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始動前の一幕

低レベル草原エリアで一正の大刀の威力を見ようということで話がまとまり、いったん解散して一時間後に現地集合ということで話がまとまった。一正は妹の瑠璃と共に手早く準備を整えるとハンター専用バスに乗り込んだ。


話は変わるがシャベルというものをご存じだろうか?当たり前だが地面を掘るときに使う道具である。しかし、シャベルにはもう一つ、ある意味有名な使い方がある。打突武器としての使い方である。なぜそんなことを突然書いたかというと、一正の隣に文字通り、チョコンと座っている瑠璃の背中に背丈ほどありそうなシャベルを背負っているからなのだ。


(周りの視線が痛い)

一正はバスの中で好奇の視線に耐えかねていた。一正の背丈ほどある大刀と小柄ながら瑠璃の背丈ほどあるシャベルが仲良く並んでいることが視線を集める原因だろう。もしかしたら瑠璃の背負っている者が大刀だったらまだこれほど視線を集めなかったかもしれない。しかし、なぜ瑠璃がシャベルを持つのかというとこれも一正に原因があるのだ。

幼い子供は何でもマネしたがる。特に兄弟、姉妹がいる場合、すぐ上の兄、姉のまねをすることが多い。一正が大刀を選んだ時、瑠璃はやっと小学生になったばかりであった。そして背丈ほどある大型の武器にあこがれたのであった。しかし、そこは女の子。馬鹿な男の子とは違い、意外と冷静にコストパフォーマンスとあこがれ、さらに小学生でも入手可能という条件で絞った結果、玄人でも『え?』と言いそうな武器“シャベル”を選択したのであった。

クロちゃんと名づけられたシャベルは数回の改良を受け、本体は防弾板、表面には防錆加工され、先端は鋭利に研がされている(カバーを常につけているほど)。もう何年も同じシャベルを使用し続けているせいか瑠璃のシャベル扱いは高等部の建築課の学生からアイドルと崇拝を受けるほど習熟したものとなっている。ちなみに瑠璃は自分で自分の生写真を高等部裏オークションに出品し、小銭を稼いでいたりする。が、実際、小柄な女の子がシャベルを背負ってバスに乗っている姿はシュールを通り越して異様な光景であることにかわりはない。草原エリアに入るなり降車ボタンをとびかかるように押した一正がそこにいた。


「一正!遅い!」

バス停に降りるなりそういってきたのはラフな格好ながら両手に赤色の籠手を着けたかおりであった。

超接近格闘術保持者、いわゆる拳で語り合う人種である。かおりの家は格闘技を教えている家でかおりもすっかりそちら方面に感化されてしまったのだ。

(あれがなきゃ、もっともてるだろうに・・)

一正はそう思いながらこっそりとため息を吐く。かおりは、まあ実際、美形な部類だ。しかし、彼女は持てない。なぜならば、昔かなりやんちゃな時期があり、まあ、言葉を飾らなければぼこったのだ。地元のはぼ全員を・・・同世代から下の世代は姉御と呼ばれ、同級生以外は今でもかなり苦手意識がある者がほとんどなのだ。一正でさえ、かおりの赤い籠手を見ると胃から何かがせりあがってくるような感覚を覚えるほどだ。だが、一正は男の子なのだ。そんな空気は微塵も感じさせず

「いやいや、大体時間通りだろ?かおりの方が早すぎるんだって」

「そうよ!おにいちゃんは私がしっかり管理してるんだから!」

妹よ。それはどういう意味だ?そう聞こうとしたとき、目の前に大きなワゴンタイプの電気自動車がゆっくりと止まった。

「「「??!!」」」

中から出てきたのはブルジョワな金髪美少女だった。

「お待たせしました」

「おいおいおいおい!そりゃなんだ?」

思わず突っ込みを入れる一正。残りの2人も開いた口がふさがらないようだ。なぜならならば・・・

フレデリカが持ってきたものは・・・・


40ミリ電磁方式低反動対戦車狙撃銃


その名の通り40ミリという凶弾を飛ばすという飛んでも兵器である。さらに驚くべきことは搭載された光学式高性能照準装置によって有効最大射程1000メートルという規格外さである。ただし、大きさも半端じゃなく背中に分解したパーツを満載したケースを背負い、さらにそれだけでも足りず大きなケースをもう一つ両手で抱えている。


「いくらなんでもデカすぎだろう」

そう、威力、性能ともに申し分なんいんだがあまりに大きすぎるため、実用性に疑問符が付く。

「大丈夫です」

そういうなり、3つのケースをほぼ同時に明けるフレデリカ

「な!」

あっという間に一丁の狙撃銃をくみ上げてしまう。いや、なんか途中で腕が6本くらいになってなかったか?

「お、おっきいです」

瑠璃が感嘆の声を上げる。確かに大きい。全長は2m以上、自慢の照準装置はフレデリカの顔より大きい。重さも相当なはずだがフレデリカは軽々と片手で持ち上げている。

「ちょっと、そんなに乱暴に扱っていいの?」

これはかおりが突っ込む。銃の中でも狙撃銃は扱いの難しい物だ。

「ふふふふ、それがこのスペシャルなところです。射程は500メートルまで落ちましたが、強度、剛性はかなり上げたカスタムモデルです。さらに防塵、防水性能も付けたスペシャルな逸品です」

ドヤ顔でそう言ってくる。心なしか顔が赤い。どうやら高揚しているようだ。

「では行きましょうか」

そういってフレデリカは我先に狩場に入っていく。

「ちょ、待ってよ!」

「お兄ちゃん、待って」

「一正、置いていかないでよ~」

後につつく3人。こうしてクランはまだ結成していないが事実上、ここから彼らのクランとしての活動が始まった。


同時刻 惑星ジエンド軌道エレベーター入国管理局


「この時期に転入ねえ・・・」

「ええ、ちょっとしたアクシデントで入学通知が遅れたのよ。これでもめいっぱい飛ばしてきたんだから!!」

入国管理官は手渡された書類に目を落とす。確かにユピテル学園の入学許可証がそこにはある。

「ちょっと待ってね。一応規則だから・・・」

そういって網膜スキャンを促す

「ええ、もちろん」

入国管理端末は書類が本物であり、目の前にいる人物が確かに本人だと表示した。その入国管理官は少し不審に思ったが

「ええ、大丈夫ですね。どうぞお入りください。ようこそ、惑星ジエンドへ」

少し短くなりました。

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