た20代後半の女性はその家を見るなり

「古っ!!」

と失礼な物言いをした。実際、築年数は50年を軽く超えた古式ゆかしい物件ではあるが・・

しぶしぶ女性はその家につけられた旧式呼び鈴を押すと“ピンポン”と年季の入った音を出した


その時、一正は格闘していた。すっかり熟睡していた瑠璃を寝室に運び入れ、絡み酒とかしたかおりの口に酔いさましを流し込み、抱きついてきたフレデリカの首をたたき、意識を落とした。やっと終わったかと思うとすぐに荒れ果てたリビングの掃除を始めた。そこに呼び鈴が鳴る。疲れ果てた体に鞭打ち玄関に向かった。


玄関の扉を開けるとそこに立っていた人物を見て一正は固まった。そして

「すいません。今日中に水道代払います」

どうやら滞納していたらしい。すぐさま玄関の扉が閉まろうとする。慌てて足をかけ押しと止める女性。そしてその様子がおかしかったのか微笑した。

「違いますよ。私はイレギュラー対策室主任情報官 レイラ・バトスキと言います。実は先日のワイバーンにつきましていろいろお聞きしたくて、こんな早い時間から失礼しました」

「そうでしたか・・・・いや、しかし・・お話って言っても・・・」

「現場の様子ですとか・・・・」

にやりと笑って

「どうやって倒したのか・・・・とか」

一正は驚いた様子で

「私が倒したと?」

そう尋ねると

「ええ、確信しております」

そういうといつの間にか腕をがっしり掴まれて

「立ち話もなんですので、行きましょうか」

そういうなり女性とは思えない力強さで家から一正は連れ出された。



公用車のはずだが(車体に惑星管理部と表示があった)かなりイケイケのスポーツカーに乗せられ、一正は高校生という年頃のせいか、運転席に座る綺麗なレイラさんにドキドキしているようだ。

「そんな緊張しなくていいのよ」

そんな一正の心を知ってか知らずか、そういってくる。

「いえ、大丈夫です。・・それよりこれ、どこ向かっているんです?」

「ええ、イレギュラー対策室の、まあ、事務所みたいなところよ」

「はあ」

車はどんどん郊外へと向かっている。一正はだんだんと怪しみを覚えてきた。

惑星管理部と言えば惑星ジエンド最大の機関である。その為、その信頼性はかなり高い。とはいえ公的機関ではなく、あくまで私的機関である・・・・怪しいと言えば怪しい。公用車らしからぬ豪華なスポーツカーももあやしい。正直言えば“イレギュラー対策室”なんて聞いたこともない。そして

「ついたわよ」

止まったこの雑居ビル。うらぶれて古臭いこんなところに事務所を構えっているというのがうさん臭すぎる。

(いやまて、。中身が最新の危機で埋め尽くされた秘密機関的な物かも!!)

大人びているとはいえ男の子である。ロマンは忘れない!が、現実は


本当にただの雑居ビル、肝心の事務所も大型画面のパッドはあるもののそれ以外はいかにも安そうな事務机が5,6個と地味に染みついたヤニ汚れがあるだけだった。

「早朝に呼び出してすまないわね」

レイラさんはそう話しかけながら大型画面の電源を入れた。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

画面が点灯するまでかなり時間がかかるのか何か気まずい間が開く。

「・・・・」

「・・」

まだつかない。

「あ、コンセント抜けてた・・」

一正は約束事とこけた。


やっとのこと画面がうつるとそこには昨日倒したワイバーンの基本モデルがうつっていた。

「ん?」

一正は画面を見るなりどこか違和感を感じた。確かに大筋ではあっているが細かな細部が明らかに違う。倒したワイバーンの方がディテールが高いのだ。

「・・・・やっぱり、これじゃないのね?」

「ええ、細かなところがかなり異なります」

「そう・・・・やっぱりね」

そう言うとレイラは携帯端末を取り出し、薄汚れた部屋を出た。

「え、っと・・」

一正が放置されたことに気づいたのはすぐ後のことだった。


「こちらはレイラです・・・・ええ・・・おそらく・・・・・・ハッキングですか・・この間の・・・・ええ・・・わかりました。こちらで確認します」


放置された一正は暇を持て余し事務室の机の上にある様々なものを眺め始めた。なんというか雑多な置き方をしてある。机は全部で5つ。少なくとも5人はメンバーがいるということだろう。

「ん?これは」

目をとめたのは一枚の写真だった。イレギュラー対策室というからには地上での任務のはずだが(モンスターは地上にしか存在しない)その写真は明らかに宇宙空間と何らかの施設がうつっていた。

「待たせたわね」

「!!いえ」

慌てて視線を戻す一正。レイラはその様子に気づかなかったようだ。そのまま一正の前を通り過ぎ

「ごめんね。どうもあなた以外にも現場にいた人間がいるみたいね。ええと、フレデリカさんね。どうやらあなたの後輩らしいけど・・知ってるわよね?」

「ええ、まあ」

「実は寮に戻っていないようなんだけど、どこにいるか知らない?」

まさか家で酔いつぶれているとは言えず

「いえ、よくは・・・どっかで遊んでいるんじゃないですかね。臨時収入もあったことですし・・・もしかしてフレデリカに何かあるんですか?」

「さあ、この惑星はいろんな星系にはいろんな人が来るからね。複雑なんだよ。もしかしたら、だよ」

ふふふ、と黒い笑みを向けながらそう言った。

「そうなんですか・・・・つまり、このイレギュラーは事件かも、と」

「ん?そんなこと言ったかな?」

さらに暗い笑みを浮かべるレイラ。

「いえ!何でもありません!」

もとが美人なだっけにその様子は一正をビビらすには十分すぎた。

「あ、そうそう、ここで見たことは内密に、ね」

「はい!」

「うん、素直な子は好きよ。それじゃ、これの書類にサインをお願いね」

誓約書と書かれた書類が渡された。

「はい!!」

早速書こうとするが

「あ、このペン使って」

「あ、ありがとうございます。痛っ!」

ペンを受け取るなり、床に落としてしまう。見ると一正の指に小さな傷がついていた。

「ちょ、大丈夫?」

「ええ、大丈夫です」

そういって床に落ちたペンを拾い上げ、サインを済ます。

「ん!確かに・・ホント大丈夫?」「ホントに大丈夫です」「う~ん、ならいいか。じゃあ自宅まで送るわ、もしフレデリカさんを見かけたらここに連絡するように言ってね」

一正に一枚の名刺を渡す。いまどき珍しい紙製のものだ。

「わかりました。この番号にですね」

少しいぶかしみながらその名刺を見る。そこには“レイラ・バトスキ”肩書にはただ、惑星管理部とだけ書かれていた。




一正を送った後、薄暗いイレギュラー対策室事務所で、レイラただ一人がそこに立っていた。

「ええ、情報は手に入れました。ええ、サンプルは・・・・ええ・それではお願いします」

一正が握っていたペンを見つめながら、携帯端末を閉じる。よく見るとペンには赤いランプがともっていた。

疲れております。そのせいかおかしいところが多いかもしれません。ご指摘があったらお願いします。

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