ダンジョンの進化
ボクのダンジョンが見違えていた。
あんな野暮ったいダンジョンだったのに!
整備された道!
整えられた壁!
冒険者を迎撃する用の広間!!
これこそダンジョン!!
「ご主人様」
うわぁお!!!だれ?!
一瞬イケてるお兄さんかとおもったけど…
そこには僕の二回りくらい大きなガイコツが立っていた。
いつの間に!?
「こ、こ、こんにちは!もしかして道場破りとか、ですか??」
「何をおっしゃってるんですか。私ですよ。トトノです」
「え?」
トトノ?あの可愛くて愛らしいトトノ?
トトノはもっと小さいぞ?!
「どうやら、ご主人様のダンジョンに参加する魔物は、それに伴い成長が早くなるようです」
微笑みかけてくるトトノの背後からワラワラと大きなオオカミやカラスが出てくる。
え、こいつらトロルたちの付属品だったやつら??
「私トトノ筆頭にハイクロウルフ、ハイクロカラス。強くなってご主人様をお守りいたします」
「…あ、はい…」
声が出ないよ…
なんて言えばいいんだ…ボクがこれから成長して、一人前になった後に倒せるか倒せないかといった魔物たちに囲まれている。
そいつら全員が頭を下げている。
困惑!
「そう言えばご主様、このダンジョンは無駄多かったため、私の方で最適化且つ改善、向上させていただきました。お気に召さない点がありましたらどうぞお申し付けください」
「いやいや!十分すぎるよ!!ありがとう!!」
本当ありがとうトトノ!
中を見るのが楽しみだ。
「ヘルメス、ダンジョンのカシラだったんだ…」
横のペネロペが若干引き気味だ。
…まてよ、ボク、ダンジョンのカシラやるっていつ決めたっけ?
ダンジョンの中身は驚くほど見違えていた。
冒険者迎撃スペースのほか、ダンジョンで生活するための施設が整っていた。
それはもう、ヒトが暮らせるレベル、いや街よりも綺麗だ!!
「トトノ!こんな資金どこにあったの?!」
「はい、ここのトロルたち、こちらの用途が分からなかったようなので、存分に使わせていただきました」
トトノが開けた部屋にはたんまりと金貨やお宝が溢れている。
すっごぉい!!それとともに、幾人もの狩られた冒険者の悲鳴が聞こえそうな剣や鎧も目に留まる。
「あ…これ、ダンジョン挑戦者のやつか…」
「あら、こんなに少なっちったのか」
横でトロルたちが困惑気味に頭を掻いている。
「ダンジョン改築専門業者モグモグビルドに頼んだら即時、工事に取り組んでいただけましたよ」
相変わらずカッコいい顔で返答するトトノ。
どうやったらガイコツがそんなカッコ良くなれるんだ。
「おい!!カシラ!!」
ムギチャが走ってやってきた。
「外外!!外に!!」
「ん?外?」
ムギチャの報告に従い、みんなで外に向かう。
もしかして、挑戦者?!
早速初防衛か…!
ここは覚悟を決めるしかない。
自然と手に汗握る。
ダンジョンの外にはシロサーペント、クロウルフ、クロカラスが大勢集まっている。
その数100を超える。
トロルやペネロペから明らかな殺意を感じる。
一触即発か…?
チビトロルが後ろに回って暗殺しようと試みている。
「待ってください!!」
トトノがボクらの殺意を封じ込めた。
「ヘルメス様、この魔物たち、ヘルメス様が討伐したダンジョンの魔物なのでしょう。殺意がありません」
「ヘビキメラのダンジョンにいたやつらかな?」
「ええ、おそらく。ヘビキメラに従っていた魔物たちなのでしょう」
たしかに、全てあいつが化けていた魔物たちだ。
1匹のシロサーペンが近づいてくる。
「ヘルメス様、貴方ですね!ヘビキメラを倒した方というのは!今日からお世話になります!何なりとご命令ください!」
「え?」
「そうとわかればさらに増築ですぞヘルメス様!!どんどん大きなダンジョンになってきましたね!!」
「キメラロードになるのも夢じゃないですね!」
トトノとムギチャが興奮している。
こうして、ボクのダンジョンは約2日間で総勢200体を超える魔物の大所帯となった。
【ヘルメス・アドレア】
性別 男
年齢 15歳
職業 ダンジョン管理「トロル・オブ・デス」
スキル 混合
内訳 レイナ、トロル
仲間
内訳 トロル5体、トトノ、クロカラス100体、クロウルフ100体、シロサーペント5体、ペネロペ(エキテケスタイル)