世紀末格闘少年デジバン
より強く。少しでも。この世に生まれ落ちた、あらゆる者の願い。何で。どのように。その違いはあれど、その強さは誰しも変わらない。私はそれを、思い知りました。
そこは、河川敷でした。酒の入った私は少しばかり夜風に吹かれようと、堤防を下りました。そこに、いたのです。話には、聞いたことがありました。
知ってはいました。日本古来の武術体系に伝わる、ある秘伝。それを体現すれば、もう負けることはない。聞いたことがある。こちらは。あちらは……聞いたことがありませんでした。
軽い。小さい。およそ強いという言葉とは程遠いと、誰もがわかる。彼の拳が放たれるまで、そうとしか思いませんでした。放たれた正拳。ドゥン!!!と空気を切り裂き炸裂した初撃で、勝負は決まりました。その一瞬の熱。私は足を踏み鳴らしていました。君は、何者だ?それが彼と私の、出会いでした。
いつかいたんだっけ?




