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外伝・異能管理局

 とある部屋にて異能管理局の職員が二人いた。


 一人は探せばどこにでもいそうな好青年、髪は黒色で中肉中背、凄く人当たりがよさそうな、人畜無害って感じがする異能者であった。

 彼の異能は【好感度上昇】

 その名前の通り、彼と喋っているだけで、彼に対する好感度が上昇するという異能である。

 ただし、デメリットとしてどの好感度、具体的には恋愛感情であったり、友情(知人)感情であったり、友情(親友)感情であったりの様々存在してる好感度のどれが上昇するかは本人すら分からない、完璧なランダムとなっている。


 もう一人は異能管理局の職員制服を少し着崩していて、その大きなお胸がちょっと見えている色っぽい金髪のお姉ちゃんである。

 少しギャルっぽさを感じるような人であり、言動としてもかなりチャラく、大雑把でいい加減でありギャンブル大好きという、中々にアレな人だが、仕事に対しては真面目であり、同僚からもいい加減な人物として周知されつつも仕事に関しては非常に信頼されている。もちろん彼女も異能者である。

 そんな彼女の異能は【凝視破壊】

 自分を見ている相手の体をランダムに破壊するという異能である。

 更に言えば自分に対して熱心に視線を向ければ向ける程、破壊される面積は大きくなり、破壊による損傷も大きくなる。

 ようは彼女の胸を凝視しようものなら異能【凝視破壊】により、文字通り体が破壊されるという、ある意味で理にかなった格好をしているのであった。

 

――――――――――――


 そんな二人の異能管理局の職員は今日も今日とて、仕事として新たに出現した異能者の一通りの検査が終わったので、異能情報登録書類を作成していた。


「先輩、今日発現した異能【闇喰】、とんでもないっすね。暫定危険度ランクA、場合によってはSすらあり得ますよ。あんな強力な異能が6歳児の少女に宿るとは、本当に異能って分からないっすね」

 好青年は今日発現した。異能【闇喰】を持った少女のことを思い出したながら先輩に話しかける。


「確かにそうだな。あの異能はやりようによっては一人で軍隊一つを潰せるレベルの力を持っている。もしも彼女を私の手で今から鍛えたら、異能管理局の中でも5本の指に入る強者になれそうだ」

 金髪のお姉ちゃんって感じの容姿ではあるが、実際の所は生まれはアメリカ、母親は日本生まれの日本人だが、父親は戦場育ちのアメリカ人傭兵であり、その関係で幼い頃から傭兵として各地を放浪していた、生粋の叩き上げであった。

 異能抜きの格闘術や銃の腕前だけで特訓された成人男性数人を真正面から殴り倒せる程の実力を持っており、異能を使えば、それこそたった一人で軍隊を破壊する程の実力を持っている。

 異能管理局の中においてはセブンという7番目に強いとされる称号を持っているかなりの実力者である。

 そんな実力者である彼女が、今から6歳児の少女とはいえ鍛え上げたら自分よりも強くなれると断言したのだ。それはかなり異常なことであった。


「それは、凄いっすね。いや先輩がそんなことを言うなんて、まあでも確かに才能はありそうでしたもんね。あの少女。普通はあれだけの強力な異能が発現した瞬間、自分が異能を授かったていうことでパニックって制御が出来ずにかなり激しく暴走してしまいますからね。それなのに、暴走がほとんどなかったらしいですからね。いや~、もしもあの異能が暴走してたら死者が出てもおかしくなかったですよ」

 強力な異能を授かった者が暴走をしてしまうという事故は少なくない。

 考えても見て欲しい、いきなり、自分の体で文字通り人智を超えた恐ろしい力が宿ったのだ。余程頭のネジがぶっ飛んでない限りは、パニックに陥ってしまう。

 そしてそのままパニックになって、異能を暴走させてしまう。その結果、暴走した異能が人に牙を向き、死傷者が出る、そして自分の異能で人を傷つけた恐怖で更にパニックになって異能を暴走、そしてまた人を怪我させたり殺してしまったりと、嫌な悪循環に陥って、異能管理局の職員が鎮圧するまでにかなりの犠牲が出るというケースは悲しいことに一定数存在している。


 ただ、今回は主人公こと泰斗が異能を暴走させてしまったクイナちゃんをなだめて、冷静にさせた。

 もしも、あの場に泰斗がいなければクイナちゃんは異能が発現した自分を化け物を見るような目で見て、逃げる自分の友達を闇と認識してしまい喰って、一瞬我に返って、自分の行いに耐えきれなくなり、家を壊し、住宅街に飛び出て、わけも分からないまま闇に脳を侵食されて、文字通り異能【闇喰】に体を乗っ取られてひたすらに闇として人間を喰いまくる殺戮兵器となっていたであろう。

 最終的には慌てて駆け付けた異能管理局の職員、及び警察官すらもひたすらに喰い殺して、許容限界に達して吐いたところを射殺されるという最悪のシナリオがあった。


 といってもこれはあくまでタラればの話、もしも上野泰斗がいなければという話、実際は上野泰斗がいて、クイナちゃんの異能をなだめて、暴走というのはなかったというシナリオに書き換えたという話である。

 だからクイナちゃんは自分の命の恩人である上野泰斗の言葉通りに今回、自分は宿題を誤って喰ってしまった以外には異能を暴走させておらず、特に問題も起こしてないと報告をしている。

 その為、異能管理局の職員含め、皆、クイナちゃんは異能をほとんど暴走させることなく自力で抑え込んだと錯覚してしまっていた。


 否、一人だけそれを疑問に思うものがいた。


「いや、もしかしたら、暴走させてたんじゃないかな?」


「え?どうしたんですか、先輩?」


「別にさして断言はできない。ただの私の直感だ。直感なのだが、何となくあの少女は何かを隠しているような気がするんだよな」


「直感って、先輩よくそういって賭け事に負けているじゃないですか」


「いや、まあ。そうなんだけど。今回の直感には自信がある。だって、あの少女の目は戦場でよく見た、何かに狂信しているような目だったのだから」


「狂信ですか?それって宗教とかにハマるとか、そういう?」


「ああ。だけど、今回のはどちらかというと、特定の個人に対して信頼しきっているって感じの目だった。そう、アレは命、もしくは人生まるごと救われた感じの。その個人を心の底から慕っているような。そんな感じだ。その人の為なら文字通り、命すら捨てるレベルの」


・・・・・・・・・・・・


 先輩の言葉に少し沈黙が走る。


「ハハハ、何を言ってるんですか、先輩、だってあの娘は6歳児でしたよ。それにあの少女が異能を発現した時は少女の友達とその友達の兄しかいなかったのですから」

 乾いた笑いと共に否定をする。

 だけど、なんとなく心の底からの否定が出来なかった。


「友達の兄?・・・、後輩君、その人も異能者だったりしないか?」


「え?別に資料には普通の人と書いてありますけど。生まれも育ちもあの家のあの町でこの近くの○○小学校に通っている。何処にでもいそうな小学3年生ですよ。といっても精々第二発見者、特に不審な動きもなかったですし、軽く事情聴取しただけですがね」


「そうか。異能者じゃないか。後輩君は疑問に思わなかったのかい?あの少年の目を、あの少年から漂う、殺しの匂いを」


「え?特に何も感じませんでしたけど。というか先輩は何を言ってるんですか」


「これは直感じゃなくて、確実だ。あの少年の目は人を殺し過ぎて人を人と認識出来ないところまでいってる戦闘狂と全く同じ目をしていた。そして私と目が合った時に、私を性的な目で見るのではなく、殺せるか殺せないかという目で見ていた。それを化け物と言わずしてなんという」


「いやいやいやいやいや。ないですって先輩。そもそもここは日本ですよ。異能によって少し事件は起こったりしますが。今の所はこの世界においてトップクラスに治安の良い国ですよ。そんな国で人を殺し過ぎる程殺すなんてのをバレずに行うのは不可能ですって」


「そうだよな。私もそう思う。それに少しあの少年と喋ったが特に人を喜んで殺すような狂気性も感じなかった。異能が発現していたあの少女の身を案じていたし普通にどこにでもいる優しい少年って感じだった」


「じゃあ。違うじゃないですか」


「でも、あの目は本物の目だった。もしかしたら、何かとんでもない超絶強力な異能を授かっていて、その上でそれを秘密にしている異能隠蔽者か、生まれながらの生粋の戦闘狂かどちらかってことだと思う。更に言えば異能【闇喰】の暴走を一人で止められる程度の実力を持っていると予想される。ハハハ、こう声に出してみるととんでもないな」


「いや。やっぱりおかしいですって。先輩の気にし過ぎですよ。先輩の言葉通りなら、あの少年は異能【闇喰】の暴走、具体的に予想されるのは口の中から出た何十という大量の触手を全て捌いて無傷で暴走している少女を何かしらの方法で正気に戻して、暴走状態を解除させることが出来る程の力を持ってるってことになります。それもたったの8歳で。それは何の化け物ですか」


「だから。化け物って言ってるでしょう。あの少年は何か得体の知れない化け物だよ多分。といっても証拠もないので特にどうこうするとかは出来ないけど」


「まあ。確かに俺達は何か起きてからじゃないと動けませんからね。あ、異能情報登録書類完成しましたし、俺定時なんで帰りますね」


「相変わらず後輩君はいつも定時きっかりに帰るね」


「それは。家帰ってゲームしたいから帰りますよ。さあ、今日は新作のギャルゲーが待ってるぜ」

 好青年はさっきの会話を完璧に忘れてランラン気分で家に帰っていった。


「まあ、いいや。私も定時だし帰ろ。あの少年はおそらく得体の知れない化け物だろうけど。関わったら面倒そうだし、いいや。私、知らねえっと」


 かくして上野泰斗という男の異常さに気が付いたが、その大雑把で適当な性格から、変に関わって面倒なことになるのを嫌がり、特に報告とかはせずに、そのまま気にせずに趣味のギャンブルをもとい麻雀をしに行くのだった。


 ―――――――――――――――――――――


 異能管理局についての補足説明


 異能管理局の中でも戦闘力的に優れている存在にナンバーというのが与えられます。 

 ナンバーは異能管理局内において、最も強い存在をワンとして、ツー、スリー、フォーと最後のテンまであります。

 

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