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星ちゃん行動評論家の皆様


「開拓者行動評論家三銃士を連れてきたよ!」

「開拓者行動評論家三銃士?」


列車のラウンジにて三月が声高に宣言する。俺の声が聞こえていないのか質問に答えが返ってくることはなかった。


「うん!丹恒先生にもぜひご同席願います!じゃあ、まずは星の彼女兼お嫁さんのホタルちゃん!」

「お、お嫁さんだなんて…!今日は星を1日観察するって聞いて飛んできました!」


なるほど、俺の意思は関係ないようだ。三月までブレーキが壊れていそうなこの状況、間違いなくロクなことにならない。資料室に戻りたい。


「次に、星の新妻のロビンさん!」

「昨日呼ばれて、たまたま予定が空いていたから遊びに来たわ。」


銀河の歌姫のスケジュールが今日明日でたまたま空いているわけがないだろう。スーパースターの予定を急遽開けさせてしまうほど親密になっていたなんて…星は何をしでかしたんだ…?


「最後に、星のお母さんのカフカ!」

「ハロー、列車の皆さん。星はのびのび生活出来ているかしら?」


星核ハンター!?侵入を許し…いや三月が連れてきたと…何故彼女を連れてきたのか、宇宙を代表する賞金首とどう連絡を取ったのか三月に問い詰めなければならない。


「そんなに怖い顔をしないで?安心して頂戴。星のお友達には手を出さないわ。」

「さっすがお母さん!行動の理由は星なんだね!」

「三月さんと言ったかしら。好きな数字を言って。」

「えーっと、じゃあ3+7で10!!」

「はい。10万信用ポイント。良いお母さんだなんて、あの子は素晴らしい友人を得たみたいね。」

「きょ、巨額のお小遣いもらっちゃった…!」


…今すぐ資料室に戻りたい。



星核ハンターと三月に引きずられて強制的に星を観察することになってしまった。是非とも俺抜きでやっていただきたい。


「今日はヤリーロ-VIのボルダータウンをお散歩してるみたい。あっ、空のゴミ箱を見つけて中に入っちゃった。…なんかペットみたいで拾いたくなっちゃうかも?評論家の皆さんはどう見ますか!」


三月がゴミ漁りをしている星を実況している。この行動を評価…?少し気になるが決して良い評価はつかないだろう。


「えっと…今日も元気だなぁって。それに、可愛すぎて持って帰りたくなっちゃうかも。あっ!星って猫ちゃんみたいな一面もあるし脇の下から持ち上げたら伸びたりしないかな?」


まさかの高評価に頭が痛くなる。だが、ロビンさんは正しい評価をしてくれるだろう。


「うふふ。帰ってくる時に泥だらけだと一緒にお風呂入ったり、洗ってあげたり出来て嬉しいわ。それに、星さんはお世話されることに慣れてるからか私がしたいことを全部受け入れてくださるし。」


新妻は伊達ではないということだろうか。評価の雲行きが怪しくなってきた。

それに、俺では想像できない未来を描き頬を染めている。遠くからこの表情を見るだけで恋に落ちる人間がどれだけいるかわからない。惜しむらくは、発言が残念なことだ。


「今日は『星がゴミ箱から可愛らしく周囲を眺めている記念日』にしましょう。素晴らしい日になるのだし毎年祝わないといけないわね。今日の晩御飯は期待していて頂戴。」


この調子だと365日全てが記念日になる日も遠くないのではないだろうか。星核ハンターは実はアホの集団である可能性が俺の頭をよぎった。

三者三様の評価だが、その全てが耳を塞ぎたくなる内容なのは気のせいだろうか。


「あっ。星がゴミ箱に入ったまま滑るように移動してる。子供を見つけて輪に混ざろうとしてるのかな。」


彼女に動きがあったようだ。俺たちもバレないよう追跡する。

…俺の技術はこんなことのために鍛えたわけじゃないんだが。


「すごい!流石星だね!!私も今度練習してみようかな?」


目の前で見ても何故ゴミ箱が浮遊スライド移動をしているのかわからないのに、どう練習するのだろうか。努力の方向性が間違っていないか…?


「素晴らしいわ星さん!思わず鼻歌を口ずさんでしまいそう。」


こんなところでゲリラライブなんて起きてみろ。ベロブルグなんて国単位では収集がつけられなくなるぞ。


「三月さん、少しカメラを貸して頂戴。」

「あ、はい!どうぞ!」


10万信用ポイントで人は買えるかもしれない。敵とか発言の裏とか何も考えずに言いなりになっている三月を見ていると将来が不安になる。


そして、目を覆いたくなる惨状が目の前に起きた。星が小さい子供相手に全力で追いかけっこをしている。勝てるに決まっているだろう…そんなに喜ぶな。飛び跳ねるな。勝利の報酬を求めるな…


「こ、これはちょっと危険な感じかも…!評論家の皆さんは一体どのような評価を下すのでしょう!?」


三月、今更司会進行を頑張ろうとしなくても大丈夫だ。現場はメチャクチャだからな。


「銀狼。サムのモニターとカメラを共有するので録画しておいてください。」


ほら。メチャクチャだろう。一応隠密行動中のはずだが、あまりにもデカく熱く目立つ。忍ぶつもりはあるのか?


「常に全力で…なんて無邪気なのでしょう…ああっ!ヒラメキが。新しい曲のインスピレーションが湧いてきたわ…!」


ロビンさんの新曲というだけで相当な話題になるだろうし、多くの人が惹かれるものになるだろう。何週間連続でランキング1位になるかもわからない期待の新作。そのきっかけがこんな光景なのはなんていうか…率直に言うと嫌だ。


「ああっ、いいわよ星。素敵よ!新しいアルバムを用意しないと…今日の写真だけでいっぱいになってしまうだろうし余分に何冊か買っておかないと。」


今日だけでアルバムが埋まるらしい。一体何枚撮るつもりなんだ…?三月のカメラは充電もメモリも果たしてどちらも耐えられるのだろうか…


「どうしたモグラたち!喧嘩は良くないぞ!」


あれは確か、フック。地下の子供達をまとめている女の子。あれだけ小さいのに立派なことだ。


「あっ、ドスパラのフッくん!」

「ドスクロのフック様だ!またお前の仕業か!」

「そんな!?私はただ全力で追いかけっこしただけなのに。」

「それだよ!!」

「勝ったから報酬を要求しただけなのに!」

「それだよっっっ!!!」


それだな。それしかない。


「勝ちたくて頑張って、勝ったから報酬。そんなに悪いことかな?」

「報酬なんて別に物じゃなくても、星さんならなでなでとかでも喜んでくれると思うわ。どこか変なところはあるかしら?」

「ないわね、星は正しいわ。貴方のこと誤解していたかもしれない。私、娘の妻やお嫁さんには優しくすることにしてるの。貴方を新妻として認めてあげる。」

「ありがとうカフカさん。私もお母様は大切にしたいなと思っていたところよ。でも、仮に貴方に認められなくても星さんに尽くすつもり。」

「貴方、最高ね。」


保護者の頭のネジが壊れていることを確認した。…おまけに変な友情まで芽生えている始末だ、手に負えん。


「もう。聞き分けのない子ね。あまり干渉するのも良くないけれど仕方ないわ。『聞いて』。貴方はドスパラのフッくんよ、理解しなさい。」

「はい。あたしはドスパラのフッくんです。」


!?これは…未だ解明されていないカフカの暗示・人心掌握術なのか!?マジックをかける瞬間を確認なんて…それこそ星核ハンター以外では俺たちが初めてなんじゃ。星のためにそこまでできるのか…


「もう。カフカ、強引過ぎるよ。」

「それじゃあホタルはどうやって認めさせるつもり?」


ドスパラのフッくんにすることは確定事項なのか…


「んー、私は真摯にお願いするかな。この星が焦土になってもいいですかって交渉しながら。」


それはもう交渉とは言わない。立派な脅しだ。下手をしたらカフカよりも悲惨なことになるだろう。丁寧に見えてまっすぐ…いや、脳筋なのだろう。いわゆるバカだ、星のことしか考えていない。


「貴方にしては考えたわね、悪くないわ。それと、新妻さんの意見も聞きたいわ。」


これで考えられた意見ならもうダメかもしれない。


「そうね。あのワードを使ってみんなで歌えば、楽しくなって受け入れてくれるはずだわ!」


銀河の歌姫が即興のコンサートを開く覚悟があるらしい。カリスマの無駄遣いが過ぎる。


「「「ああ、もう本当に星(星さん)は最高ね。」」」


三月。俺はもうこの人たちはダメだと思うぞ。




───この保護者にして、この奇行あり。

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