この世でもっとも恐ろしいもの
何も持たずに生まれてきたと思っていた。
自分は特別ではないと思いながら全てを見送っていた。
あきらめる事が最善の策だと決めつけていた。
何かにつまずく度に立ち止まり己の無力を悔いる日々。
このままではいけないと思いながら目の前の問題を滞積させてはため息をついている。手を伸ばせば届くはずなのに失敗が恐くて何も出来ないでいる。
呼吸困難で前が見えない。
どうすればいいかと自問自答を繰り返すが最初の一歩を踏み出せずにいる。そして気がつけば自分を納得させる為に言いわけを考えていた。いくつかの違和感を覚えながらも心を鎮める。変に目立って、他人にそれをしてきされて失笑を買うなんて自分のすべき事ではない。
落ち着いて考えろ。
シニカルでクレバーな自分を取り戻せ。あくまで自分を傷つけないという不毛な取引でも小さなプライドを守りたいがために頭を下げるフリをする。
『これでいい。これが最上』と何度自分に言い聞かせた事か。
だがそんな日も今日これまで。不満が限界まで膨張してついには爆発してしまったのだ。
不格好な対面や体裁を繕う必要はない。
思ったままをぶちまけてしまえ。
バカはバカ、デブはデブ、ハゲはハゲだ。
人権擁護?それ食べれるの?罵詈雑言は止まらない。
だって生まれた事に納得していないから。生きている事がつまらないから。俺の口を止めたければ、俺の願いを全てかなえて見せろ。警察、裁判官、政治家、総理大臣、神様。誰にもコントロールなんかさせない。俺のこいつは俺にも制御不能なのだから。
それが感情。
何も持っていないはずの空っぽの俺が持っていた宝物。
一度、発露すれば世界を破壊するかもしれない宇宙で一番危険な相棒。
だから俺はコイツを後生大事に心の内側に隠して生きている。いつかその時が来る日まできっと誰にも見せる事はないだろう。
今日も世界は俺の多大な忍耐によって浜悦を免れたというわけだ。
でも油断はするなよ?
こいつはいつ破裂してもおかしくはない危険な生き物なのだから。
・・・仮面ライダーBlacksunの変身ベルトが欲しいです。少し値段が高めですが買ってもいいですか?
四万四千円か・・・。多分駄目だろうな。