3人チームでサバイバルゲーム!
今日はピノコニーで最近流行ってるサバイバルゲーム?ってアトラクションをやりにきたよ!
銀狼が私と星を誘ってくれたんだけど、
「人数足りないから仕方なく。別に一緒に遊びたいわけじゃないし、本当はフレンドとやるつもりだったんだけど、仕方なく!」
って言ってたんだ。これ私たちとサバゲーをやりたかったんだよね??もうっ、素直じゃないなぁ…頭撫でたら怒られると思う?
こんな話を星にしたら二つ返事でオッケーもらえたよ!
アトラクションの前でみんな集合。銀狼が音頭を取る。
「よしっ、それじゃあみんな戦いの準備をしよう。」
「まかせて。今日の私は銀河ソルジャー。」
「そ、そんな職業聞いたことないんだけど…?」
ロッカールームに入り戦いの準備をする。
そっか。サバイバルゲームって戦いだったんだ…どうしよう、チョコレートとか寝袋しか持ってきてないんだけど…
荷物を下ろしてすぐにロッカールームを出る。まだ星も銀狼も来てない…私が1番早く準備を終えたらしい。まぁ丸腰だから当然といえば当然だけどね。
色んな装備をつけた人たちを眺めていると、銀狼がロッカーから出てきた。防塵サングラス、ヘッドセット。ポケットみたいなのがたくさんついてる胸防具。腕や脚にポーチみたいなのを巻き付けてそこにハンドガンやらナイフやらをしまってる。
うん、私でもわかる。本気の装備だ!
「うわっ、すごい!本格的だね!任務に行くより装備が充実してるよね?」
「うっ、うるさい。それよりホタル装備は?さっきデカいリュック持ってたと思ったけど中身忘れたの?…それはそれで可愛いけど。ドジっ子ホタルも大好きだけど。」
最後の方もにょもにょしててよく聞こえなかったな。それよりも、私の装備だよね…!
「え、えっとね?怒らないで聞いて欲しいんだけど、サバイバルゲームって名前から自然の中で生きるアトラクションなのかなって思って…持ってきた装備が、こちらになります…」
「設営とご飯とその器具と寝袋…しまった、ちゃんと説明するべきだった。ホタルのアホさ加減を見誤ったかな…」
「う、うぅぅ…あほ。あほって言われた…」
「んー、使えそうなのはライトくらいかな。ピカピカ光って妨害しながらデコイになるかもだけど、そんなのホタルも楽しくない。却下。」
「話は聞かせてもらった。」
いつのまにか合流していた星が背後から声をかけてくる。
「全く問題ないよ。私と銀狼でホタルを守る。万事解決。」
声をかけようと振り向くが、彼女の姿に言葉が詰まる。
上半身に巻かれたサイズの大きい弾丸。両手に1丁ずつ持った重そうな銃器。腰に巻きつけられたスカートのようになっている手榴弾。おまけに赤いフェイスペイントまでしてる。
「…星。その。ずいぶん派手だね?」
「戦争を勝ち抜くには必要だった。」
「手榴弾はルールで禁止されてるから!?貴方何してるの!?」
珍しく銀狼が慌ててる。そうだよね…これじゃ戦闘じゃなくて戦争しに来てるもんね。しかもゲリラ兵士。
「あーー。もう!作戦説明するから。星が後方から両手のそれぶっ放して相手の足を止めて。そしたら後は私が遊撃するから。ホタルは応援してて!」
「うん、わかった!星がんばれ!銀狼ファイト!」
「ふぅ…ホタル?ダメだよそんな笑顔。襲いたくなっちゃうから。」
お、襲われ…!?星に襲われるならそれも悪くないかも…むしろ良いかも!?えっ、どうしよう強引に詰め寄られたい…
「ほ、ホタルが応援してくれてる…ハッ!?せ、せせ戦闘始まってからでいいから。今ファイトしても意味ないでしょ…ふへ。」
銀狼から苦言?が呈される。
そ、それもそうだよね…!銀狼もまだ戦いの前でふにゃふにゃリラックスしてるみたいだし、今気合い入れすぎちゃっても疲れちゃうもんね。
「参加者はフィールドに来てくださーい。」
入場のアナウンスが入る。ついに始まるらしい…!私にできることは応援しかないけど、頑張ろう!
ゴトっ。
「「??」」
私と銀狼が首を傾げる。後ろから響く金属の音に振り向くと、星が両手に持っていた銃を地面に捨てていた。
「あ、言い忘れてたけど私の武器はバット。」
「貴方バカ!?さっきの作戦もう出来ないじゃん!?」
「大丈夫。今日の私はひと味違う。」
「そ、そっか。流石の星でもバット1本だけなんて無謀だよね。よかった。」
「今日はバットの二刀流で行く。」
「そっか!全然状況変わんないね!!実質私1人だ!」
銀狼が壊れてきちゃった。後で頭トントンしたら直るかな?
「ハンターズのみなさーん。急いで配置についてくださーい。」
私たち以外のチームはもう準備が完了してるみたいで、急ぐようにとアナウンスが入る。
「作戦変更!最初は強く当たって後は流れで!それぞれ頑張る!」
「「はーい。」」
「なんでそんなに呑気なのさ…もう!私負けるなんて嫌だから。」
そして戦いが始まった。フィールドは迷宮みたいな曲がり角多めで視界もあんまり良くない感じ。私は応援係だけどちょっと怖いなぁ。
そう思ってたら星が手を繋いでくれたの。えへへ、アトラクションデートだ!
遠くの銃声と悲鳴を聞きながら2人でまったり歩いていく。キャンプに生存戦争、お互いサバイバルゲームの内容を勘違いしてた話とかしちゃったりして、楽しい時間が過ぎていく。
そんな楽しい時間にお邪魔虫。急に曲がり角から人の気配が…!
バァン!
ゲーム用のデバイスとは思えない、まるで本物の銃のような音が急に横から聞こえてきて…
パァン!
びっくりしたし当たると痛そうだから弾を掴んで止める。もう、誰に向かって撃ってるのさ。うちのお姫様に当たってアザになっちゃったらどうするの!
あっ、弾が当たると失格なんだっけ。これセーフ?アウト??星と離れちゃうのは嫌だなぁ…
「ひっ、ひぃぃぃ。」
バァン!バァン!バァン!
悲鳴を上げながら後退る相手の人。そんな適当に撃つと弾が勿体無いし、もしかしたら私はもうアウトかもしれない。無駄弾になるとこの後に影響するかもしれないから、撃たれた弾丸を全部キャッチしながら歩いていくと何故か強まる悲鳴。
「はい。これで数合ってますか?」
怖がってるみたいだし安心させるべく、なるべく優しく微笑みながら弾丸をお返しする。何故か泡を吹いて気絶する相手の人。
「ホタル…かっこいい。好き。やってることえぐい…それもイイ。」
えっ。よくわかんないけど星にカッコいいって!好きって!!ど、どどどうしよう今ならイケる?押したらいけるかな!?
「そ、そうだ星!怪我はない?大丈夫??」
「うん。ホタルが守ってくれたから大丈夫、ありがとね。」
「ふふふ。そうだよ?お姫様は私が絶対守るから!」
「ホタル…っ!」
なんか星が私の腕に抱きついてきたんだけど!?いつもは私が抱きついてるけどこれされてる方もすっっごく幸せかも…!それはそれとして、星さんや。少し大胆すぎないかな?ドキドキしすぎて心臓もたないよ??
結局さっきの弾丸キャッチはセーフ判定だったらしく、特に何もアナウンスされなかったので星とのデートを再開した。
何人か星との時間を邪魔してきたけど、星に腕を抱かれながら背中に隠すように守る。飛んできた弾丸をもう片方の手で掴んでたらいつの間にか撃ってきていた人がみんないなくなってたの。星を守るために燃えた私は強いよ!鉄壁の騎士なんだから、えっへん。
「試合終了!優勝チームはハンターズのみなさんです!」
ウォォオオオオ!パチパチ!
周りがなんだか騒がしくなっている。アナウンス的に試合が終わったらしい。結局あんまりルールもわかってないし、星とお散歩デートしてただけだったけど幸せな時間だったなぁ…!
「ぜぇ…はぁ…スコア的には私がぶっちぎりで1位なのに注目とか称賛はホタルが受けてるのおかしいって…ぜぇ…」
息のあがった銀狼がこちらに向かって歩いてくる。星と私が戦えない分彼女の負担になってしまっていることは間違いない。
労ってあげないとだよね…!
「あっ、銀狼!お疲れ様。ごめんね?全部1人で任せちゃって…ありがと。」
「ホ、ホタル…?み、みんなの前だから。優勝したのもあって人の目がたくさんあるから!後で!!後でが良い!」
頑張ってくれた銀狼になでなでしてると、銀狼から抗議の声が。ふふふ、恥ずかしくて顔も赤くなっちゃってるし…銀狼ってすごく可愛いよね!後でもっとなでなでしちゃおうかな。
あと、いつのまにか私たちが優勝していたらしい。銀狼…いったいどれだけ頑張ったの…?
「ホタルとのデート良かった…私が守りたいけど、その。なんだろう、ホタルに守ってもらうのなんか凄く良かった。」
「戦場でデートぉ!?本当にひどい…」
ひ、ひどいって何さ!むぅぅ!星は間違ってない!すっごく幸せな時間だったし、お姫様は騎士が守るんだから…!
「それで…デート以外には何してたのさ。途中から触れぬ星神に祟りなしって恐れられてたけど。」
「えっと…デート中に邪魔してくる人たちがいて。撃たれた弾丸を全部掴みながら歩いて、弾が勿体無いからそのまま返してあげただけだよ?ゲームだし別に薬莢ないと撃てないわけじゃなさそうだったし。」
「は??」
銀狼がフリーズしてる。体が白黒になってる気がするし頭の上になんかくるくる回ってるマークが浮いてる気がする。
「そしたらデートの邪魔する人がいなくなったから、2人でお散歩デートしてたの。」
「そ、それで途中から棄権する人があんなに…武器も持ってなかったしサムが戦意喪失させてたのか…」
確かにサムならすぐに制圧できただろうけど、せっかく夢の中だし星と一緒にいられる時間だったから私はホタルとして過ごしたいんだ。
「私はホタルとして参加したよ?」
「はぁ??」
本日2回目の白黒フリーズ。銀狼も大変だね…はやくローディング完了しないかな?
あっ、銀狼の色がだんだん戻ってきた。
「え??サムじゃないと戦闘力低いんじゃ…?」
「撃たれた弾丸くらいなら見えるよー。」
あはは。確かにサムじゃないとやれないことは多いけど、それくらいなら私でも出来るよ?
「ホタル…カッコよかった。」
「もうっ、星ったら。褒めてもスキンシップが増えること以外何もないよ?」
今日だけでも星にたくさん褒めてもらって嬉しい。嬉しすぎてちょっと顔の緩みが抑えられそうにない。
それから少ししたら優勝チームは壇上に来てくださいとアナウンスがあり、銀狼が星と私を連れて歩いていく。
「それでは優勝インタビューをさせていただきます。今大会はシルバーウォルフ選手に注目が集まっており、そのまま優勝をかっさらっていきました!今のお気持ちをお聞かせください。」
えっ。このアトラクションって大会だったの…?
「手違いで仲間の装備が何もなく、私が頑張らなきゃという気持ちで戦っていました。」
「そうですよね!スリーマンセル形式なのに何故か1人で暴れていましたよね!」
銀狼がインタビューに対応する。装備については…ごめんね銀狼。次に星が対応したが、お姫様も良いねとしか答えてなかった。
最後に私の番が回ってきた。ど、どうしよう!?インタビューなんて今まで受けたことないし何を話せば…!
「歴代最短時間での決着となった今大会!モニターではまったりお散歩しているようにしか見えなかったのですが、ホタル選手は何をしていたのでしょう!」
「え、えっとえっと。勘違いで装備が何もなくて、応援係で!お姫様を守りたくて!えとえと…撃たれた弾丸を全部掴んで止めてましたっ!!!」
「「「「は?」」」」
インタビュアーだけでなく、会場全体から発せられる「は?」のひと言。さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返り、全員フリーズして白黒のぐるぐる状態になっている。
「ああもうバカホタル。そりゃそうなるよ…」
「え、えっ?ごめん銀狼…」
「ホタルは悪くない。おいで。」
「ぅぅぅ〜、星〜。」
星が私をぎゅってしながら慰めてくれる。初めてのインタビューは失敗に終わったらしい…ぅぅ。
「そ、そこまでへこむことないじゃん。凄いことしてるのは間違いないから…みんなの理解が追いついてないだけ!き、気にしなくてもいいんじゃない?」
そう言って銀狼が私の頭をなでてくれる。彼女なりに私を慰めてくれていて、なでられた頭と心がポカポカしてくる。
インタビューの途中だけどみんなフリーズしちゃったから3人で壇上から降りる。私そんな変なこと言ったのかな?慌てすぎて何言ったかあんまり覚えてないや…
「ホテルいって休もうか。」
「それじゃあ私はここで離脱した方がいいかな。」
「えっ、なんで?3人で行こうよ。」
「3人で!?」
「…わかった。ホタルがそこまで言うなら今日は銀狼も可愛がろう。」
「絶対そういう意味で言ってないよねこれ!?」
「銀狼は…嫌?」
「いやむしろウェルカムだけどさ!?」
「なら問題ない。」
「問題ある!…ある?全員が納得してるなら…?えっと。それなら…お手柔らかに末長くお願いします。」
───ホテルについてから私は本当の意味を知った。




