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草原エリア

草原エリアは低レベルエリアでも特に初級者向けのエリアだ。なんせ草原エリアというだけあって見晴が全エリア中最も良い、おかげで奇襲や囲まれる心配が全くといっていいほどない。


「ふ、全弾命中です」

フレデリカは照準レンズを覗きながらそういうと誇らしそうに自分の銃を見た。数百メートル先にはこのエリア最強の疑似創造怪物(イマジネーションモンスター)、モー牛|(全長3~4mとウシ型モンスター)の群れがチリジリになって逃げまわっている。

「本当に全弾あてたわね。当てたっていうより吹き飛ばしたって感じだけど」

双眼鏡で眺めていたかおりがつぶやくようにいった。40mm弾はもはや、銃撃というより砲撃といった感じでこのエリア最強のモンスターを何体も文字通り吹き飛ばしていた。

「まあ、私の腕ならこれくらい当然です」

そう言ってさらに三回、フレデリカは引き金を引いた。


「次は、俺の出番かな・・」

狙撃が一段すると一正はそう言って立ち上がる。見ると数体のモー牛が果敢にもこちらに突っ込んできていた。

「さすがに最強モンスター、闘争心が旺盛ね・・・最後にここに来たのって2年前・・だっけ?」

かおりはストレッチをしながら一正に尋ねるように言った。

「ん?確か・・それくらい前だったかな・・中学3年の夏だっけ?っていうかお前も行くの?」

「ん!まあね。ここまで来たんだもの。一回くらい戦っていかないと」

「お兄ちゃん!私も行く」

瑠璃がシャベルを抱えて割り込むように入って来た。

「ダメだ。まだ早い。もう少し大きくなってからだ」

「む~~~~ブブブ」

空気をたっぷりため込んだ瑠璃の頬を掴み上げる一正。ちょっとかわいらしい表情で瑠璃が睨んでいるが当たり前だが全く迫力がない。そんな兄妹のスキンシップが続いていくと

「・・・もうそこまで来てるんだけど」

今度はかおりの声が割り込む、そしてひょいっといた感じで瑠璃を持ち上げるとすぐさまダッシュ。遠くに駆けていった。気付くとさっきまですぐそばにいたフレデリカも避難済み。

「・・・・えっと」『ドドドドドドド!!!!!!』

もう一正の眼前にはモー牛の黒光りする体が視界いっぱいに広がっていた。

「は、謀ったな!ゲブシ!!」

一正は草原エリアでモンスターの群れに奇襲を受けた。


「まさか、草原エリアで奇襲を受けるとは・・・自分で自分がビックリだ」

そんなことを言えるほど一正には余裕があった。

「しかし、さすが600万の大刀。頑丈だな」

何と一正は体重が数トンもあるモー牛の突進を正面から受け止めていた。いつの間にかその両手に大刀を持ち、モー牛のささやかだが十分に危険な角を絡め取るように抑え込んでいた。

『ブモォー!ブモォー!』

受け止められたモー牛も相当不本意なのか押し返そうと何度も地面を蹴るがその努力は全く実っていない。

「そらよ!!」

『ブモォー?!」

あっさりと押し倒される4足歩行動物。なんかモー牛、涙目になってる気がする・・人工物のはずだがなんだが、こういう表情は人工物っぽくない。神は細部に宿るとはよく言ったもんだ。

「悪いがとどめだ」

大刀を横薙ぎに薙ぐ。前の大刀は斬るというよりはたたき折るといった感じだったが、今度のルナニュームの大刀は文字通り、切り裂いた。

『ブモォー?』

数メートルの巨体があっという間に白い砂に変わる。

「・・・すごいな・・・」

改めて一正は自分の獲物を見る。刀身には歪一つない。

「さすが600万の武器ですね。性能が段違いですね」

いつの間にか戻ってきたフレデリカが大刀を覗き込みながらいう。

「腕がいい、とは言ってくれないのかい?」

一正が銃砲科ではなく白兵戦科を選んだのは武器が比較的安いのもあるが、攻撃力が武器の性能だけではなく、腕によって攻撃力を上げることができるからだ。銃砲科は基本的には攻撃力は銃の性能による。

「・・・・・ええ、そうですね」

「・・・その沈黙はなんだ」

「え、なんのことですか?」

「・・・・そういうことにしておこう」

そういって振り返ると逃げた一体のモー牛をかおりがぶっ飛ばしているところだった。

「・・・・・でま、最強はあれだな」

「・・・ですね」

「とったど!!!」

遠くまで雄叫びが響いた。


ちなみに瑠璃は暇を持て余したのか立派な土塁|(というか単純な土だけでできた壁)を平原の真ん中に作っていた。

「お兄ちゃん・・・・・埋め合わせは必ずしてもらいます」

傍から見てかなり怖かった。

久しぶりの投稿です。少し短め

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