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産出物


      未確認構造体からの産出物に関する第一次報告書



 この報告書は、現在確認されている大日本帝国国内の未確認構造体からの産出物を確認したものであり、1層と2層から現時点で産出される物に限る事を明記しておく。

 全ての産出物を確認するのは量的に不可能であり、任意で抽出している事を了承されたい。

 未確認構造体の内部などは軍の報告書参照の事。



1. 産出物


 産出物には2種類有り、未確認構造体内部の生物を倒すと残る固体と宝箱(俗称)と、植物が確認されている。



2. 未確認構造体内部の生物を倒すと出てくる物


2.1 固体


 直径1センチから5センチほどの球状の固体で正体不明であり、今後の研究に期待するほかは無い。


2.2 宝箱(俗称)


 木の箱が時折出現する。

 内部にはいわゆる金銀財宝と呼ばれる物が入っている。何故かは不明である。



3. 植物


 概ね出現地点の植生に近い。既知の植物以外の植物は各機関で研究中である。



4. 産出物の価値


 直径1センチほどの固体は正体不明で、現状では商工省預かりとしている。一部を文部省に預け研究を始めた。

 価値が有るといけないので、1個1円で預かっている。それに不満な者は、自分で所有するか好事家に売却しているようである。

 宝箱(俗称)の中からは、金銀財宝が出てくるが宝箱の出現率は低い。

 植物は判別が専門家でも難しく、病気の危険もあり未確認構造体検問所で全量預かっている。 

 

4.1 直径1センチほどの固体


 1個1円の価値が有るのかどうかは不明であるが、前述の通り商工省預かりとしている。


4.2 宝箱内容物


 金銀財宝であるが現在確認されているのは、14金金塊や銀塊。各種ダイヤモンドやルビーなどの宝石。真珠や赤珊瑚。反物は無染色・無漂白の絹織物。生糸も確認されている。


4.2.1 品質


 いずれも高級品や上級品では無い。普及品からやや落ちるくらいの品か下級品である。


4.3 植物


 直径1センチほどの固体と同じく研究中であり、価値は不明。



5. 産出物が経済にもたらした影響及び予測される影響


 現状で相場市場が崩壊している部分もあり予断は許されない。


5.1 崩壊した相場市場


 金銀市場で価格が暴落している。しかし、金塊が14金相当で銀以外の不純物が多い事がわかってからは金相場の上昇が見られる。ただし元の相場まで戻らないというのが多くの市場関係者が持つ感触である。

 銀市場は底値で推移している。上昇機運は無い。

 プラチナ相場はいずれ出てくるのではと弱含みである。

 

 ダイヤモンドはベルギーと南アフリカのダイヤモンドシンジケートの支配力が圧倒的であったが、一気に支配力が無くなった。ダイヤモンドは各種宝箱から出るが、品質的には中級以下で高品質品は出ない。

 中級品の価格下落に引っ張られて全体が落ちてしまった。いずれ高品質品に絞ってダイヤモンドシンジケートはある程度盛り返すだろう。

 他の宝石や真珠・珊瑚も同じである。


 絹織物もダイヤモンド同様、中級品以下の無地反物であるがダイヤモンドと同じように中級品以下の価格下落に引っ張られて全体の価格が低迷している。

 生糸相場が崩壊している。さらに乾繭先物市場は今後成り立たないのかもしれない。

 絹織物も上級品以上は盛り返すだろう。



5.2 国内産業への影響


 金銀鉱山で小規模な鉱山や低品位鉱山で閉山の方向にある。

 絹織物は、価格崩壊で先が見えないがダイヤモンド同様高級品を中心にしていけば生き残る事が出来るだろう。

 生糸相場や乾繭先物は無くなるのかもしれない。

 大日本帝国において絹織物と生糸は重要輸出品目であり生産者と関連業界も多く、対米輸出の道が閉ざされ苦境に立たされている現状で国内産業への影響は極めて大である。

 真珠や赤珊瑚は国内に生産者がほぼ居ないので国内産業への影響は極小である。





 制作年月日

 昭和17年02月14日

 商工省、農林省、大蔵省の3者による。




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