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ホタル。お化粧を学びます!


「ロビンさん!忙しいだろうし、無理を承知でお願いがあります!」

「な、なにかしら…?」


銀河の大スターにこんなお願いを言うなんてあまりにも恥知らずだけど、私も変わりたい…!一歩を踏み出したいの!


「お、お化粧…教えてくださいぃ…」


言った。がんばった!とりあえず言い出すことには成功した。語尾に近づくほど決意が揺らいで声が小さく、震えていったのはもう仕方ない…よね?


「ええ、私で良ければ。」

「ほんとですか!?や、やった!ありがとうございます!!!」

「い、勢いが凄いわ…今まではお肌のケアくらいかしら?どうしてお化粧をしたいと思ったの?」

「そ、その…好きな、人に。もっと可愛いって…思ってほしくて…」


そう、そもそも急にお化粧をしようと考えたのは星にもっと可愛いって思ってもらいたいから。私が知る中で化粧が上手いのはカフカとロビンさん。先に、カフカに聞いてみたけど教えてくれなかった…けち。

だから、ダメ元でもロビンさんに声をかけてみるしかなかったんだ。でも、即オッケーもらえるなんて思ってもみなかった!


「そう…その純粋な気持ち…ふふふ、わかったわ!私に任せて?そうね、今ピノコニーの近くでライブツアーをしているからホタルさんの都合が良い時に私の控室に来れるかしら?」

「は、はい!伺います!!よろしくお願いします!」


そして、2日後。私はロビンさんの控室にお邪魔した。でも、ここは本当に控室…?人が住めそうだよ。銀河の大スターともなると控室すらこんなに広くて豪華になるんだ…尻込みしちゃうな。


「お邪魔しまーす…」

「あら、いらっしゃい。そんなに小さくならなくて大丈夫よ。リラックスして?」

「は、はいぃ…」

「今暖かいお茶を淹れるわね。適当に座って大丈夫だから。」


ロビンさん、優しい…やっぱり素敵な女性だよね。今も私の緊張をほぐそうとしてくれてるし…ロビンさんのお茶…お茶?ロビンさんの手で入れてくれたお茶!?い、いくらですか!?


「顔に出てるわよ。別に私だって普通に生活するしお茶だって淹れるわ。それに、お友達にお茶を出すのにお金を取る人がどこにいるの、もう。」


お友達!?どうしよう、すでに胸がぽかぽかしてお腹いっぱいで満足感がすごい。


「それで、飲みながらで構わないのだけれど。どういう方向性でお化粧をしたいの?」

「えっと、よくわかってなくて…で、でも。ずっとずっと相手のことは考えてます!好みはわかります!!!」

「ふむふむ、見てもらいたい相手が決まってるのは方向性を決めるのにいいわね。私としてはホタルさんは芸能人みたいなバッチリ決めるメイクよりも、自然なメイクの方が合うと思うのだけれど。」

「お、お任せします…」

「では、こっちの鏡の前の椅子に来てくれるかしら?」


方向性かぁ。私、すこーーーしだけ童顔だしカフカみたいなメイクより自然な雰囲気の方が良さそうだよね。それに、彼女はバッチリ決めたメイクはあんまり好みに刺さらなさそう。カフカ以外…!


「じゃあまず下地を作っていくわね。」


そこからはロビンさんの独壇場だった。何種類もの液体を肌につけて馴染ませて、その上に何種類かの化粧品類をつけていく。え、えーっと…下地?血色が良くなる色の…?肌の調子に合わせて…?えっ、えっ。わかんない!

混乱している私をよそにメイクは進んでいく。鏡の下の引き出しやロビンさんのポーチからたくさんのお化粧道具が出てきた…ポンポンするやつ数種類、筆がたくさん、ペンもたくさん。ナニコレ?

現実逃避に目を瞑りながら、しばらくされるがままになっていると、ひと段落したのかロビンさんが声を上げる。


「こんな感じかしら?」

「す、すごい…!」


ロビンさんの声を聞いて目を開けると、そこには私なんだけどより女の子らしくなった私がいた。


「うんうん。すごく似合ってる!やっぱり自然なメイクの方がホタルさんに合うわ!今は私がそのままやったけれど、後で詳しく教えるから一緒に練習してみましょう!」


興奮したロビンさんが似合ってる。可愛いとたくさん伝えてくれる。

お肌はもちもちすべすべで、ほっぺは少しふっくらして見えて赤みがかっている。まつ毛も長く見えるし、唇はぷっくりしてるし光ってる。目元もいつもよりパッチリしててくりくりしているように見える。ほ、本当に私??

こ、これなら星も可愛いって言ってくれるかな…えへへ。よしっ、頑張って覚えてこの姿でデートに行けるようにしよう!!


「あとは…これに会うお洋服をチョイスできるともっと良いのだけれど。」

「うっ、恥ずかしながら。あまり私服の種類はなくて…」

「ホタルさん。この後時間はあるかしら?」

「わ、私は空いてますけどロビンさんは忙しいんじゃ。」

「気にしなくて良いのよ。それに、可愛い女の子を着せ替え人形にするのは好きなの。」


ロ、ロビンさん…!

私は感激しすぎて体を震わせた。


「その代わりと言ってはなんだけれど、私からのお願いを聞いていただけると嬉しいわ。」


そ、そういえば私がお願いすることに意識が行きすぎてロビンさんのお礼のこととか頭から抜けてた!そ、それにお化粧道具もくれるって言うしお世話になりっぱなしだしお返ししきれないよ…!


「私に出来ることだったら何でもするね!」

「ふふ、そう言っていただけると嬉しいわ。ありがとう。それでね、お願いというのはね…」


そう言ってロビンさんは私の耳元に口を寄せた、内緒話をするみたいな雰囲気だけれど…


「あなた、星さんのためにお化粧するのよね?」

「!?」


ば、ばれてる…!?私、ロビンさんの前で星の名前出したっけ!???


「デートしたりイチャイチャしたりするときに、出来れば私も呼んでほしいの。」

「!??」


ろ、ろびんさん…?


「同じ人を好きになっちゃった仲間だと思って、ね?」


そう言うとウインクをこちらに飛ばしながら離れていくロビンさん。お、同じ人を好きにって…ロビンさん!?ロビンさん!!!

む、むぅぅ!恩人なんだけど強大すぎるライバル登場!?…でもでも彼女の1番は譲らないんだから!


「ほーら、早く行きましょう。可愛いお洋服を買って、可愛くなった私たちを見てもらいましょう?」

「む、むうううう!」

「ナチュラルメイクをしたその姿でほっぺを膨らませてると流石に破壊力がすごいわ…!そ、それで。行かないの?」

「…………行く。」




───変装した彼女は私の手を取ると楽しそうに鼻歌を歌いながら一緒に控室の扉を開けた。

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