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主人公は女難持ち

もちろんフレデリカがいたのは偶々ではない。実は換金所を出てからずっとストーキングしていたのだ。一正だけでなく、優秀な探索者の訓練を受けたかおりをも欺くとは狙撃手の面目躍如と言ったところだろう。

フレデリカは最初、なぜ一正をストーキングしているか分からなかった。気づいたらやっていたのだ。慎重に素早く、完璧に気配を消しながらさんざん悩んだ挙句、一正の強さの秘密を暴きたいからに違いないと強引に結論ずけたのだ。そしてあと少しで自宅が分かるという直前、まんまとかおりにさらわれた格好になってしまったのだ。秘密を探るどころかどんどん脇道にそれていく二人。それを見ているフレデリカは胸に何か言い知れない感情が渦巻いているのに気付いてしまったのだ。そして三人目があらわれた時、とうとう自ら声話かけてしまった。


(なにをやっているんだろう私)

フレデリカはそう思いながら目の前の状況を確認する。

鍋、である。厳密にはいわゆる寄せ鍋というものがぐつぐつと音を立てながらテーブルの真ん中に鎮座していた。

最初、声をかけた時、驚く一正と不審がるかおり、不機嫌さがアップした瑠璃と三者三様の反応を示した。そこからどんなやり取りがあったのかよく思い出せないが、いつの間にか一緒に夕食をという話になり、気付けば目的であった一正の自宅に招き入れられ4人で鍋を囲んでいる状況になってしまった。

(いや、これはこれで大成功なのでは)

フレデリカは、そう思い直し、改めて部屋を見渡す。とは言っても、ごく普通のリビングにしか見えない。特別なトレーニングマシンがあるわけではなく、何かしらの武術の本が転がっているわけでもない。いくつかの端末と大きなテーブル、粗末な家電製品が転がっているだけだった。そしてそこに恐ろしいほどの緊張感に包まれた食卓があった。


(どうしてこうなった!!)

一正は焦る。偶々あった後輩を食事に誘っただけであったはずなのにそこには恐るべき緊張感に包まれている3人の女性がいた。鍋が煮立ってきた。悪を取らねば。一正は現実逃避するように鍋に集中した。


(もう、お兄ちゃんたら!!)

瑠璃はご立腹だ。今日は初等部の生徒が入れる無レベルエリアで友達数人と小動物型モンスターや植物型モンスターを大量に倒すことに成功したのだ。結構な臨時収入を得た瑠璃は一家を支えていている一正の好物を作ろうとスーパーに向かったところ、瑠璃目線でお兄ちゃんを引き離そうとするかおりお姉ちゃんと会うは、敵味方識別不能の謎の後輩は登場するは、散々な状況に瑠璃の機嫌は急降下、怒りのボルテージは急上昇。お兄ちゃん愛にあふれる瑠璃は敵愾心もあらわに二人の花園?に現れた侵入者に敵愾心をあらわにしていた。


(私は今日、デートだったのに・・・)

かおるは目の前の状況に困惑していた。帰りがけに偶然ほくほく顔の一正に出会って買い物に付き合い、気づいたら二人っきりのデートとなっていた。この機会に思いを告げて幼馴染から彼女にランクアップを狙っていたのだが、途中でもしかしたら義妹になるかもしれない瑠璃と明らかにストーキングしていたと思われる後輩のフレデリカが現れたのだ。内心、平常ではいられなかったが表情筋を総動員してにこやかな表情を保ち続けたことは驚嘆に値する。しかし、残念ながらにじみ出不愉快感は隠しきれたはいなかった。


そんな4人で始まった寄せ鍋は超こまめな一正の指示だしでそこそこおいしかったようだ。緊張感に包まれていた女性陣もそのおいしさに緊張感を解いたほどだ。ただ、一正は周りのフォローばかりに気を取られ何の味も感じなかったようだ。


「誰だ!酒なんか出した奴は!!」

寄せ鍋会はある意味大成功だった。それなりに皆、鍋を美味しくいただけたようだったからだ。誰かが酒を出すまでは・・・・

「ひゃははははは!お兄ちゃんがたくさんいる~~」

普段は落ち着いている瑠璃もすっかり酔っ払いフラフラしている。ちなみに惑星ジエンドは特に未成年者の飲酒を禁止する法令は特になかったりする。

「せんぱい~~、のんでまひゅ?」

誰だこいつ!!そう一正は思いながらコップに水を注ぐ。

「いいからこれ飲め!!」

「なによ!!かずひゃのくせに~」

今度はかおりが一正にからんだ。

「かおり!!お前もか」

ちょっと歴史的名セリフっぽいことを叫びながら酔っ払いの介抱をしていく一正。結局、この騒ぎは明け方まで続き、通算23回の抱きつき、33回のキス及びキス未遂、そして計5回の貞操の危機を感じたという。しかし、信じられないことに一正の女難はここで終わりではなかった。




時間は少しさかのぼる


ワイバーン討伐現場、討伐から2時間経過後


「こんなところでイレギュラーとは珍しいですね」

惑星管理部職員を示す制服を着た若い男が現場を確認しながらそう叫んだ。同じような制服を着た男があちらこちらで写真を取ったり計器で何かを測定したりしている。

「・・・変ね」

そうつぶやいたのは長身で短髪のかっこいい女性だった

「チーフ!これを見てください」

いくつかの監視カメラの映像を解析していた画面の一か所を指差しながら男が彼女を呼んだ

「これは・・・」


そして現在、彼女は情報端末を見ながら一正の玄関の前に立っていた。

拙文でスイマセン。ご意見、ご感想をお待ちしています

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