VS アースドラゴン前編
現われたのはドラゴン種とはいえワイバーンではない。アースドラゴンという4足歩行タイプの飛ぶ能力のないドラゴンだ。
「おい!あれってアースドラゴンだよな!?」
逃げながら一正は大型獣が入り込めなさそうな場所がないかせわしなくあたりを見回す。
「そのはずよ!いつの間にか新型が投入されてなければね!」
怒鳴り返すように言ったかおりは腰から信号銃を取り出し緊急事態を知らせる赤い信号弾をセットしていた。
「悪いわね。緊急事態だから」
「いいから!早く上げろ」
この信号弾を上げると今回は単位を取得することができない。それを土壇場で気にしだしたかおりを一正はせかすように怒鳴った。
『パン』
大きい銃声と共に赤い大きな光源が上空に出現した。
「よし!これで時間さえ稼げれば・・」
「なんとか成るるわね!」
「じゃ、瑠璃たちを頼む!少し時間を稼いでくるわ!!」
そういうなりアースドラゴンに突っ込んでく一正
「ちょ!何考えてるの!!」
そう、かおりが言った時にはすでにその背中はかなり小さくなっていた。
(筋力増強!神経伝達高速化!)
一正はナノマシンに指令を送る。最近の食料事情改善は着実に一正のナノマシンのポテンシャルを上げていた。が、しかし
(相性は悪いな・・・悪すぎる)
一正が思ったようにアースドラゴンと一正の大刀との相性が悪い。いや、厳密には一正のクラン全員と相性が悪いのだ。
『キュガアアアアア!』
アースドラゴンは甲高い唸り声をあげると口から何かを高速で打ち出した。
「ちい!!」
一正は大刀を斜めに構えてその物質を弾いた。見ると地面に大きな穴が開いている。なんとあのドラゴンは拳大もある岩塊を打ち出していたのだ。
『キュガガアアアアア!!』
再び雄叫びを上げ、今度は連続で打ち出し始めた。
「こんにゃろう!!」(視覚強化!)
微妙に大刀の角度を調整しながら次々と弾いていきながらアースドラゴンとの距離をどんどん詰めていく。
巨大な体躯とそれを覆う巨大な甲羅、象の足よりも2回りほど太い足に巨大な爪、甲羅から伸びる太く長い首の先には角の生えた爬虫類然とした頭部が(巨躯と比べれば若干小さい)ちょこんと乗っている。近づき見上げたその疑似創造怪物は上級モンスターの名に恥じない威圧感をを持って存在した。
「まったく!こんなデカイもん作りやがって!!」
見上げる一正の顔には口調とは裏腹に笑みが浮かんでいた。
『キュガアアア』
今度は威嚇するように一声あげると今度は前足を振り上げた。
「まじか・・・」
軽くふるったように見えたがあっさりと一正は吹き飛ばした。直撃ではない。風圧だけで吹き飛ばしたのだ。
「いいかげんに・・」
素早く態勢を整える一正。
「しやがれ!!」
まさに裂ぱくの気合を込めた一撃を振り下ろされた前足にたたきつけた。が、
「・・マジかよ」
武器の性能も上がり、身体能力も多少上がった一正の一撃をもってしても全く傷一つついていない。さらに2撃目、3撃目と加えるがやはり傷一つ吐けることができない。すると今度はアースドラゴンの反撃が始まる。
『キュガアアア!!』
左右の前足を次々とたたき付ける様に振り下ろす。たちまち辺り一面土煙が立ち込める。傍から見ても彼我の戦力差は圧倒的だ。そう思った瞬間、アースドラゴンの掉尾に数発の照明弾が撃ち込まれる。
『キュウウウガア』
突然の天候にたまらず悲鳴を上げるアースドラゴン。
「一正!こっちよ」
振り返るといつの間にか、かおりが信号銃を持って立っていた。
「かおり!瑠璃たちは?」
逃げ去りながら一正はかおりに尋ねる。
「何とか西ゲートから出したわ。私たちも行くわよ」
「ああ」
筋力を増強した二人のスピードは速い、が、
『キュガアアアア!!』
「「なっ!!」」
振り返ると目の前にいつの間にか追いついていたアースドラゴンがそこにいた。
戦闘シーン ムズイです。拙文です。次回はラファール号を完結予定です。外伝ですが・・・
あと前から書いていた気分転換用文章も上げときます。そちらも読んでいただけるとうれしいです。