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大刀の値段

同時刻

薄暗い部屋の中で数人の男たちが重苦しい雰囲気の中、顔を合わせていた。

「第3次派遣艦隊は壊滅しました。どうやら以前より我々の動きを薄々察知していたようです」

どうやら声を変えているらしく、その声は無個性な声に変換されている。

「化け物どもが・・・次の作戦はどうなっている?」

「合法的な進学をベースに考えています」

「そんなところか・・」「しかたがないな」

「時間がかかりすぎでは?もう一度、艦隊は派遣できないのかね?」

「不可能でしょう。今回の事件で複数の勢力が注目しだしました。もう一度、艦隊を派遣すれば我々までたどり着かれる公算が高い」

「・・・・仕方がない。今回はそういう風に工作してゆくということで・・」

「「「異議なし」」」



同日 惑星ジエンド 

「結果はどうかね」

一人の老紳士がそうつぶやくように言うと

「ええ、もうばっちりです」

話しかけられたいかにもできる博士風の女性はニコリと微笑むとそう断言した。

「ほう、結果は?」

「さっぱり、わかりません♡」

「・・・十分な資金と設備を与えていたはずだが?」

「想像以上に特殊でした。新たな系統樹かもしれません」

「ほう、特徴は?」

「超高効率、超低燃費、一瞬でローからハイにギアチェンジ・・現段階で分かっているのはこのくらいですね」

「要経過観察ということかね」

「できれば長期で」

「ふむ・・・イレギュラーの方は?」

「外部からの影響ではないようです。まあ、ぶっちゃけ内部犯ですね」

「わかった。そちらの方はこちらで何とかしよう。長期観察の方も手を打とう」

「ありがとございます」



同日? ??????

「どうだ?」「なかなか面白いですな」「干渉は?」「可能ですな」「価値?」「高いと判断いたします」「・・・・・・・・承認」「ありがたいお言葉」



同日、昼 惑星ジエンド

「先輩!ここまで来たらあきらめてクラン登録に行きましょうよ」

「ダメだよ。お金が絡む関係なんて・・・いけません」

「お兄ちゃんは私のクランに入るの!」

どうしたもんか・・・そう思いながら一正は昨日預けた大刀を受け取るべく商店街に向かった。ちなみにグランを登録する狩猟管理事務所もそこにあったりする。

「・・・とりあえず、刀受け取ってからな・・・」

あいまいにごまかす一正。いわゆる先送りである。まあ、数十分しか持たないが・・


「おう、来たか!」

鍛冶屋の親父はそんな空気を読まず、気さくに声をかける。

「・・・・どうです。出来は」

もうすでに心が心が瀕死の一正はやっとのことでそれだけいうことができた。

「おう!会心の出来だぜ」

そういって取り出し殿は鈍く銀色に光る大刀だった。

一言で言うと、美しい刀だった。もとの鋼の大刀と比べると若干、ソリが深くなり、刃紋もゆっくりと大きく弧を描いている。そして品のある銀色の輝きがさらに美しい。今まであまり興味が薄かった一正でさえ、あまりの美しさにため息を吐いたほどだ。

「いい出来だろう」

「・・・ええ!これは素晴らしいですね!!」

興奮気味に一正は言う。

「「「きれい」」」

同行している女性陣の評価も上々だ。

「そうだろう!こんないい物を作らせてもらったんだ。鞘と柄もサービスしといたぞ」

どうだと言わんばかりに鞘と柄を見せる。そんなに華美というわけではないが品のある漆黒な鞘と合成皮革っぽいがそれなりに上等な革とシンプルな赤色の柄巻を使用した柄を見せる。

「これもいいですね」

気のせいかうっとりとした声で答える一正。

「そうだろう!そうだろう!いや、我ながらいい仕事したぜ。こんな貴重な物、せっかく使わせて貰ったんだ。いい仕事しないとな!」

「え、貴重?」

「ん?ほら、置いて行ったルナニュームだよ。あれ、製錬したものじゃなくてナノマシンが時間をかけて分子レベルで抽出したものだからな。あのくらいの大きさになると、そうだな末端で600万ってとこか・・・どうした、兄ちゃん?大丈夫か?」

みると一転、ぐったりしている一正がそこにいた。リアルにorzのポーズをとり、うわ言のように

「600万・・・600万・・・お、おれは・・・おれは!!」

「お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・!!」

さらにその妹も魂が口から飛び出ていた。

「600万・・・・普通に新品買った方がよかったわね」

かおりは意外と冷静に見えたが手がぶるぶると震えている。

「?それくらいで驚いて・・・どうしたんですかですか?」

ホントにわからないって顔をしてるフレデリカ。本当にブルジョワだな。

そして大分混乱している3人を不思議そうに眺める鍛冶屋のおやじ。ちなみにこの店の最高級品は1200万する。意外と武器は高いのだ。

結局、落ち着くまで数分かかり、やっとのことで一正が600万オーバーの大刀を受け取ったのはさらに十数分後だったという。



心なしか背を丸めて歩く一正。そんなに600万が重いのかと思うほどだ。さすがに女性陣も声をかけずらいのか重苦しい沈黙が降りる。が、そんな時間は長くはなかった。

「先輩。せっかくの新品です。サックと試し切りしに行きません?私も新品の銃に変えたんで一緒に行きましょうよ」

「・・・・ちなみにいくら?」

つぶやくように一正が言うと

「照準装置を入れると1000万くらいですね」

と軽い感じで答えが返ってきた。

「「「ブルジョワめ!!!」」」

3人の怨嗟に満ちた声がきれいにそろった。

「え、普通ですよ?」

この女、マジスゲー!!!

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