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とある歌姫のサンデーモーニング


ちゅんちゅん。

小鳥の囀りで目を覚ます。普段であれば窓を開けて暖かいお日様と朝特有の涼しい風を感じながら小鳥さんを撫でさせてもらうのだけれど、今日は大事な大事なお客様がいるからまた今度ね。


カーテンを閉め直して、隣で寝ている星さんをしばらく添い寝しながら眺める。あどけない寝顔に思わず手が出てしまった。軽く頭を撫でる。起きる様子はない。


(少しだけ、ちょっとだけ大胆に…)


撫でていた手を彼女の背中に置いてぎゅっと胸に抱き寄せる。そして抱きしめたまま頬を彼女の頭に乗せる。この状態が1番癒されることに気がついてからは、事あるごとにくっついてるかもしれない…


「…んぅ。」


あら、いけない。少し強く抱きすぎたかしら。眠り姫の邪魔をしてはいけないし、自制心を取り戻すのも兼ねて先にベッドから降りて身だしなみを整えにいく。プライベートでオフの日とはいえ彼女の前では綺麗でいたい。

洗面台に行き、顔を洗って軽くスキンケア。そのまま髪の毛のケアもしつつ寝癖を整えていく。寝巻きを洗濯カゴに入れて、用意しておいたラフな部屋着を着る。今日のコーディネートは7部丈のストレッチ材質なパンツと、白い襟の立ったYシャツ。ボタンは普段よりも1つ多く開けちゃおうかしら?不自然にならないように彼女にアピールしていく。最後にアクセサリーとして、銀のネックレスに彼女とお揃いの指輪を潜らせて首にセット。これで、よし!


私の朝ごはんは果物をいくつか切ってからヨーグルトを合わせたもので良いとして…彼女のために何を作ろうかしら?これならもっと好きなものを聞いておくべきだったわ。

とりあえず朝の鉄板ということでパンを2枚パン焼き器にセットしてから、上に乗せる用の目玉焼きを作る。半熟にしたいけれど、食べにくいかしら…溢してしまうかもしれないし…いや、溢したら私が拭いてあげればいいし。また、隣に座る口実にもなるかも…うん!

半熟で行くことに決定しつつ他にもサラダとウインナーを用意することにして、次々とメニューを決めていく。

彼女のために色々考えて料理をすることがこんなに楽しいものだなんて…あっ、そうだわ!ウインナーは切り込みを入れてタコさんにしましょう。きっと喜ぶわ!

鼻歌交じりで朝ご飯の支度を終えて姫を起こしにいく。


「星さーん、朝ですよー。」


まだむにゃむにゃしている姫に小さく声をかける。もちろん眠ったままなので、追撃をかける。


「起きないとイタズラしちゃうわよー?」

「んぅ。」


…まだ、目を開けないわね?よしよし。ちゃんと1度警告したもの、イタズラしちゃいましょう。


ちゅっ


彼女の唇に軽く唇を当てる。まだイタズラしたい。起きなければこのまま…


「んぁ…あ。ロビン。おはよ。」


眠気まなこを気怠げに開けながら眠り姫が目覚めた。キスまでは出来た達成感と、お預けをくらった体の疼きが混ざりながら私は微笑む。


「おはよう、星さん。朝の支度はもう出来てるわ、起きれる?」

「ん…起きるよ。さっき、少し起きたんだけどロビンの鼻歌聞いてたらまた寝ちゃってた。」


あ、あらあらあら。半分無意識だったけれど、鼻歌を聞かれてたのね。浮かれてるのがバレたみたいで少し恥ずかしいわ。


「あ、やっぱり起きない。」

「あら。朝ごはんが冷めちゃうわ?」

「んっ、おはようのハグとちゅーを所望する!」


両手を広げてハグ待ちをする星さん。たまにエスパーか何かと思うほど私の内面を見透かして、してほしいことをしてくれる星さん。私の中で彼女の存在が日に日に大きくなっている。


「それこそ朝飯前ね。これ、私たちの朝のルーティーンにしましょ。きっと朝から元気が出るわ。」


おはようのハグとは思えないほど私は大切に。大事に。そっと。でもしっかりと彼女を抱きしめる。貴方と一緒に暮らしたいと遠回しに伝えることも忘れない。


「お泊まりした時ならいいよ。」


彼女から抱き返され、幸せな温もりに浸りながらも少し不服だぞと伝えるべく言葉を紡ぐ。


「あら、そしたら年に数えるほどしか出来ないじゃない。」

「そしたら列車に来る?」

「それも魅力的ね。私としては、星さんと一緒に居られるのであれば形は問わないわ。まぁライブツアーが少し難しくなるかもしれないけれど…」

「開拓の旅が忙しくないタイミングならツアーの時は私がロビンについて行くよ。」

「もう…!」


私は自分の想いを前面に出している自覚はあるけれど、それでも星さんには押し勝てないかもしれないわ。


「んっ…。」


これ以上は劣勢になると思い彼女の頬にキスをする。


「んぅ。ちぅ。」


お返しとばかりに彼女は私の首筋。普段は布で隠しているところにキスをした。

その上で、苦い思い出を上から塗りつぶすよう、彼女は跡が残るほど強く吸った。無言の気遣いに私は心が温かくなる。私がそばにいてあげたいのに、貴方の方が私よりもよっぽど寄り添ってくれているわ…本当にありがとう。幸せよ。

しばらく好き勝手されていたけれど、ようやく落ち着いてきたタイミングを見計らって口と口でキスをする。軽く触れるだけのキスだけれど何回か触れあって顔を合わせると今更恥ずかしくなってきたのかお互いに頬が上気している。


私も星さんも言葉を発しないけれど、満たされているし温かいわ。ベッドから起き上がった星さんの腕に私の腕を絡ませて恋人のようにくっつく。そのときにまた目があってお互いに微笑みあって…もう言葉はいらないのかもしれないわね。


リビングへ行くと、並んでいる朝食にタコさんウインナーがあったことが嬉しいらしく目が輝いている星さん。急いで顔を洗ってきたらしく水浸しのまま戻ってきた星さん。両手にナイフとフォークを持ちながら私が顔を拭き終わるまで『待て』されている星さん。どの瞬間でも愛おしい…


「おいしい!おいしいよロビン!」

「そう言っていただけると嬉しいわ。おかわりが欲しかったら言ってね。あ、そうだわ。卵は半熟にしてしまったから気をつけて。」


じゅるん。

なんの音かと思ったら、星さんがお皿に顔を近づけて半熟の目玉焼きをひと息で全部吸ってしまった音だった。

…色々と驚きや言いたいことはあるけれど、1番心に残っていた気持ちは『お世話できない。残念』だった。

でも、彼女の口の周りを汚していたから大切に、丁寧に拭いてあげたわ。結果お世話できたし良かったかもしれないわ、ふふ。


自分もカットしたフルーツとヨーグルトを食べながら星さんを見続けていると。


「ロビン。さっきからすっっごくこっち見てるけどまだ口の周り汚れてる?」

「いいえ。今は綺麗よ。不快に思ったならごめんなさいね、貴方が愛おしすぎて目が離せなくなってしまったの。」

「ウインナーがタコさんでいつもよりはしゃいじゃったの…見られて恥ずかしい。」

「そんなところも愛おしいの。それに、いいじゃない。今更よ。私たちの仲なのだから。」

「それもそっか。」


そう言うとさっきよりも元気よく美味しそうに食べる星さん。こんなに嬉しそうに食べてくれると私でなくても星さんの食べるところを見つめていたと思うわ。



「ごちそうさまーーー。」

「お粗末さまでした。」


結構な量を用意したと思ったけれど、完食してしまったわね。嬉しい。

席を立った私は1度彼女の頭を撫でてから、食器を台所の方に持っていきそのまま食器を洗っていく。


「朝からオシャレな格好してると思ったけどいいの?」


オシャレ、綺麗なんて言葉今までたくさん受けてきたけれど。彼女からふとしたように出てきたその言葉が1番心に響いたわ。ふとした瞬間だからこそ、本音だということが伝わるし…なにより最愛の人からの褒め言葉だものね、仕方ないわね。ふふふ。


「ええ、機能性重視の動きやすい服を選んでるから。このままお掃除もできるのよ?」

「動きやすいオシャレはちょっと気になる。」

「後でショッピングにでも行きましょうか。」

「ん!じゃあ片付け手伝う!」

「座ってて良いのよ、簡単に強い汚れだけ取っちゃって食洗機にかけるだけだから。食後だしゆっくりしてて?」


そう言いながら次々と食洗機にお皿を重ねていく。全て食洗機に投げてから、冷蔵庫にあるオレンジジュースとコーヒーを取り出してお揃いのマグカップに注ぐ。確か…氷は多めだと喜んでたわね。


カップを持ってリビングに戻ると、彼女はソファに座りながらテレビを眺めていた。この時間だと特撮ヒーローものかしら?

私は机に飲み物を置いて、彼女の左側からソファに座る。もちろん、腕を絡ませながら。


「何を見ているの?」

「スターピースレンジャー!」

「ふふ、今日はどんなお話なのかしら。」


そう言いながらも私は彼女に体重を預けるように体を任せ、彼女と手が重なるように手を置いて指で遊び始める。


「もう、くすぐったいよ。」

「それなら、遊びたがりな私の指を捕まえてくれる?」

「もう。しょうがないなぁ。」


彼女が私の手を掴み遊べないようにする。そして指の間に指を入れて、いわゆる恋人繋ぎの状態になった。

そこから星さんもテレビを見てはいるけど意識はこっちにある。みたいな雰囲気でゆったりと幸せな時間が流れる。


「…ショッピング、いつ行こうか。」

「慌てなくてもいいわ。今日はまだまだ時間はあるし、何より…星さんとこうやってゆっくり流れる時間が私は大好きよ。」

「ねぇロビン」

「なぁに?」

「少し、横になってもいい?」

「手を繋いだままでよければ。」


私は姿勢を直して彼女に膝枕を提供する。彼女が横になってから右手同士で手を繋ぎ直し私の左手は彼女の頭へ。

ふと光る彼女の首元に目がいく。私が送ったお揃いの指輪。それが、私のネックレスと同じ型で金色の色違いのものに通されている…指輪を押し付けたのは私だし、星さんはアクセサリー類をあまり身につけないからカバンの中に眠っている。なんて言われても驚かないのだけれど…まさか、身につけてくれているなんて!

嬉しさと愛しさと好きが溢れ出てくる。この気持ち、届いてほしい…!


「〜♪ 〜♪」

「んぅ…すう。」


頭を撫でながら子守唄を鼻歌で歌っているとすぐ寝息が聞こえてくる。私に心を預けてくれたようで嬉しいのだけれど、もうちょっとこの状況を堪能してくれても良かったのに…ちょっと朝早く起こしすぎちゃったかしら。

穏やかな寝顔ね。私の膝枕は彼女に取って安らぎになるものなのね、ふふふ。安心感を覚えてもらえるのってこんなに満たされるものなのね…こうして隣にいられたら、それ以上の幸せはないわ。ずっとずっと、いつまでも。あなたの隣に…




───あなたの夢に、祝福がありますように。


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