勝負!そしてチビトロルの活躍
ここから結構いろんな分岐の可能性あってどれにしようか悩みます…
トロル・オブ・デス
コニタ地方に拠点を置くトロルの群れの名称。
乱暴で粗野と評価されるトロルだが、こちらは森奥に住む穏やかなトロルの群れである。
危険度はCランクというものの、こちらから手出しをしなければ襲ってくることはない。
彼らが危険だと言われている本当の理由は従順さである。
彼らに対して対等な等価交換を行った場合であれば、その対価に見合った目的遂行を行う。森林の必殺仕事人。
また知性を持ち合わせているため各々が頭で考え、行動できる。
これは無駄に統率の取れた魔物よりも戦いづらい。
場当たり的な戦術により、攻略法が一切効かなくなるのである。
その凶暴さや手を出さなければ害はないという側面から、人間側も距離を置いて生活していた。
彼らも人間側にはいくつか強者がいることを理解しているため良い距離感であった。
近年、彼らの大きな行動は確認されていない。
しかし、今回の場合は話が違った。
コニタ地方にいる魔物、その頂点であるエステートから直々に命令が降りた。
「なんかやばい気配するからさ、そっちの村。ヤバいやついないか調べてきてー。ヤバそうだったら壊しちゃっていいよー」
そこでトロル、オブ・デスのカシラは1人で調べに向かった。
そして、一向に帰ってこないボスを心配し、トロルの群れはカシラを迎えにきた。
道の半ばで1人歩いているカシラを見つけた彼らはそこに合流した。
そしてその群れはいま、目的遂行のためーそして沸る破壊遺伝子の命令に従いー目の前の敵に勝負を挑む。
カシラと合流ができた。トロル・オブ・デスフルメンバーでの攻撃は久々だ。
穏やかといえどもトロルはトロル。
体の中に眠る破壊遺伝子が暴れている。
トロルたちは巨大な右手を挙げ、雄叫びを上げる…!!
ボクの後ろでトロルたちが騒いでいる。
啖呵を切ってしまったものの、争いたくはない。
流石にこんな大勢のトロルたちが騒いでいたら怖気付くだろう。
…向こうも見るからに臨戦体制である。
お互い殺気のぶつけ合い。争うきっかけを待っているみたいだ。
今か今かと鼻息が聞こえる。ボクの合図を待っているのだろう。
「おまえたち、やる気はあるか?」
「おまえら、本当にやり合う気なんだな?」
「手加減はしないぞ??」
(「ぷっ、ヘルメス君なにそれ笑」)
「フガフガ! ウオォォォォォォォオ!!!」
やる気がないのはボクだけみたいだ。
皆まで騒いでいる。
(「よし、おまえたち…絶対死ぬなよ…!」)
レイナさん、いまふざけるタイミングじゃないんですけど。
ゴクリと唾を飲み込む。
こんなに味方のトロルがいるんだ。いける!
気合いを入れる…!
どうも、骨です。人間にはガイコツマンと言われています。
横にいるのがゴーレムマン様。
魔王コンドルド様の使い魔だ。
魔王様からの命令で「さがしもの?」とやらを探しにきたのですが、見つかりませんでした。
それに加えていま、トロルの群れとバチバチです。
ゴーレムマン様、わざわざ喧嘩を売らなくていいのでは?
相手のボスもやる気満々みたいだし。
売り言葉に買い言葉。
どうせ戦うのは私たちなんでしょう?
わかりましたやりますよ。
ゴーレムマン様は相手に気づかれぬよう私たちに支援魔法をかけてくれている。
「A-DNA」は私たちの攻撃遺伝子を活性化させてくれる。
ゴーレムマン様が後方に引かれる。
まずは様子を伺う。
トロルたちが向かってきている。
ええい!!その構え、無駄が多すぎるぞ!!
戦じゃぁぁああ!!
ーーーバコッ
後方から鈍い音がした。
あー、よかった。
はったりがうまくいった。
やっぱり相手は人間だったみたいだ。
無駄な時間稼ぎが功を奏した。
敵が挑発してきた時にレイナが教えてくれた。
(「ヘルメスくーん、このトロルたち、もう戦闘終わらす準備できてるっぽいよー!」)
そう、トロルたちが騒いでいたのはハッタリだったのだ。
なんでレイナがそんなことを知っていたのかは分からないが、確かに小さなトロルが1匹足りない。
明らかに敵後方に回り込んでいる影が見える。
その影も、ボクたち身長が高いから見えるけど、彼らからは見えていないだろう。燃えた家屋も障害になっているだろうしね。
そう気づいた時にはボクはペラペラ喋って時間稼ぎを開始していた。持ち前の明るさを活かして。
ボクが喋り終えると後のトロルたちは飛び出していった。
敵のガイコツも迎え撃ちにきた。
大きな拳と鉄の剣が交わる音が聞こえる、
そうなる予定だった。
ーーーバコッ
後方に回っていたチビトロルは、躊躇なく敵の頭を水平に殴った。
明後日の方に首が曲がっている。
「…え?」
ガイコツたちは音のした後方、ゴーレムマンがいるはずの場所を見て、立ち止まった。
レイナの魔法は強いんですけどいまだに服を着てないので交換を躊躇ってます